2007年
軽防協ニュース速報 NO.2


2007年第2四半期(4月−6月)の伝染病発生状況についての報告



(International Collating Center からの情報)
2007年7月17日


アルゼンチン
 
報告事項なし。

オーストラリア
 
報告未着。

カナダ
 
報告未着。

デンマーク
 
報告事項なし。

フランス
馬伝染性貧血(EIA)【ICC. Jun 2007 No.2.より】
 フランス当局は6月1日付けで、Ardecheのヴァーノン地区において馬伝染性貧血の発生が確認されたと報告した。症例は21歳の牝馬で、寒天ゲル内沈降反応で陽性を示し、直ちに安楽死処置された。同馬の厩舎には4頭の馬が繋養されているが、感染源については不明である。同地区では血清診断が実施され、疫学調査が開始されている。
馬伝染性貧血(EIA)【ICC. Jun 2007 No.3.より】
 三カ国協約に基づいて、イギリス環境食糧農林省とフランス当局は、先日Ardecheの施設で発生したEIAの調査に関して協議した。発生施設はArdecheの条例下に置かれることとなり、同施設が汚染されていることが宣言され、その周囲3kmは制限地域と設定された。条例では同施設と周囲の制限地域からの馬の移動が禁止される。
 この施設では、4頭の馬が繋養されていたが、検査の結果そのうちの2頭が陽性であったため、安楽死処置された。いずれの馬も競技や繁殖用途ではなく、年齢的にリタイアした乗馬であった。その周囲3kmの地域には、乗馬学校が3校と個人農場が18施設あり、158頭の馬が繋養されていたが、検査の結果、全馬陰性であった。
 発生施設の残りの2頭については、これまでの慣習にならって、3カ月間隔での2回のEIA検査で陰性が証明されるまでは制限下に置かれる。
(続報)
 その後の疫学調査により、2頭の罹患馬は、発生施設から12マイルほど離れた乗馬学校から3年前に移されていたことが判明した。従って、この乗馬学校にも移動制限がかけられ、21頭すべての繋養馬に検査が施された。検査の結果、全馬陰性が証明されたため、乗馬学校の移動制限は解除された。
 フランス当局はイギリス環境食糧農林省に対し、アイルランドの関係者も交えた電話会議の場で、今回フランスでEIAが発生した地域は、サラブレッド競走馬やトロッター競技馬が繋養されている地域ではないということを強調した。
 フランス当局は三カ国協約同盟国に対し、定期的に状況を報告することとし、その都度イギリス環境食糧農林省は、対応策を提供することとなった。
馬伝染性貧血(EIA)
 ICC. Jun 2007 No.3の報告後も、発生があったヴァーノン地区は隔離状態が続いており、陰性証明が得られるまでの3カ月間はこの状態が続く。これまでに179頭が検査され陰性となっている。

馬伝染性子宮炎(CEM)【ICC. Jun 2007 No.2.より】
 6例のCEMが国内で発生した。その内訳はオルヌ地方のサドラー種牝馬1頭、トロッター種牝馬2頭および牝のロバ1頭、ラン地方のTrait comtois牝馬1頭、マンシュ地方のサドラー種種牡馬1頭である。現在も調査継続中である。

