馬伝染病発生状況(1996年7月〜9月)
−Animal Health Trust の International Collating Center からの情報による−
1. オーストラリア
馬鼻肺炎(流産型):EHV−1。ワクチン未接種のサラブレッド種で、10頭以上の流産。単発的発生が2件、複数発生が1件。数頭の細菌性流産。仔馬の重病はまだ未発生。
馬伝染性貧血:1件・1頭の発生。
2. ベルギー
報告すべき疾病の発生は無し。
3. カナダ
報告すべき疾病の発生は無し。
4. デンマーク
報告すべき疾病の発生は無し。
5. フランス
馬インフルエンザ:血清学的に診断された。サラブレッド種では Calvados、Gard、Maine et Loire、Oise(複数の厩舎)。非サラブレッド種のトロッターホースでは
Loire Atlantique、Seine。サドルホースではCalvados、Seine、Yvelines。他の種(ポニー)では
Yvelines。
馬鼻肺炎:血清学的に診断された。サラブレッド種ではBouches du Rhone、Calvados、Charente
Maritime、Cotes d'Armor、Gard、Gironde、Loire Atlantique、Maine et
Loire、Oise、Hautes Pyrenees、Rhone、Yvelines。非サラブレッド種のトロッターホースでは
Maine et Loire、Orne、Seine、Val de Marne。サドルホースでは Calvados、Cotes
d'Armor、Hauts de Seine、Manche、Seine Maritime、Vandee、Yvelines。他の種では
Landes、Seine Maritime。
馬ピロプラズマ病:南フランスで風土病。
6. ドイツ
報告すべき疾病の発生は無し。
7. 香港
腺疫:(Streptococcus equi 亜種)が、最近輸入されたポニー1頭において、下顎下膿瘍からの膿汁の培養およびAPI(同定キット)によって、1996年9月17日に香港ジョッキークラブ獣医部臨床研究室で診断された。これは香港において二番目に記録された腺疫の症例に当たる。一番目の症例は今年3月に発生し、その詳細はICCの「1〜3月の報告」に記されている。患馬のポニーは、馬6頭の一群(サラブレッド1頭と、サラブレッド交配乗用馬およびポニー5頭)に属しており、この一群は20日前の8月28日に、(競走でなく)乗馬のため、オーストラリアから輸入されたのだった。このポニーは9月14日に発熱し、下顎下膿瘍形成の症状を呈した。馬とポニーから成るこの一群は依然として、到着後検疫(PAQ)を受けており、数頭が原因不明熱を発したので、検疫は最短の14日間から延長されたのだった。感染が診断されたとき、この一群の全頭について検疫期間はさらに延長され、継続的な臨床監視および鼻咽喉綿棒検体採取が行えるようにされた。10月3日、それ以上の症例は認められず、例の患馬はその時点まで大過なく、適切な療法で完全に回復していた。全頭が今でもPAQを受けている。腺疫の症例は3月の症例に続き、いずれも最近オーストラリアから輸入された馬で発生しており、同国から香港へ永続的に輸入される馬すべてについて、輸出前検疫を21日間にすると定められた。この腺疫の二番目の症例は、3月にPAQを受けた症例とは別のブロックの厩舎で発生した。一番目の症例の厩舎は、徹底的に浄化、殺菌され、使用休止された。現在感染中のPAQのブロックの厩舎も、そのような措置を講じられるだろう。
8. アイルランド
4〜6月の報告
馬鼻肺炎(流産型):EHV−1。サラブレッド牝馬で2頭の流産。両馬ともワクチン接種済み(Pneumabort-K)。単発的発生。
ロタウイルス感染症:8件・9頭の発生。
腺疫(Streptcoccus equi):9件・9頭の発生。
サルモネラ感染症(型不明):3件・3頭の発生。
7〜9月の報告
ロタウイルス感染症:1件・1頭の発生。
腺疫(Streptcoccus equi):9件・13頭の発生。
サルモネラ感染症:7件・9頭の発生:(S. typhimurium)が8頭。(S. kentucky)が1頭。
9. イタリア
馬インフルエンザ:トロッターホース数頭(6〜7頭)で、調教厩舎において中規模の流行。診断は、臨床症状によってのみ下された。
ピロプラズマ病:イタリア南部中心地方で風土病。
腺疫:主に非サラブレッド種の若駒において、多数の発生。
10. オランダ
馬鼻肺炎:EHV−4。偶発的発生。
腺疫(Streptcoccus equi):分散的発生。
11. ニュージーランド
残念ながら報告未着。
12. ノルウェー
残念ながら報告未着。
13. シンガポール
4〜6月の報告について、以下の修正に留意されたい。
腺疫:1996年4月3日にオーストラリアから輸入されたサラブレッド種1頭が、到着から3日後に腺疫(Streptococcus
equi)に感染していると診断された後、殺処分された。これは、輸入馬における腺疫の初の報告症例に当たる。シンガポールでは腺疫は無発生である。同じ便で到着した他の馬たちは、検査で病原体が認められないと判明するまで隔離された。
