2005年
軽防協ニュース速報 NO.4


2005年第4四半期(10月−12月)の伝染病発生状況についての報告



(International Collating Center からの情報)
2006年2月27日


アルゼンチン
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
10月26日に発生。確定診断はCastelarウイルス学研究所におけるウイルス分離とPCRによって行われた。発生は1頭の競技用の繁殖牝馬における限局的なものであった。この施設に繋養されていた全ての繁殖牝馬に対しては、妊娠5、7および9ヵ月にワクチン(Fort Dodge社製 Pneumabort K)が接種されていた。

EHV-4の呼吸器型
 
6頭のサラブレッド種に発生。いずれも症状は軽度であった。確定診断はCastelarウイルス学研究所におけるウイルス分離とPCRによって行われた。いずれの馬に対してもインフルエンザ、ヘルペスウイルス1型および4型の不活化ワクチンが接種されていた。そのうち2歳馬については、調教施設に入きゅう後に軽度の呼吸器症状を呈していた。

オーストラリア
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
ニューサウスウェールズにおいて、以下の4件の発生が確認された。
 * ニューサウスウェールズ北部における1施設の繁殖牝馬12頭のうち、10頭についての発生が確認された。EHV-1ウイルスは、この施設を訪れた牝馬によって持ち込まれたものと考えられている。その施設は拡散防止のためのワクチンプログラムに着手している。
 * ハンター地区のサラブレッド種の牧場で、1頭の発生が確認された。確定診断は、流産胎子に対する病理組織学的検査によって行われた。
 * セントラルテーブルランド地区の1施設において、牧畜用の繁殖牝馬における発生が確認された。病理組織学的検査により、EHV-1感染が示唆され、PCR検査によって確定診断が行われた。本施設においては、この馬が唯一の繁殖牝馬であり、この馬が流産の発生があった他の種馬場を訪れた際に、感染したものと考えられている。
 * 他州からハンター地区に来た2頭のミニチュアポニーに発生が確認された。4週間後、さらにもう1頭の馬にも流産が確認された。その後の検査で、先の2頭についてはEHV-1感染によるものと確定診断された。

腺疫
 
ニューサウスウェールズにおいて、6頭の発生が確認された。

カナダ
 
報告未着。

デンマーク
 
報告事項なし。

フランス
非特異性ミオグロビン尿症
 
ウールとマイエンヌにおいて、それぞれ1頭の発生が確認された。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
カルバドスにおいて、2頭の流産発生が確認された。診断は組織切片における免疫組織染色法によって、確定診断は組織培養とPCR検査によって行われた。

EHVの呼吸器型
 
以下の発生(品種ならびに県)が確認された。確定診断は血清学的検査によって行われた。
サラブレッド種
 オアーズ(3施設)、イブリーヌ(4頭)。
トロッター種
 ドルドーニュ、ロワール、メーヌエロワール、マンシュ。
サドラー種
 ドルドーニュ、ウールエロワール、マンシュ、ノール(5きゅう舎)、セーヌ(3頭)、イブリーヌ(4頭)、エソンヌ(2頭)、オードセーヌ(2頭)。
その他の品種
 コレーズ(2きゅう舎)、ウールエロワール、メーヌエロワール、イブリーヌ(3頭)、バルドワーズ。

馬インフルエンザ
 
以下の発生(品種、診断法ならびに県)が確認された。
トロッター種
 鼻咽頭スワブを用いたELISA法によって診断(オアーズ、バルドマルヌ)。
サドラー種
 鼻咽頭スワブを用いたELISA法によって診断(カルバドス)。
 血清学的検査によって診断(ノール、Siene、イブリーヌ:3きゅう舎)。
ポニー種
 鼻咽頭スワブを用いたELISA法によって診断(イブリーヌ)。
 血清学的検査によって診断(ノール、イブリーヌ)。

ピロプラズマ病
 
フランスで風土病として存在している。

ドイツ
 
報告事項なし。

香港
 
報告事項なし。

アイルランド共和国
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の神経型および流産型
 
第3四半期に報告された神経型の発生においては、3頭の牝馬が死亡もしくは安楽死となった。二次的な感染の拡大は確認されておらず、最近行われたスクリーニング検査によって終息が確認されている。流産型は、3施設3頭に発生が確認されている。