馬ウイルス性動脈炎(EVA)【ICC. Jun 2007 No.4.より】
ウール地方における発生
 種馬場で胚移植に供用中のフランス乗用馬が、発熱、呼吸器症状および浮腫を含む臨床症状を呈し、(同馬が出産した)3日齢の子馬が死亡した。成馬の鼻咽頭スワブおよび子馬の様々な組織を研究所で検査したところ、PCR検査によって馬動脈炎ウイルス(EAV)が同定された。
 Val de Reuilのフランス国立種馬技術センターでは、ペルシュロン種牡馬の精液を人工授精した牝馬も、発熱の症状を示している。
オルヌ地方における発生
 発熱および精巣炎を呈した後、心筋炎で死亡したペルシュロン種牡馬の剖検時に採材した組織(精巣、肝臓および脾臓)を用いてPCR検査を実施したところ、EAVが同定された。また、同時にStreptococcus zooepidemicusも分離された。
 別のペルシュロンの種馬場では、生後4日齢の子馬がEVA様の臨床症状を呈して死亡し、剖検時に採材した組織のPCR検査によってEVAが確認された。
 3ヵ所目の施設では、5月24日からペルシュロンの牝馬が発熱と浮腫の症状を呈した。この牝馬は5月18日に前述の死亡した種牡馬の精液を用いて人工授精を実施していた。さらに、この牝馬の子馬は、6月24日よりEVA様の臨床症状を呈している。
 6月25日にはEVAが確定診断され、疫学調査においては、上述の症例を含めた本年4月以降のいくつかの症例についての相関性が明らかにされた。子馬の死亡例は3〜4日齢に限られており、1〜2ヵ月齢の子馬については広範囲の包皮浮腫などの臨床症状を示すものの、死亡例はない。今回の発生起源と、分離されたEAV株の系統を解明するために調査が継続されている。フランス国立種馬場においては、ペルシュロン種牡馬は立地的に離れた場所で繋養されており、サラブレッド種牡馬と接触することは一切ない。
規制措置
 規制措置として、Val de Reuiの技術センターの繋養馬は隔離されている。感染の疑いがある種牡馬については、今回のEVA発生に関する正確な状況が確認されるまで、種付けを停止している。現在、最初の種牡馬が死亡した種馬場のすべての種牡馬に対し、血清学的かつウイルス学的(精液の培養とPCR検査)検査・分析が実施されている。生産者に対しては、感染の可能性がある種牡馬と交配あるいは人工授精をした牝馬、もしくはそのような牝馬と接触した馬について、隔離と検査を励行するよう注意喚起を図っている。同時に消毒剤の使用も強く推奨している。
馬ウイルス性動脈炎(EVA)
 ICC. Jun 2007 No.4.のとおり、7月13日までに11カ所の非サラブレッド種施設で正式にEVAが診断された。その内訳は、ウール地方が7施設、オルヌ地方が3施設、セーヌマリティム地方が1施設である。現時点ではその他の地方での発生は確認されていない。すべての発生施設は、初期に発生があったオルヌ地方のHaras du Pin国立種馬場との関連があり、4頭の種牡馬を含むおよそ100頭の馬が臨床症状を呈した。7頭の種牡馬からウイルス伝播が始まったことが判明しており、4頭の生後まもない子馬が感染によって死亡した。多くの原因不明の流産にもEVAの関与が疑われるが、ほとんどは調査されていないため、EVAによる流産と確定診断された症例は1例のみである。発生が見られた施設では、獣医師の指導監督のもと、必要とされるすべての手段を用いて、感染の拡大阻止に努めている。2008年の繁殖シーズンに備えて、種牡馬にはワクチン接種が推奨されている。
オルヌ地方における発生
 
Haras du Pin国立種馬場では現在もEAVが蔓延しており、発熱こそ認めないが浮腫を示す種牡馬が散見される。7頭の種牡馬からウイルス伝播が始まっており、その内訳は4頭のペルシュロン種、2頭のノルマンディコブ種および1頭のアラブ種である。これら7頭は同じ区画の中の同じ施設で繋養されている。ウイルス学的検査が行われている間は、農場とNational schoolでの馬の移動は停止する決定がなされた。
ウール地方における発生
 ウール地方で発生が確認された施設は7カ所であるが、その他にも、子馬が発熱や浮腫の症状を示しており、感染の兆候が見られる施設がある。この子馬へのEAVの伝播には、以前に発生施設の1つで繋養されていた牝馬が関与していると思われる。
 感染精液を介した伝播によって、EVAの発生は重種の繁殖牝馬と子馬に限定されつつあるように思われるが、ウール地方にある胚移植装置を有する種馬場は例外的である。この種馬場は、Haras du Pin国立種馬場から精液の供給を受けている同地区の国立種馬場人工授精センターと関連しており、その両施設とも感染していた。この種馬場から追跡調査を実施したところ、血清診断で陽性を示すフランス乗馬の繁殖牝馬が判明した(ウール地方が4頭、隣接するセーヌマリティム地方が1頭)。
 今回の一連のEVAウイルスは、平均すると99.5%の相同性を示し、95%の確率でヨーロッパ株の亜型2であると考えられる。これは1994年にドイツで、2006年にはポーランドで分離されたウイルスに類似している。

