2008年11月19日
軽種馬防疫協議会 事務局
(JRA馬事部防疫課)
(1)カナダ産肥育用素馬における馬ウイルス性動脈炎の摘発
2008年1月に輸入検疫を実施したカナダ産肥育用素馬(雑種、2歳、去勢)111頭の群で、馬ウイルス性動脈炎(EVA)の抗体陽性馬が摘発された。ワクチン未接種で、日本到着1ヵ月前にカナダの出国検疫でEVAの中和抗体陰性であることが確認されていたが、我が国の入国検疫開始時の検査では、95%にあたる106頭がEVAの中和抗体陽性であった。その後、抗体陽転が4頭にみられ、3週目には110頭(99%)が抗体陽性馬となり、全頭を殺処分とした。
精密検査では、生前の白血球、鼻腔スワブ、尿、剖検後の各リンパ節、脾臓等を材料として、RT-PCRによる遺伝子検出と細胞接種によるウイルス分離を試みた。各材料の直接RT-PCRでは、3頭のリンパ節材料から馬ウイルス性動脈炎ウイルス(EAV)の特異遺伝子が検出された。RK-13細胞に接種した1頭の下顎リンパ節材料の回転培養で2代目にCPEを示すウイルスが分離され、モノクローナル抗体による間接蛍光抗体法及びRT-PCRによりEAVと同定した。感染原因等を究明するため、分離ウイルスの性状や遺伝子解析を進めているが、国内への侵入を阻止することができたことで、二重検疫の重要性を示す事例であった。
(2)カナダ産肉用繁殖馬における馬鼻肺炎の摘発
2008年1月に入検したカナダ産肉用繁殖馬88頭の馬群で、馬ヘルペスウイルス(EHV)感染による流産が多発する事例があった。当該馬群は2歳〜18歳の重種馬で、33頭の妊娠馬と55頭の空胎馬が混在していたが、妊娠馬において輸送途中及び検疫1日目から34日目までに計9頭の流産が発生した。
検疫期間中に流産以外の臨床症状はみられなかったが、精密検査の結果、流産胎仔の各種臓器及び4頭の母馬の鼻腔スワブでEHV-1の遺伝子が検出され、7頭の胎仔臓器よりEHV-1ウイルスが分離された。抗体検査では、約1ヵ月間隔のペアー血清の補体結合反応において、33頭の妊娠馬のうち9頭に有意な上昇がみられた。検疫対応として、空胎馬は入検当初に妊娠馬から隔離し、臨床症状(−)とPCR(−)でウイルスの排泄がないことを確認後、検疫14日目に解放した。妊娠馬群については流産が続発し、解放の目途がたたないことから、輸入者の意向により33頭全頭を殺処分とした。
(情報提供:農林水産省動物検疫所)