2004年
軽防協ニュース速報 NO.3


2004年第3四半期(7月−9月)の伝染病発生状況についての報告



(International Collating Center からの情報)
2004年10月29日


アルゼンチン
馬のヘルペスウイルス
EHV-1流産型
 7月2日から8月30日までに7つの施設で数頭の馬(サラブレッド種と非サラブレッド種)で流産が発生した。INTA Castelarのウイルス研究所によるウイルス分離とPCR検査の結果、EHV-1感染が確定診断された。ワクチン接種状況は様々でいくつかの牧場ではFort-Dodge社のPneumabort-Kを胎齢5,7,9ヶ月目に接種していたが、他の牧場は全く接種をしていなかった。7つの施設のうち5つで複数例の流産が発生し、ひとつの牧場では30頭のうちワクチン接種済みの9頭が流産した。他の2つの牧場ではEHV-1による流産は散発的であり、それぞれ1頭のみの発生であった。

オーストラリア
腺疫
 New South Wales州で10例の腺疫の発生が確定診断された。

馬のヘルペスウイルス
EHV-1流産型
 
Victoria州において1例のEHV-1による流産の発生が報告された。

 Queensland州とNew South Wales州で数多くの妊娠後期の流産が報告された。これらの流産は既知の伝染病ではなく、現在これらの症例について調査中である。

カナダ
報告未着。

デンマーク
報告事項なし。

フランス
馬インフルエンザ
 CalvadosとEureの非サラブレッド種(トロッター)が、鼻汁スワブのELISA検査によって馬インフルエンザと診断された。Oiseのサラブレッド種、Nordの非サラブレッド種(トロッター)、Yvelinesの乗馬が血清学的に馬インフルエンザと診断された。

馬ヘルペスウイルス
EHV-4呼吸器型
 
Bouches-du-Rhone, Calvados, Maine-et-Loire(2つの異なるきゅう舎), Oise(9きゅう舎),Pyrenees-Atlantiques, Sartheのサラブレッド種で、血清学的にEHV-4 呼吸器型と確定診断された。EHV-4 の呼吸器型は、Bouches-du-Rhone,Calvados, Vendeeのトロッター、Maine-et-Loire, Nord(2つの異なるきゅう舎),Yvelines ,Essonne (2)およびVal dユOise ,の乗用馬、Nord, Rhin(Haut-)とYvelines(2つの異なるきゅう舎)の非サラブレッド種で確定診断された。

ピロプラズマ病
ピロプラズマ病は南フランスの風土病として常在している。

ウエストナイルウイルス感染症
 
以下はProMEDから得られた情報である。
南フランスにおける馬のウエストナイルウイルス感染症の発生(2004年9月)
 2004年9月28日、馬のウエストナイルウイルス(WNV)感染症の疑似患畜2症例が、フランス南西部のCamargue地方のSaintes-Maries de la Merで確認された。フランス食品安全庁によって 疑似患畜から採取された血液によるELISA検査が行われた。その結果、2004年9月10日にWNVに対するIgM、IgG抗体が検出された。2004年9月13日にフランス全土に警告が出された。
2004年9月30日までに37頭の馬の疑似患畜が報告され、そのうち4頭が斃死または安楽死処置された。検査された18頭のうち14頭がWNV陽性(WNVIgMが検出あるいはRT-PCRでの陽性)であった。これらの最も一般的な症状は、発熱、横臥、運動失調、麻痺、興奮性である。Lyonの国立アルボウイルス情報センターは3症例に特異的中和抗体を確認した。
疑似患畜は、最初の発生地であるSaintes-Maries de la Merから西と北に35kmの範囲で分布している。Saintes-Maries de la MerはRhone三角州に位置しており、渡り鳥や定住している鳥類が無数に生息している。今回の発生地域は、2000年に馬での発生(8月末から11月初旬にかけて131頭の疑似患畜が発生し、76頭が確定診断された。)があった地域とほぼ同じ範囲である。2000年の発生では人の症例は報告されておらず、2004年も39週目まで人の発生報告は無い。

