2004年
軽防協ニュース速報 NO.1


2004年第1四半期(1月−3月)の伝染病発生状況についての報告



(International Collating Center からの情報)
2004年5月7日


アルゼンチン
馬インフルエンザ
アルゼンチン国内の馬の移動時および競馬場入きゅう時の強制的なワクチン接種にも関わらず,限局的な馬インフルエンザ(H3N8)の発生が,San Isidroトレーニングセンターで確認された。確定診断は,Instituto de VirologiaとCICV y A INTA Castelarでウイルス分離とPCRによって行われ,HAに関する遺伝子解析は,現在進行中である。このトレーニングセンターは1,500頭の馬が在厩しているが,5頭の3歳サラブレッドのみが咳と軽い発熱を伴った軽度な感染を起こしただけであった。ウイルスは5頭中2頭から分離された。

オーストラリア
腺疫
 
数多くの症例が報告されている。

カナダ
報告未着。

デンマーク
報告事項なし。

フランス
馬インフルエンザ
 馬インフルエンザが,Alpes-Maritimes,Oise,Pyrenees-AtlantiquesとYvelinesの7つの異なるサラブレッド種のきゅう舎,およびAlpes-Maritimes, Ille-et-Vilaine, Manche, Mayenne, Vendeeのトロッター競走馬, およびSeine-et-Marneの乗用馬とOiseのポニーで鼻粘膜のスワブのELISA検査により確認された。
 馬インフルエンザOiseのサラブレッド種(10つの異なるきゅう舎), Pyrenees-Atlantiques (2きゅう舎)とYvelines(3きゅう舎),およびAlpes-Maritimesで非サラブレッド種(2つの異なるきゅう舎),Bouches-du-Rhone(全てトロッター競走馬),およびCharente-Maritime,Oise,Yvelinesの5つの異なるきゅう舎, EssonneとHauts-de-Seineの乗用馬で血清学的検査によって確認された。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 EHV-1型による流産がOrneのトロッター競走馬(同じ牧場で2頭),Mancheの乗用馬で発生した。EHV-1は凍結切片による免疫蛍光法,細胞培養で診断され,PCRは陽性診断を確認するために使われた。

EHV-4の呼吸器型
 
EHV-4がCalvados, Bouches-du-Rhone(2つの異なるきゅう舎), Correze,Maine-et-Loire,Oise(11きゅう舎), SartheとYvelines(2きゅう舎)のサラブレッド種, Calvados ,Charente-Maritime,Coted`Or, Manche,Nord,Oise, Yvelines(3つの違う厩舎),Somme, Essonne, Hauts-de-Seine, Val-d`Oise(2きゅう舎)(全て乗用馬), Sartheのトロッター競走馬,AinとEssonneのほかの非サラブレッド種で血清学的診断によって確認された。

ピロプラズマ病
 ピロプラズマ病は,南フランスで風土病として存在している。

ドイツ
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 第1四半期において,EHV-1による流産が4つの異なる施設で4例発生している。
単発症例は,2004年1月13日にワクチン接種歴不詳のサラブレッド種繁殖牝馬で発生している。 診断はHannover大学において流産胎子の組織のPCR検査によって行われた。当該施設からはさらなる流産の報告はない。
 別の症例は,2004年3月6日に発生した。1回のワクチン接種済みのサラブレッド種牝馬で発生し,蛍光抗体法と細胞培養法ではウイルスは確認されなかったが,Munich大学においてPCR検査によってEHV-1型と診断された。血液検体は当該繁殖牝馬と接触した数頭の牝馬から採材され,詳しい血清学的検査の結果を待っている。その一方でこの施設では,1頭の繁殖牝馬が正常な子馬を出産した。
 単発症例が3月23日にワクチン接種済みのサラブレッド種繁殖牝馬で起こり,Giessen大学でPCR検査と蛍光抗体法によって確定診断された。今のところ当該施設ではさらなる流産は発生していない。
 3月29日にサラブレッド種繁殖牝馬で単発の流産症例が発生し,Hannover大学において流産胎子の組織のPCR検査によって診断された。この症例は,血清学的検査を行っている最中である。