馬インフルエンザ
 Eure-et-Loire地方、マンシュ地方、イブリーヌ地方、エソンヌ地方の非サラブレッド種乗用馬において馬インフルエンザが血清学的に診断された。ノール地方ではその他の馬でも診断されている。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
EHV-1による流産は、剖検組織の凍結切片を用いた免疫蛍光法により診断され、そこで陽性を示した症例については細胞培養とPCRにより確定診断された。ウイルスはオルヌ地方のトロッター種とカルバドス地方の乗用馬で確認された。
EHV-1の呼吸器型
 Bouches-du-Rh冢e地方、Maine-et-Loire地方、オアーズ地方およびイブリーヌ地方のサラブレッド種において、血清学的検査によりEHVによる呼吸器疾患が診断された。非サラブレッド種では、Dordogne、Eure-et-Loir地方(異なる3きゅう舎)、Loire-Atlantique地方、マンシュ地方(3頭)、モーゼル地方、ノール地方(3頭)、オアーズ地方、ラン地方、Sa冢e-et-Loire地方、セーヌ地方(4頭)、Seine-et-Marne地方、イブリーヌ地方(3頭)、エソンヌ地方(3頭)、Hauts-de-Seine地方(2頭)のサドラー種と、Bouches-du-Rh冢e 地方(異なる2きゅう舎)、 Eure-et-Loir地方、Loire-Atlantique地方、 モーゼル地方、ノール地方、Vend仔地方、イブリーヌ 地方(2頭)、 エソンヌ地方ではその他の馬において確認された。

ピロプラズマ病
 
ピロプラズマ病は、フランスでは風土病として存在している。

ドイツ
馬伝染性貧血(EIA)【ICC. Jun 2007 No.2.より】
 所轄官庁からの声明によると、本年5月27日に、フルダ(ドイツ中部ヘッセン州)の行政区域に繋養されている温血種の馬について、EIAに感染していることが公式に診断された。最終的には、EIAに関する正式な国立リファレンスラボである、グライフスワルトのFriedrich-Loeffler研究所で確定診断された。
 法の規定に従い、所轄官庁による広範な衛生管理と検疫体制の整備が迅速に施された。罹患馬が以前繋養されていた施設と、罹患馬の治療と安楽死処置をした診療所において同馬と接触した可能性がある馬を繋養している2つの施設でも検疫が施された。感染と疾病の有無を証明するために多くの検査が行われ、現在その結果が待たれている。
馬伝染性貧血(EIA)
 ICC. Jun 2007 No.2.のとおり、本年5月末に、フルダ(ドイツ中部ヘッセン州)の行政区域において、チューリンゲン州出身の1頭の温血種がEIAと診断された。早急に同馬が接触した施設の検査が始まり、制限区域も設定された。接触があった施設は法の規定により、検査が完全に終了するまでは制限下に置かれる。
 2006年にチューリンゲン州で発生したEIAとの関連については、これまでのところ不明である。被害拡大に関する詳細については現在調査中である。今日までに、第1段階として420検体について感染の有無が確認された。接触があったすべての馬も検査されたが、全馬陰性であった。現在、第2段階の検査結果が待たれている。