 2000年の発生の後、WNVの総合的な監視プログラムが農業省、公衆衛生環境省の連携と当該地方の省庁、すなわち、Herault,Gard,Bouches du Rhoneを網羅して進められた。監視鳥類(鶏、鴨)に対して定法によりWNV抗体検査を行った。馬や人の疑似患畜はWNV感染症の検査を受けた。
 死亡野鳥はWNV検査のために集められた。7人の人の患者と4頭の馬の患畜が出た2003年のFrejus市(Camargue省の200km東、Var省)に限局したWNV感染症の発生があったため、2004年の監視鳥類の監視プログラムは、Pyrenees省東部からVar省まで地中海沿岸に沿って6つの省に対象を広げて実施された。対象とされた省では、同様に人と馬の疑似患畜の報告がある。
Camargue地方の監視鳥類から低率ながらWNVの活動が報告された。2001年の抗体上昇した鳥が1羽、2002年が1羽、2003年は無かった。2004年7月下旬、Saintes-Maries de la Merの監視鶏の抗体価の上昇が報告され、8月中旬には同じ場所で2例目の抗体上昇が報告された。 2004年9月6日にこの群中の2/3の監視鳥類がWNV抗体陽性となった。8月16日にHeraultのSaint-Justの監視鴨がWNV抗体陽性と報告された(感染は2004年9月7日に確定した)。
 以下は9月13日に発表された警告である。すなわち、(a)人と馬の疑似症例の監視強化。(b)感染馬が見つかった地域のベクター調査。(c)2004年10月末まで汚染地域の居住者や旅行者からの輸血禁止についてのいくつかの対策である。2004年8月初旬から9月中旬までに汚染地域の供血者から得られた789の輸血用血液による疫学調査では、検体中にWNV遺伝子が検出されなかったと報告されている。

ドイツ
報告事項なし。

香港
報告事項なし。

アイルランド共和国
サルモネラ症
 この四半期で1頭のサルモネラ症が発生した。

腺疫
 
この四半期で15頭のS.equi感染症が確定診断された。

馬インフルエンザ
 
8月中旬にひとつの国立狩猟公園の20頭の馬のうち4,5頭が軽度な馬インフルエンザの症状を示し、鼻汁のPCR検査により確定診断された。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1神経型
 EHV-1の神経型症がワクチン未接種の馬1頭で発症し、当該馬は安楽死となった。診断は死後組織のPCR検査によって行われた。ウイルス学的な調査が進行中であるが、感染が拡大しているという証拠は無い。

イタリア
 
報告事項なし。

日本
馬ヘルペスウイルス
EHV-4呼吸器型
 
7月7日から8月20日の間に2つの施設で19頭のワクチン未接種馬が感染した。日高家畜保健衛生所で血清診断、PCR検査によってEHV-4が確定診断された。

ニュージーランド
報告事項なし。

スペイン
報告未着。

スウェーデン
サルモネラ症
 Salmonera typhumuriumが3つの異なった牧場の子馬から分離された。これらの牧場の疫学的な関係は調査中であり、牧場は隔離されている。

腺疫
 
腺疫は全国的に風土病として存在しており、確定診断はすべて検査室で確定されたものではないが、62症例が報告されている。

インフルエンザ
 20症例が報告されており、検査室で確定診断された。いくつかの競馬場で大きな問題となっており、競技や開催が中止となった地域もある。

スイス
馬ヘルペスウイルス
EHV-4
 
中部地方で6月末に1例届出があった。

腺疫
 
中部地方とJura地方で7,8月の間に3症例の届出があった。

馬ピロプラズマ病
 
西部、北西部、中部地方において3頭(1例の B.equi syn. Theileria equiB. caballi equiが1例ずつ)の臨床症例と9頭(B. caballiが2頭、B.equi syn Theileria equiが3頭、B. caballi equiが4頭)の血清検査による摘発例があった。

