(International Collating Center からの情報)
2006年8月1日
アルゼンチン
ウエストナイルウイルス(WNV)感染症
2006年2〜3月の間に、神経疾患によって3頭の馬の死亡がアルゼンチン・ブエノスアイレス国立農業技術研究所のウイルス研究所に報告された。
死亡した1頭の牝馬は、ブエノスアイレス行政区のサンアントニオデアメリエにあるサラブレッド生産牧場で、2月6日に確認された。2頭目は、20km離れた他の牧場で2月15日に確認され、3頭目は、サンイシドロにあるトレーニングセンターのポロ競技用ポニー牝馬において、3月2日に発生した。これら3頭は、重度の脳炎、運動失調(不均衡、つまずき、四肢ふらつき)、顔面麻痺(眼瞼の下垂、口唇の下垂)、筋肉の震え、興奮、発作と起立不能の徴候を示した。発熱は認められなかった。症例馬と同施設に飼養されていた他の多くの馬には、神経疾患は見られなかった。
これら3症例の脳組織検体と1症例の脳脊髄液と血清が、ウイルス学的診断のために研究所に提出され、RT-PCR法とウイルス分離によって3症例すべてがWNV感染症と確認された。分離ウイルスの塩基配列が解読され、世界中の他のWNV株と比較された結果、今回のウイルスは、1999年以降、北アメリカで流行している他のWNVと同様にWNV
1a系統に属していることが示された。
免疫グロブリンM(IgM)は、ポロ競技用ポニー牝馬の脳脊髄液と血清を用いたWNV IgM捕捉ELISA法によって検出された。
これまで、他馬における症例は報告されておらず、人間の症例も報告されていない。また、この地域における野鳥の死亡は、これらの症例以前に観察されていない。
アルゼンチンにおけるWNV感染症の最初の感染原、罹患率、および他の生物学的特徴は、未解明のままである。国内における感染の最終発生を確認するために、遡及的な血清学的調査が実施されている。
診断と疫学的研究は、National Animal Health Authorities(SENASA)の調整の下で、INTAとINEVH(Human
Viral Diseases研究所)との共同によって診断ならびに疫学的研究が行われた。National and International
Public and Animal Health当局の通告により、馬の輸出入は一時的に禁止された。
上述の症例は、アルゼンチンにおいて初めて確認された馬のWNV感染症である。予防措置として、馬用WNV予防接種プログラムを検討中である。
オーストラリア
報告未着。
カナダ
報告未着。
デンマーク
報告事項なし。
フランス
馬インフルエンザ
インフルエンザは、オアーズの非サラブレッド種のサドラー種で鼻咽頭スワブのELISA検査により診断された。感染はオアーズ(2つの異なる厩舎)、サルト、およびイブリーヌのサラブレッド種でも血清学に診断された。非サラブレッド種では、サルトのトロッター種、マンシュ、バラン、バルドアーズのサドラー種、およびモーゼルとエソンヌのその他の品種でも診断された。
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
EHV-1による流産は、凍結切片を用いた免疫蛍光法によって診断され、陽性馬はウイルス分離とPCRにより確定診断された。EHV-1流産は、マンシュ、オアーズ、およびオルヌの異なる3施設で非サラブレッド種のトロッター種に発生した。
EHV-1の呼吸器型
EHV呼吸器疾患は、ロアールエシェール、メーヌエロアール(異なる2厩舎)、マイエンヌ、モーゼル、オアーズ(2)、サルト(3)、およびイブリーヌのサラブレッド種で血清学的検査により診断された。非サラブレッド種では、バランサルト、セーヌエマルヌのトロッター種、マンシュ(異なる3厩舎)、オートマルヌ、モーゼル、イブリーヌ(4)、ヴォージュ、オードセーヌ、およびヴァルドマルヌのサドラー種で確認された。EHV呼吸器疾患は、ブーシュデュローヌ、カンタル、モーゼル、セーヌ(2)、およびエソンヌの他の品種でも診断された。
ピロプラズマ病
ピロプラズマ病は,フランスで風土病として存在している。
ドイツ
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