香港
馬ヘルペスウイルス
EHV-1

 Sha Tin競馬場では、2007年5月4日以降EHV-1感染による発熱馬は認めていない(3月8日付ICC報告および第1四半期に関するICC報告参照)。
 英国のAnimal Health Trustにおける現時点での同定結果によると、今回のEHV-1ウイルスは非神経型株(おそらくアメリカ系統)であると推察された。この見解は、感染馬の臨床症状が38.3℃〜39.4℃程度の発熱のみと軽症であり、合併症や神経症状を伴わなかったことからも裏付けられる。感染馬は完全に体調を取り戻し、一週間以内には調教を再開した。

アイルランド共和国
馬インフルエンザ
 馬インフルエンザは、異なる3地区の各1施設で診断された。

馬伝染性貧血(EIA)
 
今年はこれまでに35,000検体の血清サンプルについてEIA検査が行われ、すべて陰性が確認されている。

馬ウイルス性動脈炎(EVA)
 今年に入って合計17,092検体の抗体検査を実施したが、抗体価の上昇は認められていない。

腺疫
 
11カ所で発生が報告されており、17頭が腺疫と診断された。

イタリア
馬伝染性貧血(EIA)
 これまでに合計136頭の陽性馬が国立リファレンスラボにおいて診断されているが、これは4月22日までに競技や馬術イベントに参加するすべての馬に対し、EIAの陰性証明を義務づけた施策の一部でもある。また、この施策は国内の競技馬総数の調査も兼ねている。

馬ヘルペスウイルス 
 散発的な発生が報告されている。

日本
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
4月にEHV-1の発生が報告されている。発生は限局的であり、5施設6頭のサラブレッド種繁殖牝馬が感染している。そのうち5頭はワクチン接種馬であった。北海道家畜保健衛生所(日高および胆振)においてウイルス分離によって診断された。

ニュージーランド
 
報告事項なし。

シンガポール
 
報告未着。

南アフリカ
Lawsonia intercellularis
 
西ケープ州のサラブレッド生産牧場において、本疾病の発生が報告された。少なくとも30頭のサラブレッドが感染したが、症状は軽度である。PCRによって診断されており、現在も調査は継続中である。

腺疫
 上記と同様に、西ケープ州のサラブレッド生産牧場で腺疫の発生が報告され、現在はワクチンプログラムが施され、周辺牧場への感染拡大を防止している。感染馬はサラブレッド種と非サラブレッド種であり、菌分離によって診断された。

馬脳症ウイルス
 3月から5月にかけて、広範にわたる深刻な馬脳炎ウイルス症の発生があり、多数の地域で1,000頭以上の馬が感染した。Onderstepoort Veterinary Instituteにおいて、免疫ペルオキシダーゼ染色を用いて血清型1と4(BryanstonとKaalplaas)が診断された。詳細については以下の通りである:

EXECUTIVE SUMMARY ON HORSE DEATHS ASSOCIATED WITH EQUINE ENCEPHALOSIS VIRUS
ON THE CAPE PENINSULA OF SOUTH AFRICA IN 2007
29 June 2007
[2007年南アメリカケープ半島における馬脳症ウイルスに関連した
馬の死亡に関する公式報告書の要約]

