2006年
軽防協ニュース速報 NO.4


2006年第4四半期(10月−12月)の伝染病発生状況についての報告



(International Collating Center からの情報)
2007年2月1日


アルゼンチン
馬ヘルペスウイルス
EHV-4の呼吸器型
 
11月7日に最初の発生が確認され、これまで5施設で5頭のサラブレッド種の子馬での罹患が報告された。最終発生は2006年12月19日であった。子馬(全頭5ヶ月未満)は、急性呼吸器疾患の症状を呈した。確定診断は INTA Casterlarウイルス 研究所において、ウイルス分離とPCRにより行われた。

ロタウイルス感染症
 11月下旬にロタウイルスA群の限局的な発生が報告された。臨床的に軽度の発生ながら、8施設のサラブレッド種と非サラブレッド種に影響を及ぼした。これらの施設の子馬の約30%が感染の兆候を示した。子馬の下痢が観察された牧場の中には、国内メーカー製の不活化ワクチンを出産前の繁殖牝馬に接種するように手配したところもある。2〜4ヶ月齢の子馬がこの感染の影響を受け、黄色から緑色の水溶性下痢の症状を示した。確定診断は、INTAウイルス研究所において、ELISAにより行われた。

オーストラリア
 
報告未着。

カナダ
 
報告未着。

デンマーク
 
報告事項なし。

フランス
馬ヘルペスウイルス
EHVの呼吸器型
 
EHVの呼吸器型は、以下の発生(品種ならびに地区)が確認された。確定診断は血清学的検査によって行われた。
サラブレッド種
 ブーシュデュローヌ(異なる2きゅう舎)、オアーズ、サルト。
トロッター種
 アルプマリテュム、メーヌエロワール、マイエンヌ、イブリーヌ。
サドラー種
 ノール(異なる2きゅう舎)、オルヌ、セーヌ、イブリーヌ(4)、エソンヌ(3)、オードセーヌ。
その他の品種
 ウールエロワール、ノール、イブリーヌ(異なる3きゅう舎)、エソンヌ(3)。

馬インフルエンザ
 馬インフルエンザは、以下の発生(品種ならびに地区)が確認された。
サラブレッド種
 オアーズ:鼻咽頭スワブを用いたELISA法によって診断された。
 オアーズ、サルト:血清学的検査によって診断された。
トロッター種
 アルプマリテュム:鼻咽頭スワブを用いたELISA法によって診断された。
 マイエンヌ:血清学的検査によって診断された。
サドラー種
 セーヌ、エソンヌ(異なる2きゅう舎):血清学的検査によって診断された。

ピロプラズマ病
 
フランスで風土病として存在している。

ドイツ
馬伝染性貧血
 管轄している最高獣医当局(Supreme Veterinary Authorities)は、東ドイツ地域のチューリンゲン州とサクソニー州において発生した馬伝染性貧血に対して施行していた隔離措置を、疾病が根絶されたと判断し解除した。
 チューリンゲン州においては、感染で1頭が死亡し、さらに感染した18頭が安楽死された。合計6施設で感染し、接触した動物は31施設に及び、3,300頭以上について検査が実施された。この頭数には、感染した施設のすべての馬、接触した動物がいる施設のすべての馬、さらに、感染した施設と接触した動物がいる施設から3km以内の施設に飼養されているすべての馬が含まれている。
 サクソニー州においては、1施設のみで感染が確認され、1頭の馬が感染により死亡した。その施設にいた残りの2頭は、検査で陽性となったため、安楽死された。

香港
 
報告事項なし。

アイルランド共和国
この報告には第3四半期と第4四半期のデータが含まれる。
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
2施設で2つの単発症例が報告され、うち1頭はワクチン未接種であった。