馬ウイルス性動脈炎
 
アイルランドエクワインセンターの報告によると、アイルランド国内のサラブレッド種におけるEAVの疫学調査が行われた。2005年の12月22日までに15,863頭から採取された血液サンプルによって、抗体検査が実施されたが、感染は確認されなかった。

腺疫
 
8件13頭の発生が確認された。

イタリア
腺疫
 
軽度から中程度の症状による散発的な発生が確認された。

日本
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
11月24日、ワクチン未接種のサラブレッド種1頭に発生。さらに12月27日、ワクチン接種(1回)されたサラブレッド種1頭に発生。いずれの発生についても、確定診断は日高家畜保健衛生所においてウイルス分離により行われた。

マカオ
 報告事項なし。

ニュージーランド
 
報告事項なし。

ノルウェイ
 
報告未着。

シンガポール
 
報告未着。

南アフリカ
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
クワズール・ナタール州の牧場に繋養されていた2頭の牝馬に発生が確認された。確定診断はPretoria大学獣医熱帯病学科における血清学的検査により行われた。

馬ピロプラズマ病
 
本疾患は南アフリカにおいては風土病として存在しており、本四半期もTheileria equiBabesia caballiによる発生が確認されている。10施設における約20頭のサラブレッド種競走馬が感染し、典型的かつ軽度の症状を呈した。いずれも限局的な発生であった。確定診断は開業獣医師による血液塗抹標本の鏡検によって行われた。

腺疫
 
西ケープ州における複数のサラブレッド種の牧場を含む、少なくとも10施設200頭のサラブレッド種の馬に発生が確認されている。この発生は第4四半期から現在まで引き続いて起こっている。確定診断は菌分離により行われた。症状は軽度なものが多いが、子馬の中には重症例も存在している。

アフリカ馬疫
 
ICCがスワジランドの首都ムババーネにある農業省獣医畜産局から受けた報告によると、12月22日、同国の Shiselweni地方 Hluti区域内のMathanjeni diptank地区における牧場の繋養馬3頭のうち1頭が死亡し、臨床症状から診断された。現在、確定診断のために、南アフリカのOnderstepoort獣医研究所において検査が実施されている。発生牧場の馬が本疾患の発生地域に行った形跡はなく、原因は不明である。
この発生により、各種の防疫対策が講じられている。発生したMathanjeni diptank地区(2頭の馬と106頭のロバが飼養)においては、検疫隔離措置がとられており、同地区の馬主は所有馬に対して自費でのワクチン接種が勧められている。

スペイン
 
報告未着。

スウェーデン
 
報告未着。

スイス
Anaplasma phagocytophila(旧エレキア症)
 
11月、2施設2頭の非サラブレッド種の馬において限局的な発生が確認された。症状はいずれも軽度であった。確定診断は血清学的検査によって行われた。

グラスシックネス
 
本四半期中、1頭の非サラブレッド種が本疾患と診断された。症状は重度であり、確定診断は臨床症状と病理組織学的所見により行われた。

馬ピロプラズマ病
 
スイス西部とチューリッヒにおける5施設5頭の非サラブレッド種において発生が確認された。確定診断は血清学的検査によって行われた。臨床症状が確認された3頭のうち、1頭はBabesia caballi、2頭はBabesia caballiTheileria equiによる混合感染であった。また、抗体陽性の2頭については、それぞれBabesia caballiTheileria equiによる感染であった。症状はいずれも軽度であった。

腺疫
 
2施設における不特定多数の非サラブレッド種についての発生が報告された。ワクチン接種歴は不明であった。いずれも限局的な発生であり、一方の施設については菌分離によって、他方の発生は臨床症状によって確定診断が行われた。

トルコ
レプトスピラ病
 
L.Sem Patoc Iによる発生が報告された。11頭のサラブレッド種の馬における限局的な発生であった。症状はいずれも軽度であり、死亡例はなかった。確定診断はEtlik Central Veterinary Control and Research Instituteにおいて血清学的診断により行われた。