2007年3月15日、パール行政地区で繋養されている1頭の馬が、元気消沈を主訴として獣医師の治療を受けた。その時点では、発熱が認められたものの、眼窩上部の浮腫は確認されなかった。同馬は対症療法が施されたが、翌16日に急死した。個人開業獣医師が剖検を実施し、採材されたサンプルはウイルス検査のためにOnderstepoort Veterinary Institute(OVI)に提出された。17日には、同馬が繋養されていた厩舎か1.8kmほど北上した同地区内の牧場で、2頭目となる死亡例が確認された。同じ開業獣医師が剖検し、先の馬と同様に、採材サンプルがOVIに提出され、ウイルス検査に供された。最初の症例については、3月22日のhemi-nested PCR検査の結果、アフリカ馬疫(AHS)陽性が確認された。その後、同様の臨床症状と剖検所見を認めた死亡例が相次ぎ、ケープ半島の11施設で18頭に及んだ。この中のいくつかの施設を含め、その他の施設でも多くの発熱馬が報告された。
これら20頭の死亡例のうち、15例の採材組織からは馬脳症ウイルス(EEV)の血清型1(Bryanston)が分離され、別の1例の血液からは血清型4(Kaalplaas)が分離された。また別の1例からは、現在同定中のウイルスもある。その他、ウイルス分離、PCR検査ともに陰性だったものが1例、ウイルス分離陰性が1例であり、残りの1例は採材サンプルがOVIに提出されなかった。EEVの血清型1と4は、同様の症状を示しながらも死亡には至らなかった馬の血液中からも分離されている。
最初の症例の臨床症状および剖検所見と、採材サンプルが3月22日実施のhemi-nested PCR検査でAHS陽性を示した事実を鑑み、西ケープ州獣医当局は、AHS発生の疑いがある旨を国の農業省に報告し、同時に、OIEと欧州委員会にも報告した。3月23日、同局はAHS発生時の危機管理計画に基づき、特別対策措置の実施を命じた。特別対策措置には、感受性のある馬科動物の移動制限、AHSワクチン未接種馬へのワクチン接種および境界区域内の馬の厩舎内への強制収容などが含まれる。
今回の死亡例のうち、hemi-nested PCR検査でAHS陽性を示した症例は13例に及んだが、その後の試験(乳のみマウス脳内への組織懸濁液接種を含む)においてはAHSウイルスの増殖は認められず、AHSの診断を裏付けるデータは得られなかった。hemi-nested PCR検査でAHS陽性を示した症例はすべて、過去にOnderstepoort Biological Products(Pty) Ltd製のAHSV多価生ワクチンの接種歴があった。7番目の死亡例についてはAHSVワクチンの最終接種が2006年8月24日で、剖検に供され、採材されたのが2007年4月9日であった(接種から採材まで7カ月以上)。AHS陽性を示した症例で、ワクチン最終接種が8カ月以上前という症例はなかった。ワクチン接種歴がなかった1例については、hemi-nested PCR検査でAHS陰性であった。
今回、ケープ半島で確認された最後のEEV症例は、本年5月9日に症状を呈し、5月12日に死亡した。この地域では、馬における一過性の発熱を多く認めていたが、そのような発熱馬は5月初旬から急激に減少した。これはEEVの伝播が激減したことに起因すると考えられるが、その背景には冬の到来による気温の低下が、ヌカカの活動を抑制したことに関係していると思われる。最近周辺地域で発生した大雪を伴う長期の寒波は、ウイルス伝播のリスク軽減につながると考えられる。
【まとめ】
以上のデータに基づき、南アフリカ獣医当局は、3月16日から5月12日にかけてケープ半島一帯で発生した馬の死亡例は、馬脳症ウイルス血清型1(Bryanston)および血清型4(Kaalplaas)の感染によるものと結論付けた。一連の調査研究においても、アフリカ馬疫と診断するに値する、ウイルス学的根拠も得られなければ媒介昆虫も捕えられなかった。つまり、発生初期の時点ではアフリカ馬疫の疑いもあったが、その後の調査によってその可能性は否定され、同時に馬脳症ウイルス血清型1および4(BryanstonおよびKaalplaas)に起因することが明らかとなった。
今回の発生が5月上旬に臨床的に終息を迎えたことと、それまで課せられていた特別移動制限がすべて解除されたことを受け、西ケープ州獣医当局は5月30日水曜日から、AHSフリーエリアである大都市ケープタウンへの馬の移動を許可したが、これは輸出を控えた馬の輸出前繋留期間に伴うものである。このようにフリーエリアで繋留された馬のみが、7月31日以降輸出可能となる。

馬ピロプラズマ病
 限局的で臨床的にも軽度の発生が続いており、競技馬(サラブレッド種および非サラブレッド種)での感染が報告されている。南アフリカではTheileria equiBabesia caballiが常在している。診断は民間の開業獣医によって行われ、血清診断と血液塗抹による鏡検が用いられる。