香港
報告事項なし。

アイルランド共和国
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 5例の散発的な発生が見られ,3例は1月,2例が3月の発生であった。

EHV-4の流産型
 
1例が病原体分離とPCRによって診断された。

馬インフルエンザ
 1月と3月に発生が確認された。単発症例が1つの牧場で,多頭数発生が2つの牧場で1月に見られた。発生は小規模でありワクチン接種済みの馬に限られ,臨床症状は軽度であった。単発症例が3月に診断された。診断は鼻汁を使ったPCRで行われ,ウイルスはH3N8のアメリカ型であることが確認された。

ロタウイルス感染症
 
ラテックス凝集反応により,4つのサラブレッド施設において感染が3月に確認された。

馬ウイルス性動脈炎
 
交配シーズン前までに合計13,344頭の馬の馬動脈炎ウイルス抗体価をスリーニング検査したところ,アイルランド繁殖牝馬の血清陽性率は2%以下であった。検査した馬のサンプル中の抗体価が上がったという証拠はなく,得られた精液の全てをPCR検査した結果は陰性であった。合計621ドーズのEVA不活化ワクチン“Aetervac”が6ヶ月前に発売された。

腺疫
 
腺疫が10ヶ所で発生し,25症例からS.equiが分離された。

イタリア
馬インフルエンザ
 
インフルエンザ(H3N8)の発生が,ローマのトロッター競走用の競馬場で発生した。これ以外にインフルエンザの発生はない。

腺疫
 
第1四半期において,散発的な腺疫の発生が見られた。

日本
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
7つの施設において11頭のサラブレッド種牝馬で流産が発生し,日高家畜保健衛生所において病原体分離によりEHV-1による流産が確認された。流産は2004年2月11日から3月19日の間に起こり,このうち6頭の牝馬はワクチン接種済みであった。

馬伝染性子宮炎
 
2004年3月8日に1頭のサラブレッド種牝馬がCEMと診断された。診断はJRA競走馬総合研究所栃木支所において,PCR検査により行われた。

破傷風
 
1月12日に1頭の非サラブレッド種が破傷風の臨床症状が見られた。この馬のワクチン接種歴は不明である。

ニュージーランド
報告事項なし。

スペイン
報告事項なし。

スウェーデン
腺疫
 
トロッター競走馬を含む26の施設において腺疫が発生した。

馬インフルエンザ
 
2つの施設でインフルエンザが発生した。ポニーも感染したが,臨床症状は軽度であった。

スイス
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
西部と中部において,1月と2月に3頭のEHV-1による流産が発生した。

腺疫
 
ジュネーブとチューリッヒ各州で2月と3月に4例が診断された。

クロストリジウム感染症/アクチノバチルス感染症
 Clostridium perfringens(β2-陽性)とActinobacillus equuliが敗血症の子馬から分離された。

馬ピロプラズマ病
 西部において,血清学的検査で2頭のみ確認された(1頭がB.caballi,1頭が B.equi;Theileria equiと同義語)。

トルコ
報告事項なし。

アラブ首長国連邦
馬ピロプラズマ病
Babesia.equi
およびB.caballiは散発的に発生している。

イギリス
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 この四半期で6つの異なった施設から流産の原因となるEHV-1が,AHTの研究所において診断された。この中の2施設はともにLeicestershire州にあり,更なる流産が発生している。
 1月後半にサラブレッドのきゅう舎から提出された検体流産胎子のPCR検査によってEHV-1が検出され,HBLB Code of Practiceによる対策が直ちに講じられた。3週間後に接触した牝馬でさらなる流産症例が確認された。この牧場の40頭すべての牝馬が,妊娠中に完全にワクチン接種が行われていた。
3月前半にワクチン未接種の非サラブレッド種牝馬群で流産の嵐が起こった。この牧場では11頭が流産し,4頭の死後解剖が行われ,3頭がEHV-1による流産と確認された。その他のEHV-1流産は,ワクチン接種と未接種の牝馬の間で単発的に発生している。
2月にさらに3頭の非典型的なEHV-1がワクチン接種済みの繁殖牝馬の胎盤組織のPCR検査によって診断されたが,胎子は陰性であった。この事例は他で起こった流産とは関係なく独自に発生したものである。
Hertfordshireのサラブレッド牧場において,生後6時間で死亡した子馬の死因がEHV-1であると診断された。通常と違ってこの牝馬は,前年もEHV-1による流産を起こしていた。
Leicestershireから持ち込まれた流産胎子の組織のPCR検査により,ワクチン未接種の牝馬の流産が,EHV-4によるものと診断された。

