2000年11月24日付けICC(International Collating Centre)からの情報
11月17日付の号外で、香港の4歳のサラブレッド競走馬(セン馬)1頭が、脳炎の臨床症状を呈し、10月30日に安楽死処置されたことを報告したが、この競走馬が日本脳炎ウイルス(JEV)に感染していたことが明らかとなった。
香港のDepartment of Health, Government Virus Unit, Queen Mary Hospital は、10月25日と30日に採取されたペア血清のJEVに対する抗体価は、4倍に上昇していたと報告した。さらに、以下のウイルス学的・血清学的所見を報告した。
キ 豪州ビクトリア州のGeelongにあるCSIRO, Australian Animal Health Laboratory (AAHL)において、ウイルス学的検査が実施され、JEV感染の証拠が示された。すなわちRT-PCR検査により、脊髄におけるJEV・RNAの存在が確認された。また、10月25日と30日に採取されたペア血清においては、プラック中和試験によるJEVに対する抗体価の上昇が認められた。さらに、10月30日に採取された脳脊髄液中のJEVに対する中和抗体が低値ながら認められた。今後はウイルスの型を明確にし、その分子疫学を理解するために、脊髄材料からウイルスを分離する試みが継続される。
キ 10月30日に採取された血清は、香港のAgriculture, Fisheries and Conservation Department, Castle Peak Veterinary Laboratoryにおいて、以下の抗体を検出するために、モノクローナル抗体をベースとするcompetitive ELISAを用いて検査された。すなわち、日本脳炎ウイルス群に対して、特にJEVおよび西ナイルウイルス(WNV)について検索された。血清は日本脳炎ウイルス群に対して強く反応し、JEVに対しては特異的に反応したが、WNVに対しては反応しなかった。なお、感染馬との同居群17頭のペア血清からは、WNVの抗体は認められず、JEVの抗体上昇もみられなかった。
なお、東部馬脳脊髄炎、ベネズエラ馬脳脊髄炎および西部馬脳脊髄炎に対する血清学的検査結果はすべて陰性であった。
本事象は1頭のみからの分離例であり、香港に繋養されている他の1,580頭の馬には、この前後に脳炎の徴候はみられていない。