アフリカ馬疫
 南アフリカの北東部ではアフリカ馬疫が風土病化しており、毎年発生が報告されている。概して臨床症状は軽度であり、非サラブレッド種繁殖馬での感染が多い。感染馬の大半は若馬であり、まれにワクチン接種馬での感染も見られるが、そのほとんどはワクチン未接種馬である。Onderstepoort Veterinary Instituteにおいて、血清学、ウイルス分離および臨床症状から診断される。添付の地図は、2006年9月から2007年4月までの発生状況を示している。

スペイン
 
報告未着。

スウェーデン
馬インフルエンザ【ICC. May 2007より】
 前回の報告では、100〜200頭の馬が感染していると報告したが、実際にはこれを上回る被害が予想される。第1四半期の間に20厩舎からインフルエンザ陽性の結果が得られたが、実際には、採材ができていなかっただけで、同様に感染していた厩舎が周辺に多数存在していることが判明した。一例(採材した最大規模の2施設のうちの1つ)としては、確定診断されていた1頭の周辺地区で60頭を超える感染馬が確認された。単純に見積もっても、第1四半期の間に少なくとも200頭は感染していたことになる。現在、Deputy Senior Veterinary Advisor(SVA)の指揮によりNational Veterinary Instituteにおいて今回の発生に関する調査が進められている。発生後5カ月間の調査報告は今秋までにはまとめられる予定である。
 現段階での結果によれば、感染厩舎の80%以上はスタンダードブレッド種(あるいはスウェーデン冷血種)繋駕馬の厩舎である。サラブレッド種は1厩舎のみが含まれているようである(感染厩舎の5%未満)が、正確な感染馬の数はまだ確定していない。スタンダードブレッド種および冷血種の繋駕馬は国内の馬総数の約30%を占めており、一方でサラブレッド種は2%を占めるのみである。
 正確なワクチン接種を施せば、H3N8型ウイルスの感染は部分的には、あるいは時には完全に防げるとされている。今回感染した馬の大半は、現在推奨されている接種法に従ったワクチン接種を施していなかった。これは、スウェーデンの繋駕競技の規定が、1991年以降ワクチン接種を義務付けていないことが一因となっている。その他の馬を使ったスポーツでは、比較的マイナーなサラブレッド種競馬も含め、競技馬にはワクチン接種が義務付けられている。

馬インフルエンザ
 2007年初頭から始まった発生は現在も続いており、最近では6月15日の発生が報告されている。今回の大規模な発生では、サラブレッド種と非サラブレッド種の競走馬と繁殖馬に被害が及んだ。現在までに、およそ50〜60施設で200〜300頭の馬の感染が確認されており、いずれもSVAにおいて確定診断されている。

腺疫
 
腺疫は依然として風土病となっている。その臨床症状は軽症から重度のものまで多岐にわたり、SVAにおいて診断される。国内様々な地域のおよそ50施設で感染の報告がある。

スイス
馬伝染性子宮炎(CEM)【ICC. Jun 2007 No.2.より】
 Poitou-Jackass(ロバ)において臨床的に軽度のCEMが発生し、5月にSwiss National Studで診断されている。同馬からはルーチンのスワブ検査においてTaylorella asinigenitalisが分離されたが、特に臨床症状は示さなかった。

Anaplasma phagocytophila(エールリヒア症)
 6月に限局した発生が報告されている。罹患馬は1頭の非サラブレッド種で、臨床症状のみから診断された。

馬ヘルペスウイルス 
EHV-1
 5月に限局した発生が報告され、1施設の非サラブレッド種が感染したが頭数は不明である。ワクチン接種歴や診断方法についても不明である。
EHV-1(第1四半期の訂正)【ICC. Jun 2007 No.2.より】
 1月に限局した発生が報告され、2施設の非サラブレッド種が感染したが頭数は不明である。典型的な臨床症状に基づいて診断された。