7〜9月の報告
腺疫:1996年6月21日に到着し、西マレーシアで検疫所から解放されたサラブレッド種1頭が、6月24日に発熱および下顎下リンパ節肥大を呈した。腺疫(Streptococcus
equi)の亜種が、7月8日、膿瘍を形成したリンパ節の分泌物から血清学的 に分離され確認された。患馬は、原産国(ニュージーランド)で1996年4月24日、5月10日および5月29日に腺疫ワクチン接種を受けたと報告されており、一連の抗生物質投与の後に回復した。同じ便で到着した他の馬たちは、感染していないと報告された。これは、輸入馬において腺疫が診断された二番目に当たり、一番目は1996年4月にオーストラリアから輸入された馬である。
15. 南アフリカ
4〜6月の報告の補足
アフリカ馬疫:4〜6月に受領した検体において、さらに7頭のウイルス分離が確認された(血清型----1型が1頭、2型が3頭、4型が3頭)。要する
に、夏季の間に、合計146頭の検体が検査され、66頭でウイルスが分離された(1〜3月の報告で24頭、4〜6月の報告で35頭、今回報告で7頭)。80頭の検体は、アフリカ馬疫陰性であった。症例は全国9州のうち、ウェスタンケープ州を除く8州で発生した。
馬脳炎:4〜6月に受領した検体から、さらに3頭でウイルスが分離され、合計4 頭になった(4〜6月報告では1頭)。検査用に提出された多数のペア血清検体から、さらに6頭の陽転が記録された。
媾疫:1996年1月から7月までに、旧トランスカイ(現ウェスタンケープ州)産の主にロバと少数の未登録馬で、合計6頭の発生。それ以上の詳細は不明である。
7〜9月の報告
馬ピロプラズマ病(Babesia equi):風土病地区で散発的発生。
16. スウェーデン
馬インフルエンザ:(A2型)診断は血清学的に下された。流行は限局しており、臨床症状は穏やかだった。非サラブレッド種が感染し、単発的発生が2件。
馬鼻肺炎(流産型):EHV-1。非サラブレッド種牝馬で1頭流産。
腺疫(Streptococcus equi):単発的発生が8件。
17. スイス
馬鼻肺炎(流産型):EHV-1。非サラブレッド種牝馬で1頭流産。ワクチン接種の有無は不明。
馬ボルナ病:1件・1頭の発生。
馬ウイルス性動脈炎:2件・2頭の発生。
馬ピロプラズマ病(Babesia caballi):2件・2頭の発生。
(Babesia equi および Babesia caballi):1件・1頭の発生。
エールリッヒア症:1件・1頭の発生。
ロドコッカス感染症:牝仔馬で1件・1頭の発生。
馬ボレリア病:1件・1頭の発生(血清学的診断のみ)。
18. トルコ
残念ながら報告未着。
19. アラブ首長国連邦
馬ピロプラズマ病(Babesia equi):風土病。
(Babesia caballi):風土病。
20. イギリス
馬インフルエンザ:(A2型)この3カ月間(7〜9月)を通じて、散発的発生。診断はイギリス家畜保健財団(担当:James
Wood)で、血清学的におよびELISAによって下された。流行は限局しており、臨床症状は穏やかであった。競走馬のみが感染した。
馬鼻肺炎(流産型):EHV-1。非サラブレッド種のワクチン未接種の牝馬で2頭流産。単発的発生が2件。
腺疫(Streptococcus equi):サラブレッド種および非サラブレッド種で多数の発生。
馬ウイルス性動脈炎:保菌種牡馬1頭が、去勢された。
馬伝染性子宮炎:前回報告の患馬との接触で、新たな症例が診断されなかった。防疫は、防あつ実施規程を通じて行われた。本年度は現在までに合計57頭が発症した。
21. アメリカ
馬伝染性子宮炎(CEM):夏季にノルウェーからケンタッキー州へ輸入された6歳のフィヨルドポニーの種牡馬1頭が、米国農務省の輸入検査中にCEM保菌者であると判断された。この種牡
馬は、検疫所からの解放前に種付された検査用牝馬2頭からTaylorella equigenitalis 耐性菌株が分離されたことに基づき、陽性だと考えられた。
馬伝染性貧血(EIA):ペンシルヴェニア州フィラデルフィアパークのサラブレッ ド競馬場で、馬1頭がEIA患馬に感染した結果、9月に
同競馬場は州により隔離された。最後に発生が確認された8月31日から45日間、馬がEIA陰性であると判明するまで、隔離は続けられる予定である。
ベネズエラ馬脳脊髄炎(VEE):1996年7月にメキシコの馬で診断された。メキシコでの発生において死亡した馬から分離されたウイルスは、亜類型1−Eであると確認された。これは分布地区にメキシコ南東部および米国中部の沿岸地区が含まれることが知られている風土病原菌異型であり、ウマについては病原性が低いと考えられるが、ヒトを発症させる可能性がある。感染地区の馬は、弱毒生ワクチン(TC-83)を接種された。1996年7月、米国農務省はメキシコからの輸入馬の検疫期間を従来の3日から7日へ延長した。
INTERNATIONAL COLLATING CENTER
1996年10月15日
本報告書は、イギリス家畜保健財団(慈善団体登録番号209642)が受領した情報に
基づいている。同財団はこれらの情報の正確さや完全さについて責任を負わない。