馬ウイルス性動脈炎
 
2006年度に合計15,000頭の血清が検査され、すべて陰性であった。この結果、アイルランドの馬においては、ウイルスが蔓延していないことが確認された。

馬伝染性貧血(EIA
 2006年6月中旬における最初の診断以来、28頭の陽性症例が確認され、最も直近の発生は12月初旬であった。農業食糧省(DAF)は53牧場に移動制限を実施した。指定の検査プログラムが終了後、これらの施設のうち28施設の移動制限が解除された。加えてDAFは1,200頭以上の個々の馬に移動規制を実施し、その大部分は個人の牧場であった。この検査プログラムが完全に終了し、規制が解除された馬は、今日まで数百頭に達する。
 6月から12月の期間中、合計31,000の血清が馬伝染性貧血のためIrish Equine CentreとDAF Central Veterinary Research Laboratoryで検査され、今日まで28頭の陽性例が確認されている。すべての陽性馬は安楽死された。アイルランドサラブレッド繁殖協会が発行する診療実施規則(The Codes of Practice)には、2007年シーズンにアイルランドで飼養されているすべての繁殖牝馬は、2007年1月中に1度目のEIAの陰性証明を得て、種馬場、子馬の群あるいは繁殖牧場に移動する少なくとも28日前までに2度目の検査を受けるように推奨している。

腺疫
 
第4四半期において、合計56施設で63症例の発生が確認された。

サルモネラ感染症
 
5症例が診断された。

馬伝染性子宮炎
 2006年に検査された12,500頭以上のスワブはすべて陰性であった。

イタリア
馬伝染性貧血
 2006年イタリアの最終報告において、49頭の国内馬と34頭の輸入馬が馬伝染性貧血陽性であった。すべての競技馬に対しコギンズテストを義務化する法律が、今後4ヶ月以内に施行される予定である。

日本
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
EHV-1の流産型は、11月29日にワクチン接種されたサラブレッド種繁殖牝馬で1症例報告された。確定診断は日高家畜保健衛生所においてウイルス分離により行われた。

ニュージーランド
 
報告事項なし。

シンガポール
 
報告事項なし。

南アフリカ
アフリカ馬疫
 
2006年11月に3施設6頭(主にワクチン未接種馬)に限局的な発生が報告された。Onderstepoort獣医研究所において、血清検査、ウイルス分離および臨床症状に基づいて診断された。AHSの4症例は、南ケープ州のクニスナ地区で確認され、血清型9のウイルスが分離された。この血清型は、2006年7月まで同地区の他の症例で分離されている。今回の発生は、同地区で越冬したウイルスによる2006年早期の発生からの拡大であると推察される。この地区では馬の全面的な予防接種キャンペーンを12月初旬に実施しており、12月初旬以来新しい症例は報告されていない。AHSの疑いのある2頭の個別の症例が、12月にクワズール−ナタール州の北部で報告されている。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
サラブレッド種と非サラブレッド種の限局的な発生が、2006年10月に報告されている。発生はクワズール−ナタール州と西ケープ州で、6施設で30頭の馬に感染した。Pretoria大学病理学科における免疫ペルオキシダーゼ染色によりEHV-1と診断された。

馬ピロプラズマ病
 
9月に複数のサラブレッド競走馬に限局的で臨床的に軽度の発生が報告された。確定診断は開業獣医師による血清学的検査および血液塗沫の顕微鏡検査によって行われた。Theileria equiBabesia caballiは南アフリカにおいて風土病として存在しており、臨床症例は、春・夏および秋の期間(5月から9月)に報告された。

腺疫
 
腺疫の継続発生が報告され、確定診断は様々な研究所による菌分離によって行われた。少なくとも8施設130頭の非サラブレッド種の馬に発生が報告されている。臨床症状は西ケープ州のサラブレッド種馬場で報告されている。予防接種は多数の牧場で感染予防のため実施されている。

スペイン
 
報告未着。

スウェーデン
 
報告未着。

スイス
馬ピロプラズマ病
 
Babesia caballiの感染1頭、およびBabesia caballiTheileria equiの混合感染1頭が、スイスの西部と中部で血清学的検査により報告された。

ロドコッカス感染症
 限局的な発生が11月に報告された。7ヵ月齢の非サラブレッド種使役用牝馬で、熱、発咳、関節腫脹の症状を呈し、菌分離によって確定診断された後、安楽死された。