Grass sickness
 致命的なグラスシックネスの発生がジュラ地方で5月に報告されている。罹患馬は2歳のFreiberger draught coltであり、放牧中であった。臨床症状と剖検の結果から診断された。

馬ピロプラズマ病(B.caballi and Th.equi)
 1件のB.caballiの臨床例と数件の血清学的な摘発例(B.caballiTheileria equiの単独感染および混合感染)が国内を通じて報告されており、不特定多数の馬が感染している。ワクチン接種歴は不明であり、血清学的に診断されている。

腺疫
 
5月から6月にかけ、スイス中央部と東部の2施設で腺疫発生が報告されている。感染馬は非サラブレッド種で、頭数およびワクチン接種歴は不明である。菌分離と臨床症状から診断された。

トルコ
狂犬病【ICC. May 2007.より】
 第1四半期の流産に関する報告には誤りがあった。狂犬病の診断には、非固定組織染色同定法(Sellerユs法)と免疫化学的抗原証明法(蛍光抗体法−FAT)を用いた。両者はOIEにも認定された検査法であるが、Sellerユs法は感度が低いため、OIEが推奨しているのはFATのみである。

馬ピロプラズマ病
 5月6日にピロプラズマ病の発生が報告され、致死的ではないものの現在も継続している。1施設4頭の牡の子馬が発症し、Turkey Karacebey Pension Stud Farm Laboratoryのジョッキークラブにおいて血清学的検査により診断された。感染馬は高熱を発症し、ヘモグラムとヘマトクリット値に変化が生じた。しかし、治療が功を奏し、死亡例は出ていない。

アラブ首長国連邦
馬ピロプラズマ病(B.caballi and Th.equi)
 UAEでは馬ピロプラズマ病は常在化しており、定期的に報告されているが、その大半は非サラブレッド種である。ドバイCVRL研究所において、血清学的検査と病原体の分離によって診断される。

イギリス
馬伝染性子宮炎(CEM)【ICC. May 2007.より】
 環境食糧農林省はニューマーケットにおけるCEMの1症例を確認した。より詳細な調査結果をはじめ、追跡調査や今後の展望については、結果が整い次第報告する。
 罹患した種牡馬は、サフォーク州ニューマーケット地区の検疫施設で輸出検疫中であり、オーストラリアへの輸出を予定していた。
 スワブの採材はHorserace Betting Levy Board(HBLB)の実施基準に従って行われた。採取されたスワブは5月10日にVeterinary Laboratories Agency(VLA)に提出され、VLAにおいてスワブ中からTaylorella equigenitalisが検出された。
 罹患馬の施設に対しては、1987年に制定された馬の感染症規約(Infectious Disease of Horses Order:IDHO)に基づいて、移動制限が課せられた。
 この件に関する調査は継続され、罹患馬との接触に関する追跡調査も実施されている。