第1四半期で報告したとおり、小規模な流産の流行が、ドイツ南部のサラブレッドの大牧場で2006年1月12日に始まった。さらに定期的に予防接種された牝馬におけるEHV-1による流産が、2006年4月2日に発生した。前述の流産と同様に、このEHV-1感染症はミュンヘン大学における免疫蛍光法、PCR、およびウイルス分離によって診断され、感染馬と接触した牝馬すべてについての血清学的検査が終了した。現在まで、この牧場におけるさらなる流産は発生していない。
香港
報告未着。
アイルランド共和国
サルモネラ感染症
1つの発生が報告され、2症例が確認された。
腺疫
この四半期に28発生で34症例が診断された。
馬伝染性子宮炎
5,492頭のスワブを検査した結果、陽性例は報告されなかった。
馬伝染性貧血
6月の報告(軽防協ニュース速報号外)から、さらなる1症例が、前回の発生と関連した限局的な1施設で確認された。症例馬は、以前確認された子馬の症例の母馬である。発生と関連した全ての馬の追跡調査が継続され、徹底的な検査体制がとられている。現在まで、1800の血清が検査され、上記の1症例のみが陽性であった。発生に関係する2つの牧場では、規制が継続されている。
イタリア
馬伝染性貧血
馬伝染性貧血の発生はシエナ地方で報告された。サラブレッド種とスタンダードブレッド種が感染し、4頭のスタンダードブレッド種の子馬、1頭のサラブレッド種の子馬、そして1頭のサラブレッド種の牝馬が臨床症状を呈した。これらのうち何頭かは、他の治療のために高度免疫血清を投与されていた。施設は隔離され、保健衛生当局は、残った馬を調査している。上記の6月の中間報告に加えて、シエナ地方の3つの牧場で発生が報告され、4頭が死亡した。それらの施設における計196頭の馬が検査され、陰性が証明された。すべての死亡馬は、不法に生産された高度免疫血漿が投与されていた。保健衛生当局は、この地域における血清学的検査を拡大し、一時的に同じ厩舎に在厩した馬も、その対象として追跡調査している。
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
EHV-1感染症による流産の散発的な発生が報告された。
腺疫
腺疫の散発的な症例が報告された。
日本
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
3施設のサラブレッド繁殖牝馬における限局的な発生が4月10日に報告された。3頭のうち2頭はワクチン接種していた。診断は北海道日高と青森八戸の家畜保健衛生所においてウイルス分離によって行われた。
破傷風
破傷風は非サラブレッド種の1頭で報告され、ワクチン接種歴は不明である。診断は北海道農業共済組合によって、臨床症状に基づいて行われた。
ニュージーランド
報告事項なし。
シンガポール
報告事項なし。
南アフリカ
報告未着。
スペイン
報告未着。
スウェーデン
報告未着。
スイス
Anaplasma phagocytophila(旧エレキア症)
Anaplasma phagocytophilaの限局的な発生は5月に始まり、英国中部の2施設の2頭の非サラブレッド種が感染した。それらのうち1頭は、13才の去勢馬であり、高熱を伴った。診断は血液塗抹標本で確認された。
馬伝染性子宮炎
限局的で臨床的に軽度のCEMの発生が報告され、3施設で3頭の非サラブレッド種が感染した。CEMは細菌分離によって診断された。ジュラでは、種牡馬と2頭の牝馬(Franches-Montagne)から、Taylorella
equigenitalisの陽性スワブを採取した。この発生に関するさらなる情報を収集中である。
サルモネラ感染症
サルモネラ感染症の発生が報告された。発生は3月に始まり、2施設における不特定多数の非サラブレッド種の感染が認められた。診断は、細菌分離によって行われた。2つの臨床症例があり、1頭は慢性の下痢を呈した。
腺疫
腺疫の限局的な発生が6月に始まり、1施設における不特定多数の非サラブレッド種の感染が認められ、細菌分離によって診断された。報告はティチーノ州からの1施設に限られている。
トルコ
報告事項なし。
アラブ首長国連邦
馬ピロプラズマ病(B.caballi and Th.equi)