大腸菌症
 
Bernes州(2, Fribourg州, Grisons州で4症例が発生した。

ボツリヌス症
 
1例が報告されたが、詳細は不明である。

トルコ
報告事項なし。

アラブ首長国連邦
報告事項なし。

イギリス
馬インフルエンザ
 
この四半期に馬牧場で2つの発生があった。
EnglandのStanffordshire州で7月の初旬に発生した。9頭のワクチン未接種馬が、絶え間ない発咳、発熱、漿液性鼻汁などの臨床症状を示した。さらに14頭の馬が接触感染した。感染した馬はすべて5〜7歳であった。診断はスワブの核蛋白ELISA法による陽性と血清抗体価の上昇に基づいて行われた。
 7月初旬にWalesのPembrokeshire州でも発生が認められた。4頭のワクチン未接種馬から検体が採取され、ペア血清で抗体価の上昇が認められた。当該牧場の36頭のワクチン未接種馬のうち6頭に症状が見られた。さらに3頭の疑似患畜が報告されたが、ワクチン接種歴があり症状は軽度であった。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1神経型
 7月初旬にEnglandのDerbyshire州の馬牧場でEHV-1の神経型が発生した可能性がある。1頭の馬がEHV-1神経型に典型的な麻痺や横臥などの症状を示し、6月末に安楽死された。死後に病理解剖は行われなかったが、安楽死前の血清材料からワクチン未接種馬にしては高いEHV抗体が検出された。1週間のうちに当該牧場に繋養されている30頭のうち、接触のあった6頭が呼吸器症状を発症し、鼻汁や四肢浮腫などの症状が見られた。これらの馬のうち採材が行われた1頭のペア血清でEHV抗体の上昇が認められた。

 Suffolk州のトレーニング牧場でも、7月初旬にEHV-1 神経型が発生したことが確認された。トレーニング中の2歳牡馬に39.4℃の発熱と四肢の浮腫が見られた。これらは、その後運動失調と尿失禁に進行した。EHV-1 がヘパリン加血液材料から分離され、ペア血清で抗体価の上昇が確認された。類似した臨床症状を示した他の症例は2週間前に発症し、ワクチン未接種馬としては高いEHV抗体価を示した。両馬とも良好に回復した。さらに60頭の馬の採材が行われ、高いEHV抗体価を示した馬が2頭いたが、臨床症状は見られずウイルスも検出されなかった。

EHV呼吸器型
 7月にSuffolk州のトレーニング牧場で、EHV呼吸器型の発生が1例認められた。同馬の症状は軽度であった。ペア血清による抗体価の上昇は認めたが、ウイルスは分離されなかった。

アメリカ合衆国
東部馬脳炎(EEE)
 
フロリダ州、ルイジアナ州から東海沿岸の各州、南はテキサス州から北はニューハンプシャー州、マサチューセッツ州までの範囲でEEEの症例が報告された。

水胞性口炎(VS)
 
9月16日にUSDA(米国農務省)は、コロラド州で104,ニューメキシコ州で77,テキサス州で15,合計196の施設の290頭の馬属および39頭の牛に発生した。さらに詳細な情報は、http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/vs/vs.htmlから得られる。テキサス州動物衛生委員会、ロンスターパーク競馬場、ブリダーズカップ組織委員会は、USDAと共に10月30日にテキサス州ダラス/フォートワースにあるロンスターパーク競馬場で行われる予定のブリーダーズカップの準備として、VSの制圧・監視プログラムを決定した。

ウエストナイルウイルス感染症(WNV)
 USDAは9月30日の時点で、2004年に63頭の馬のWNV感染症例の発生を報告した。すなわち、カリフォルニア州(385症例)、アリゾナ州(89症例)、ネバダ州(70症例)など主に西部の州である。州ごとの馬の発症率に関する情報はhttp://www.aphis.usda.gov/vs/nahps/equine/wnv/map2004.htmlから得られる。
同じ期間に疾病管理・予防センター(CDC)は、56人の死者を含む1784人の患者を報告しており、多くの症例はカリフォルニア州(563人)、アリゾナ州(362人)、コロラド州(225人)から報告されている。


・世界の馬伝染病発生情報