馬インフルエンザ【ICC. Jun 2007 No.1.より】
 ここ2日間でアニマルヘルストラスト(AHT)により、2例の馬インフルエンザ感染症が確定診断された。2例ともに鼻腔スワブを用いたELISA試験で陽性と診断された。両者は別々に診断されているが、アイルランドのキルケニー郡で行われたホースセール出身という点で共通していることが確認された。2頭は5月26日に売却され、翌日にはイングランドでの仕向先(それぞれ中部地方とケント州)に到着したが、その時点で、発熱、鼻漏、発咳といった典型的な症状を呈していた。中部地方の症例は3歳のサラブレッド種牝馬であり、ケント州の症例は4歳のポニーであった。現時点では感染拡大の兆候は見られないが、より詳細なウイルスに関する情報収集が進められている。
馬インフルエンザ【ICC. Jun 2007 No.2.より】
 Jun 2007 No.1で報告した2症例に加え、さらに2頭の発生(イングランド中部地方とハンプシャー州)があり、鼻咽頭スワブを用いたELISA試験で陽性と診断された。今回の2例も先の2例と同じアイルランドのホースセール出身であり、これら4頭の繋養先では、接触したワクチン未接種馬に伝播している可能性がある。最初の2例からは発育鶏卵を用いた1継代によって容易にウイルスが分離され、赤血球凝集抑制(HI)試験においてアメリカ系統のH3N8型ウイルス変異株と同定された。今後は分離されウイルスの血球凝集素(HA1)、ノイラミニダーゼ(NA)および非構造タンパク(NS1)の遺伝子解析を進め、近年分離されている野外株と比較することとなる。
馬インフルエンザ
 ICC. Jun 2007 No.1およびNo.2の報告を含め、本年5月末から6月末までにイングランドの7施設において、AHTによりインフルエンザウイルス感染による呼吸器疾患が診断された。その内訳は中部地方の3施設、ケント州の3施設、ハンプシャー州の1施設であった。6例は鼻腔スワブを用いたELISA試験で陽性と診断されたが、残りの1例はペア血清を用いたH3N8型ウイルス抗体価上昇のみでの診断となっている。最初の2例から分離されたウイルスを調べたところ、これらのウイルスは全く同じ株であり、この2例を含む最初の4例がアイルランドの同じホースセール出身であるという事実にも矛盾しない。このウイルスはアメリカ系統の変異株であり、2007年2月にサリー州で分離された株も含め、2003年以降イギリス国内の分離株と非常に類似している(ヌクレオチドが1カ所異なるのみ)。今回の発生が2003年の発生と異なる点は、これまでのところワクチン効果に重大な過誤をもたらすようなことは起きていない点である。
 今年7月初旬には、スコットランドのエディンバラ近郊で開催されたRoyal Highland Showに参加した馬でインフルエンザの発生があり、AHTにおける鼻腔スワブのELISA試験によって確定診断された。感染馬は発熱、鼻漏、発咳といった典型的な臨床症状を示し、直ぐにショーに参加した他の馬にも伝播した。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
2頭の単独での発生があり、AHTにおけるPCR診断と胎仔組織および胎盤からのウイルス分離によって確定診断された。
EHV-4の流産型
 2頭の単独での発生があり、AHTにおけるPCR診断によって確定診断された。アラブ種の1例では、胎盤はEHV-4陽性であったが、胎仔組織は陽性を示さなかった。病理解剖では臍帯のねじれを認めたが、これも流産の一因かもしれない。
EHV-1の呼吸器型
 AHTにおいて、呼吸器症状を示した2頭の若い競走馬の鼻咽頭スワブからウイルスが分離された。
EHV-3
 典型的な症状を呈した2頭のサラブレッド種の種牡馬が馬媾疹と診断された。1例はペア血清における抗体価の上昇によって、もう1例はウイルス分離によって診断された。これとは別に、ファラベラの種牡馬でも症状を認め、EHV-3に対して高い中和抗体価を示したことから、感染が示唆された。

アメリカ合衆国
東部馬脳炎(EEE)
 USDAより、フロリダ州における4例のEEEの発生が報告されている。

馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
2007年の出産シーズン中に、ケンタッキー中心部においてサラブレッド種の牝馬を含めた合計22頭の流産が発生し、レキシントンのLivestock Disease Diagnostic Laboratory(LDDC)でEHV-1が確認されている。この中には6頭の発生がみられた牧場が含まれている。この発生数はここ数年の発生数とほぼ同じである。
EHV-1の神経型
 4月下旬にイリノイ州Balmoral Parkにあるスタンダードブレッド種の競馬場において、1厩舎でEHV-1による神経症状の発生が報告された。

馬インフルエンザ
 6月にケンタッキー中心部にあるサドルブレッド馬の牧場において限局した発生があり、LDDCで確認されている。

ウエストナイルウイルス感染症
 2007年の馬での感染は、現在までにカリフォルニア州とテキサス州での2例の発生がUSDAから報告されている。



世界の馬伝染病発生情報