腺疫
 
3施設における不特定多数の非サラブレッド種についての限局的な発生が10月に報告された。確定診断は、菌分離によって行われた。

トルコ
 
報告事項なし。

アラブ首長国連邦
馬ヘルペスウイルス
EHV感染症(輸入検疫後の症例)
 
11月中旬に限局的かつ臨床的に軽度な発生が報告され、確定診断はドバイの中央獣医研究所によってIFTで行われた。4施設において、最大10頭の非サラブレッド種が感染した。ウイルスが分離された1頭を含む何頭かの馬については、EHV-1/-4の予防接種歴があった。馬は4つの異なる便で輸入され、輸入後3-7日の様々な時間に体温が上昇した。1頭の馬はIFTでEHV陽性であった。EHV感染を確認するため、回復期の血清が採取された。

馬ピロプラズマ病
 
Babesis caballiTheileria equiはドバイでは風土病となっており、主に非サラブレッド種の症例が散発的に報告される。発生は一般的に限局的であり、確定診断は血清学的検査および病原体分離により行われている。

イギリス
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の神経型
 
EHV-1感染は、ノーサンバーランドで運動失調と膀胱麻痺の症状を呈したワクチン未接種乗用馬において血清学的検査によって診断された。今回の発生に関わる以外の発生は報告されていない。

EHV-3
 媾疹の臨床症状が、1頭の牝馬で確認された。種付けした種牡馬は、EHV-3血清陽性であった。規制措置が実施され、さらなる症例は報告されていない。

馬インフルエンザ
 11月にサーカスポニーが、鼻咽頭スワブを用いた核蛋白ELISAによってインフルエンザと診断された。接触した6頭が臨床症状を呈したと報告された。

アメリカ合衆国
馬伝染性子宮炎(CEM)
 
東ヨーロッパからウィスコンシン州に輸入された2頭のリピッツァナー種の種牡馬から10月に馬伝染性子宮炎菌(Taylorella equigenitalis)が分離された。両馬は、2頭の牝馬を用いた交配試験での培養検査陰性によって連邦政府の検疫から解放された。その後、この輸入種牡馬の検査に用いられた交配試験用牝馬が、補体結合検査で陽性反応を呈した。これらの種牡馬は、他の2頭の牝馬を用いた再交配試験によっても、培養陰性の結果が得られた。種牡馬はアメリカに輸入された後、同施設内で飼養されており、自然交配には使用されておらず、また、精液採取は行われているが使用されていない。これらの種牡馬は、繁殖安全試験に提出された検体からの培養検査で陽性となった。種牡馬はその後、治療中である。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1の神経型
 
EHV-1の神経型は、10月にニュージャージー州のモンマス競馬場の1きゅう舎の馬から分離された。発熱は呈したが、神経症状は認められなかった。州当局は感染きゅう舎については隔離を指示したが、競馬場の他のきゅう舎の健康馬については、競走のためMeadowlandsへの移動を許可した。EHV-1の神経型症例は、10月にコロラド州立大学家畜病院でも確認されている。
 12月にフロリダ州(12月21日中間報告参照)においても、ウエリントンの競技会参加予定馬といくつかの他の施設で飼養されているサラブレッド種に症例が報告されている。6頭の死亡が報告され、いくつかの施設で隔離措置がとられたが、1月中旬には、ほとんどの隔離措置は解除されている。また、12月にはカリフォルニア州ゴールデンゲート競馬場で、2007年1月には同州のロスアラミトス競馬場でも症例が報告されている。1月初旬にコネティカット大学の施設において診断された。これらの発生期間中、新しい症例を摘発し研究所で早期に診断するため、接触した動物について積極的に定期的(毎日)な体温測定が実施された。

馬の脳炎
 
USDA(アメリカ農務省)は、2006年の合衆国内の馬における東部馬脳炎が110症例、WNV感染症が1032症例で、その3分の1はアイダホ州での報告であった。疾病対策センターは、同期間の合衆国内のヒトのWNV感染症の発生数は死者149人を含む4180人であると報告した。



世界の馬伝染病発生情報