EHV-1の神経型
 この四半期で2件のEHV-1神経型の発生が確認された。ともに貸し馬牧場であった。3月前半にSomersetの牧場から2頭の臨床症例の報告があった。1頭の馬は典型的な症状であったが,10日後に良好に回復した。もう1頭はすぐに起立不能となり,安楽死処分された。2頭とも死後の検体は採材されていないが,両馬は接触があり血清学的検査による高いCF抗体値を保有していた。3月の終わりにDevonの牧場において発生が認められた。この中で起立不能になった2頭が安楽死処分され,そのうちの1頭が病理解剖によりEHV-1が原因であると診断された。20頭の馬が直接接触しており,さらに5頭に軽度な運動失調が見られたが,完全に回復した。この中で他馬と接触した馬は高いCF抗体価を保有していた。両方の牧場の馬は,以前にワクチン接種を受けておらず,両牧場は感染が沈静化するまで自発的に閉鎖した。

EHV-1の呼吸器型
 
1月に個別の施設においてワクチン未接種馬のEHV-1による呼吸器疾患が2例報告された。Devonの施設で大量の鼻漏を排出していたロバが,血清学的検査で高いEHV-1抗体を示した。この施設でEHV-1と無関係な理由で安楽死処分になった他のロバも血清学的検査により,急性のEHV-1感染を起こしていたことが明らかとなった。 Hampshireで飼養され,繁殖,育成されている若いシマウマが,呼吸困難を呈したのち突然死し,死後の病理解剖で組織学的にEHVによる疾患と考えられる変化が見られた。EHV-1はその後,粘膜とリンパ節から分離された。
 この四半期にさらに4つの牧場から発熱と粘膜蒼白または発咳がみられた馬が報告され, AHTに検体が持ち込まれた。ワクチン未接種馬でCF抗体価が高値であった。

馬インフルエンザ
 Gloucestershire,Yorkshire,Kentの各牧場で4月の第1週の間に3件の別々の馬インフルエンザが,鼻粘膜スワブの核蛋白(NP)ELISAによって診断された。このうちの1頭は過去2ヶ月以内にインフルエンザワクチンを接種されていた。回復期の血清と接触動物の検査は,まだ行われていない。

アメリカ合衆国
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 2003年8月から2004年3月中旬までケンタッキー州中心部の21牧場において,EHV-1によるサラブレッド種牝馬の流産が22例,非サラブレッド種の2例がLexingtonの家畜診断センター(LDDC)で診断された。全ての馬がワクチン接種を受けていた。

レプトスピラによる流産
 2003〜2004年の秋から冬にかけて,ケンタッキー中央部のサラブレッド種の牧場と他の牧場において,36例のレプトスピラによる流産がLDDCによって診断された。血清学的データによりpomonaのサブグループである血清型 kennewickiが多くの症例で原因となっていることが確かめられた。ほとんどの場合単発の症例で,2〜3症例が見られた6つの牧場を除くと個々の牧場での発生である。

ウエストナイルウイルス感染症
 
2004年初旬にベクターウイルスとしてカナリアポックスウイルスを使用した遺伝子組替えワクチンである「RECOMBITEK馬用ウエストナイルウイルスワクチン(Merial社)」がアメリカ農務省の認可を取った。これはアメリカ合衆国において,馬の疾患に対して認可された生ワクチンとしては5番目である。これまでに馬ウイルス性動脈炎,馬インフルエンザ,馬鼻肺炎,腺疫用生ワクチンが市販されている。



・軽種馬防疫協議会ホームページ