2000年3月23日付のICCからの情報をもとに作成
香港において馬ピロプラズマ病(B.equi)が限局的に発生し、1施設1頭の競走馬に感染がみられた。この血清学的診断は、英国ウエイブリッジの獣医研究機関(VLA)においてなされた。3月23日付の香港ジョッキークラブからの情報を以下に述べる。
5歳の引退した競走馬が、B.equi陽性と判定された。同馬は2000年2月21日にオーストラリアへの輸出検査時に採血され、2月28日に英国のVLAで検査された。この血清は補体結合反応(CFT)では疑陽性であったが、間接蛍光抗体法(IFAT)では陽性と判定された。同時に輸出された他の6頭の引退した競走馬に関しては、いずれもCFT陰性であった。しかし、IFAT陽性馬を含むこれら7頭は、2000年3月7日にオーストラリアへ輸出されてしまった。このため、7頭に対してメルボルンの検疫施設において再検査したところ、IFAT陽性馬以外の6頭は陰性であった。この陽性馬は、3月23日に検疫施設内において安楽死された。
この陽性馬は、1999年1月27日に南アフリカ共和国からEUの衛生条件に基づいて輸入されていた。1月4日に採材された血清を用いた米国の獣医研究所における検査では、B.equiおよびB.caballiのいずれに対してもCFT陰性であった。
香港においては臨床的にピロプラズマ病と診断されたウマは存在せず、また、過去3年間の輸出検疫時の180検体についても、3頭のCFT陽性(IFAT陰性)を除いてすべて陰性であった。
陽性馬が繋養されていた地区のすべてのウマ1562頭(シャティーン競馬場の競走馬1058頭を含む)を対象とし、2000年3月14日から20日までに、IFATによるB.equiおよびB.caballiの抗体検査が実施された。さらに、今回の陽性馬と同厩舎で繋養されていたウマに対し、追跡調査が実施されている。VLAからの報告によると、96検体に対するCFT検査が終了しており、92検体はB.equiおよびB.caballiに対して陰性であったが、4検体はB.equiに対して疑陽性を示した。これらは、今後すべてIFATによる再検査を実施する予定である。
英国のVLAにおいては、この陽性馬の香港到着以降に採血された保存血清3検体を用いた再検査が2000年3月17日に実施された。すなわち、99年1月28日の輸入検疫時、99年2月4日および99年5月12日に採血された血清を検査したところ、CFTおよびIFATのいずれの検査でもB.equi陽性(B.caballiはいずれの検査でも陰性)であった。
南アフリカから今回の陽性馬と同時に永久輸入された他の5頭についても、保存血清26検体を用いて再検査したところIFATではB.equiおよびB.caballi陰性であった。しかし、CFTでは、検体により疑陽性、陽性および陰性と判定された。
香港において本疾病の発生は極めて稀であり、2000年3月16日から18日までにすべてのウマ(1562頭)を注意深く観察したが、臨床症状は認められなかった。
2000年3月17日の検査結果に基づき、香港へのウマの輸入(永久輸入および一時的な輸入)に関して、輸出前10日以内の間接蛍光抗体法(IFAT)によるピロプラズマ陰性証明を義務付けることとする。馬ピロプラズマ病の発生がないと証明される国、および血清学的な陽性馬の侵入を防ぐための輸入検疫をしている国は、この要求から免除される可能性がある。今回の報告から、ピロプラズマ病を診断する上でCFTは十分満足できる検査方法ではないと判断された。さらに、仕出国にかかわらず香港へ輸入されるすべてのウマは、出国前24時間以内に承認済の殺虫剤による治療を義務付けることとする。
3月23日付のケンタッキー大学からの情報および3月27日付のICCからの情報をもとに作成
2000年3月20日にケンタッキー州中央部のサラブレッド繁殖牧場で、馬ウイルス性動脈炎(EVA)の発生が確認された。発生は1きゅう舎のみであり、16頭の繁殖雌馬と仔馬が感染した。臨床症状はいずれも軽微であり、発熱、浮腫(特に後肢)、元気消沈および食思の低下が観察された。また、少量の鼻漏の排出や、肩部にジンマシン様の発疹がみられたウマ(2頭)も確認された。これらの症状は、36_48時間後には回復した。流産や仔馬の死亡は認められていない。このウイルスは淡黄色の被膜をもつことが知られており、鼻咽腔スワブから分離された。最初の感染が疑われた時点で、この牧場への動物の出入りは直ちに禁止され、その後に出産した雌馬はいない。現在、ウイルス発生源の綿密な調査と、ケンタッキー州の獣医師による監視・指揮が実施されている。
3月23日付のケンタッキー大学からの情報をもとに作成
昨年11月に、アメリカ合衆国北東部における西ナイルウイルスに関する近況を報告したが、すでに数ヶ月が経過している。当時は、本年におけるこの感染症の再発を予測することは困難であった。
今回の報告は、最近になって1ヵ所の水溜まりに生息していたイエカ属の蚊の成虫から、西ナイルウイルスが分離されたことに関するものである。この蚊は幸運にも越冬に成功し、ニューヨーク都市部のクィーンズ独立区の採取トラップで捕獲された。その後、ニューヨークのウェストチェスター郡で死亡したレッドホークからも、同ウイルスが分離された。これらのウイルスは、いずれも米国北東部あるいは国内の他の場所で越冬したものと考えられる。すなわち、この生き残りのウイルスにより、北東部あるいは国内の他の場所において、本年もヒトやウマにおいて西ナイルウイルス脳炎が流行する可能性があるといえる。ニューヨーク、ニュージャージ、ペンシルバニア、コネチカットおよび他の西海岸の各州では、蚊と野生動物のウイルス感染に関する強力な監視体制の整備に着手しているが、現時点において今年のウイルス分布を予測することは困難である。また、少なくとも2社がこのウイルス脳炎に対するワクチン開発に対し、強い関心を寄せている。