ピロプラズマ病(両方のタイプ)の散発的な地域特有の発生が起こり、様々な施設における非サラブレッド種の馬が感染した。ドバイのCVRL研究所で、血清学的診断と病原体の分離によって確定診断された。
サラブレッド種の競走馬はほとんど発生していないが、症例はほぼ毎年、この研究所によって確認されている。
腺疫
腺疫の発生はドバイのCVRLによって確認され、細菌分離と臨床症状によって確定診断された。限局的で臨床的に軽度の発生は、1施設の6頭の非サラブレッド種の馬で認められた。臨床症状は典型的であったが、自然治癒した。感染馬の隔離と治療により、早期解決した。
イギリス
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型 / 新生子馬病
EHV-1流産の5症例が、ヨークシャー、南西部、パースシャー、エアシャー、およびサフォークの施設でこの四半期に確認され、そのうち4症例は、サラブレッド種の感染であった。診断は胎児組織における特徴的なウイルス病変と、EHV-1のPCR陽性結果に基づいて行われた。感染牝馬の予防接種歴は不明である。
EHV-1肺炎の1症例は、レスタシャーの種牡場において10時間で突然死した温血種子馬であった。診断は、肝臓と肺における核内ウイルス封入体の検出と、特徴的なウイルス病変に基づいて行われた。
EHV-4 流産型 / 新生子馬病
レスタシャーの死産の1症例は、ワクチン未接種の非サラブレッド種牝馬におけるEHV-4による胎仔感染によるものと考えられ、診断は混合胎仔組織を用いたEHV-4の
PCR陽性結果に基づいて行われた。
急性疾患後死亡したグロスターシアにおける7日齢の非サラブレッド種の子馬は、EHV-4による肺炎と診断され、先天的な心室中隔欠損症に加えて肺硬化が関連していた。
EHV-3(媾疹)
媾疹の3症例は、この四半期に1頭のファラベラポニーと2頭の非サラブレッド種に確認された。診断は、EHV-3に対する高い血清中和抗体価に基づいて行われた。適切な防疫対策と繁殖規制が行われ、また、追跡調査も行われた。
腺疫
この四半期にサラブレッド種における腺疫の2症例が確認された。これらは個別の症例で、サフォークの2つの繁殖施設で、1頭の子馬と1頭の牝馬が感染していた。
馬インフルエンザ
馬インフルエンザの発生は、ハンプシャーのリバリーヤードにおいて鼻咽頭スワブを用いたELISA検査陽性に基づいて確認された。40頭中4頭が、重度な乾性咳そうと発熱を含む特徴的臨床症状を呈していた。ヤードにおける全ての馬の予防接種歴は判明していないが、何頭かは予防接種を受けていたことが明らかで、これが発生の拡大を制限する一助になった。分離ウイルスはAnimal
Health Trustによって同定された。その結果、このウイルスは、Wales/05に非常に類似したアメリカ系統ウイルスの変異株であり、2003年の大発生以来、英国で蔓延している株とは異なることが分かった。
アメリカ合衆国
馬ウイルス性動脈炎
OIE指定研究機関であるケンタッキー大学のグルック馬研究センターは、6月にニューメキシコ州にあるクォーターホースの生産牧場において胎仔死亡を伴う馬ウイルス性動脈炎の発生を確認した。ニューメキシコ州畜産局(New
Mexico Livestock Board)は牧場を離れる動物と精液の移動を禁止し、この牧場を隔離した。
繁殖牝馬流産症候群(MRLS)
MRLSに起因する妊娠後期胎仔死の3症例がフロリダの2郡2施設で報告された。両方の施設で東部テンマクケムシの存在が確認された。
MRLSと一致するサドラー種の牝馬の妊娠後期胎仔死亡は、4月の後期にケンタッキーにあるボイル社によって診断された。ニュージャージーの牧場では、6月の初めに流産症例が確認された。流産したスタンダードブレッド胎仔の検査材料が、ケンタッキー州のレキシントンLivestock
Disease Diagnostic Laboratoryに委ねられ、MRLSと確認された。両方の施設で東部テンマクケムシの存在が確認された。
ウエストナイルウイルス(WNV)感染症
6月の終わりまでに、馬では、アイオワ、ノースダコタ、ウィスコンシン、およびワイオミングの各州でそれぞれ1症例(計4症例)報告された。人ではカリフォルニア、ミシシッピー、およびテキサス(2)の各州で計4症例が報告された。