馬ピロプラズマ病
 
11月、1施設3頭のサラブレッド種の繁殖牝馬において、流産例の発生が確認された。発生は限局的なものであった。確定診断はトルコ・イスミル・ジョッキークラブ競走馬診療所検査部における血液塗沫検査、ギムザ染色、血球計算、生化学的検査によって行われた。

アラブ首長国連邦
馬ピロプラズマ病
 
本疾患は風土病であり、本四半期においても散発的な発生が確認された。

イギリス
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
5頭の発生が確認された。2頭はワクチン接種歴があり、3頭はサラブレッド種であった。確定診断は流産胎子の病理組織学的検査に加え、PCRとウイルス分離によって行われた。

EHV-1の呼吸器型
 
2施設2頭の鼻咽頭スワブからウイルス分離が行われた。1頭はサラブレッド種の子馬で、もう1頭は7歳の混血種の牝馬であった。いずれも呼吸器症状を呈していたが、同居馬は無症状であった。

馬インフルエンザ
 
本四半期は以下の3件の発生が確認された。
ウェールズからスコットランドに輸送された6ヵ月齢の混血種の子馬が、インフルエンザと診断された。確定診断は鼻咽頭スワブを用いたELISA検査によって行われた。母馬を含めて他の馬には感染は確認されていない。分離ウイルスはヨーロッパ系統のBenelux/03とBuckinghamshire/02に非常に近い型であると識別された。このウイルスは今年イギリス国内で発生したWales/05(Newmarket/03の近縁関係にあたる)とは全く異なるウイルス型であった。
 エセックスのリバリーヤードにおいては、在来種の馬10頭のうち5頭が、沈うつ、発熱、乾性咳漱などの症状を呈した。発症馬のうち4頭から採取した鼻咽頭スワブを用いたELISA検査によって、陽性が確認された。ワクチン接種歴は不明である。
 サマーセットにおける民間牧場(20頭繋養)において、1頭の発生が確認された。4歳のアイルランド・ドラフト種の馬であり、ワクチン未接種であった。せりで購買した馬2頭に発咳が見られたことが確認されており、これらの馬からの感染が疑われている。確定診断は対血清の抗体上昇によって行われた。鼻咽頭スワブは採取されなかった。

アメリカ合衆国
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の神経型
 
12月末、ケンタッキー北部のターフウェイパーク競馬場において、EHV-1神経型によるサラブレッド種の集団発生が起こった。1つのきゅう舎にいた競走馬2頭と、別のきゅう舎にいた誘導馬1頭が神経症状を呈し、そのうち競走馬1頭と誘導馬1頭が安楽死処置された。この発生に続いて、別のきゅう舎の競走馬がEHV-1による発熱症状を呈した。感染拡大を防ぐために、発症馬と接触した怖れがある馬については、鼻腔スワブを用いたPCR検査と血液検査が実施された。
 2006年1月初旬、ケンタッキー西部のトレーニングセンターに繋養されているサラブレッド種のうち、2頭がEHV-1に感染した。
 また、1月2日、ピムリコ競馬場において、1頭の馬が安楽死処置され、この発生後の検査で、同居馬にEHV-1感染が確認された。合衆国東北部の複数の競馬場ジョッキークラブは、これらの発生地域への移動制限措置を講じた。

ウエストナイルウイルス
 
USDAは、2005年の合衆国内の馬におけるWNW感染症の発生頭数が、1075頭であったことを発表した。その内42%がカリフォルニア州において確認されている。なお、2004年は1406頭、2003年は5181頭であった。
 また、疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)は、合衆国内のヒトにおけるWNW感染症の発生数が、2791名であったことを報告した。その内31%がカリフォルニア州おいて確認されている。2004年は約2500人、2003年は約8500人であった。

水胞性口炎
 
USDAは、2006年1月1日現在、コロラド州における2地区2施設において隔離措置を継続していることを報告した。





世界の馬伝染病発生情報