2001年5月11日付けwww.thehorse.com、www.bloodhorse.com からの情報
本年4月末より、米国ケンタッキーのウマにおいて、流産や胎仔の死亡が多発しており、その原因を調査中である。
症状は2種類に分類される。1つは妊娠後期の流産・難産であり、仮に生まれても、仔馬は病弱で、数日で死亡する例もある。これらの仔馬には白血球の減少や脱水症状および敗血症などが認められている。罹患繁殖牝馬には乳欠乏が認められる他、胎盤は厚く浮腫様となっており、胎盤が剥離し胎仔よりも先に排泄される場合もある。これは「red
bag 」と呼ばれる現象で、出産の介助がなければ、胎仔の窒息を招く。4月28日以降、5月10日までに、ケンタッキーの家畜疾病診断センター(LDDC)に診断のために運び込まれた流産・死産胎仔は386例である(内5/8は28例、5/9昼までに25例、以降11例)。1日に60例以上が搬入された日もあった(従来、この時期に搬入される1日当たりの流産は5,6例)。18品種のウマで確認されているが、70%がサラブレッド種である。
もう1つの症状は、妊娠が確認されたものの、妊娠45-80日目(通常60日目)の定期超音波診断において、早期の流産と診断される例の増加である。
270ヶ所の牧場主にアンケートを送付したところ、 5月9日までに159牧場より回答があった。このうち、早期流産または仔馬の死亡が全くみられていないのは37牧場のみであり、一方17牧場では牧場全体の50%以上に早期流産または仔馬の死亡が認められている。また8日現在、アンケート基準を満たす3,216頭の牝馬のうち、79%にあたる2,616頭の胎仔は生存している。
247頭の病理解剖によると、この疾病は牝馬の妊娠初期から終期にまで及んでいる。これまでのところウイルスが関与する疾病ではなく、伝染性のものではないと判断されている。4月に雪が降るなどの天候不順の影響により、牧草中にカビ毒(マイコトキシン)が発生したためとの説もある。
※次項カビ毒(マイコトキシン)について
※ カビ毒(マイコトキシン)について
マイコトキシンが関連している可能性について、Guelph大学の Trevor Smith (BSc, MSc, PhD)が以下のように述べている。
マイコトキシンとはカビから生産される毒素であり、家畜が多量に摂取すると傷害を受ける。よく知られたマイコトキシンの1つに、イネ科牧草に寄生した内生植物が産生するものがある。イネ科牧草の毒素は以下の症状の原因となりうる。すなわち後期流産、難産・異常分娩、産後の乳欠乏、厚くタフな胎盤の形成および妊娠期間の延長である。 他にも様々のマイコトキシンが存在し、ウマにおける以下の症状の原因となりうる。すなわち、食思低下、腸の障害、免疫力の低下、嗜眠、運動失調、白血球減少症、カビトウモロコシ毒、エストロジェンの産生増大による繁殖障害、血圧低下である。カビ毒はある成長段階のカビにのみ産生される。また、薬物や熱に耐性のあるものもある。
ケンタッキーで発生している問題は、ある特殊な条件下での飼料摂取かもしれない?同州はこの春天候が不順であり、降雪を伴なう厳しい寒冷の後に、日照りが続いている。寒冷と日照りのストレスは、家畜の飼料へのカビの侵入を増加させることが知られており、この春のケンタッキーはカビの生長に好都合であった。またマイコトキシンの封じ込めについては、いくつかの誤報が発生しており、ビール酵母菌と大豆のさやは毒素の封じ込めに役立たないと述べている。