【INTERIM REPORT - Aug. 2007 No.3】
これまで、馬産業が盛んな国の中でもオーストラリアとニュージランドだけは馬インフルエンザの発生が確認されていなかった。オーストラリアの馬はワクチン接種を受けていない。馬インフルエンザの発生は、馬の生産業界および競馬産業に大きな影響を及ぼすであろう。繁殖、競馬等を目的とした馬の移動に関する検疫システムは、国際的に整備されている。一年を通じて、8月のこの時期は、競馬および繁殖目的の馬の輸入のため、オーストラリアの検疫施設の需要が高まる。
2007年8月17日〜20日にかけ、シドニー(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州)にある検疫所で、3頭の馬に体温上昇と呼吸器症状が認められた。引き続いて、他の3頭でも鼻漏と軽度の体温上昇が確認された。
発熱馬および検疫施設内でそれらの馬に暴露された可能性がある馬については、確認のためにインフルエンザの検査が行われた。CSIRO豪州動物健康検査所(AAHL)におけるTaqMan製リアルタイムPCRを用いた検査で、5検体がA型インフルエンザウイルス陽性と診断された。H3型馬インフルエンザを特異的に検出するPCRにおいても、これら5検体は陽性を示した。これらのPCR産物の塩基配列は、AAHLでコントロールとして保有されている馬インフルエンザウイルス株とは異なっていた。現在、AAHLの生物安全施設でウイルス分離が進められている。
当初発熱した3頭の血液検査結果からは、そのうちの1頭が最近馬インフルエンザウイルスに暴露された可能性が示唆された。
これまでの検査結果と臨床症状から判断すると、検疫施設内の馬は、インフルエンザウイルスを持込む可能性がないことが明らかになるまでは解放することはできないであろう。検疫施設内の馬への感染経路は現時点では不明である。検疫施設内にはアメリカ、イギリス、アイルランドおよび日本からの輸入馬が繋養されており、これら4国はいずれもこれまでに馬インフルエンザの発生が認められている国である。
8月24日には、シドニーにある乗馬センターにおいて数頭の馬が呼吸器症状を示した。ニューサウスウェールズ州にあるElizabeth
Macarthur Agricultural Instituteにおけるスクリーニング検査で、そのうち11頭がA型インフルエンザ陽性と診断され、その後AAHLで確定診断された。H3型馬インフルエンザの特異的診断については現在実施中である。
この乗馬施設での発生と検疫施設での発生の関連性については現在調査中である。
25日には豪州の6州2特別地域の主任獣医師、豪州政府の主任獣医師、検疫官および馬産業の代表者が集まり、現状について議論が交わされた。その中で、6州2特別地域については少なくとも今後72時間の馬の移動禁止措置をとることが合意された。また、この期間はすべての馬関連イベントの開催を自粛することが推奨され、競馬主催者や関連団体に対しても開催の中止や延期が求められた。
ニューサウスウェールズ州にある2つの感染が疑われる施設から半径10km以内の区域がコントロールゾーンとして制定された。感染地域からの馬の移動に関するサーベイランスや追跡調査が現在進行中である。
馬の所有者と獣医師には感染が疑われる馬については報告するよう指導され、そのためのホットラインも設置された。この情報は世界獣疫機構(OIE)に通知される。
より詳細な情報については、以下のwebサイトで確認可能である。
http://www.dpi.nsw.gov.au/agriculture/livestock/horse/influenza
http://www.outbreak.gov.au
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馬インフルエンザ 状況報告概要 2007年8月28日午後4時30分発行 |
2.現状
ビクトリア州、ジロングにあるオーストラリア動物衛生研究所(Australian Animal Health Laboratory、AAHL)の検査により、最初の2つの感染施設(IP)から分離されたウイルスは、H3型馬インフルエンザであることが判明している。
現時点では、NSWおよびQld以外の管轄地域でEI発症の兆しはない。
現段階では、感染馬のほとんどは乗用馬あるいは馬術競技会用の馬に限られているようである。感染がサラブレッド種やスタンダードブレッド種の競走馬にまで波及したという情報はない。
ニューサウスウェールズ州
NSWの感染馬の多くは、メイトランド近郊のロキンヴァーで8月18日〜19日に開催された馬のイベントと直接的または間接的に関連している。215頭もの馬がこのイベントに参加したが、所有者全員とは連絡が取れる状態にある。
昨日、NSWはランドウィックにある2つの競走馬厩舎の3頭について検査中であると公表したが、初回の検査結果では、馬インフルエンザ陰性であったと報告されている。
クイーンズランド州
Qldのウォーウィックで、ロキンヴァーでの同イベントに参加した馬3頭にEIが確認された。その他にも30ほどの馬が臨床症状を示している。調査の結果、ウォーウィックから馬を受け取ったミンデン(ガトン近郊)にある1施設でも馬インフルエンザが確認された。この2つの感染施設周囲は立入り制限区域として指定されている。ミンデンの馬と接触したブリズベン周辺の他の馬については現在調査中である。
他の管轄地域
NSWとQldにおける遡り調査は今なお続けられている。これまでのところ、EIの直接的な証拠は認められていない。呼吸器疾患を発症した馬について検査したが、現在までのところすべて陰性と判明している。
3.対応
NSWは、州全域がEIに対する管理区域として指定された。ペット用、乗馬用およびショー用の馬とロバを含むすべての馬を対象に、NSW全域で移動が禁止されている。
昨日判明した各IPの周囲10kmが立ち入り禁止区域に指定され、これにはQldのウォーウィックおよびミンデンも含まれている。これらの区域内外への馬の移動は禁止されている。
IPへの馬の移動に関する詳細な追跡調査が緊急に進められている。該当馬はいずれも、公式プロトコルに従って調査および検査を受けている。顕著な体温上昇や呼吸器感症状を示す馬はすべて調査を受ける必要がある。特に複数の馬が該当する場合や他の感染施設、あるいは追跡調査の対象となった施設と接触があった場合には調査が必要である。
発熱や呼吸器症状が認められる馬はすべてLDCCに報告するよう広く周知されており、同時に、それらの馬が殺処分されることはないことが確認されている。
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馬インフルエンザ 状況報告概要 2007年8月30日午後4時30分発行 |

1.要点
オーストラリアにおける馬インフルエンザ(EI)の発生は、2007年8月17日ニューサウスウェールズ州(NSW)、シドニーのイースタンクリーク検疫所(Eastern
Creek Quarantine Station、ECQS)で最初に確認され、8月20日に確定診断された。8月22日には、シドニー中心部のセンテニアルパークに隣接するセンテニアルパークランド馬センター(Centennial
Parklands Equestrian Centre、CPEC)でも感染が確認された。現在、オーストラリア国内には感染施設(IP)が45施設あり、このうち4施設がクイーンズランド州(Qld)にあり、残りはNSWにある。80を超える施設が、遡り調査を受けたか(結果待ち等の状態)、これから受ける予定となっている。感染馬が確認されているのは、NSWとQldのみである。
シドニーにあるランドウィック競馬場に所属する競走馬1頭で陽性反応が認められた。オーストラリア動物衛生研究所(Australian
Animal Health Laboratory、AAHL)で最優先事項として再検査が行われている。他の競走馬も暴露されている可能性が非常に高い。ランドウィック競馬場では、今後発症馬が増える可能性が十分あると見込まれる。
現段階では、初発症例を特定することはできていない。
馬の移動禁止の全国協定が8月31日金曜日午後1時まで有効となっている。非感染管轄区域での馬の移動許可を発令するため、リスク分類に基づいたガイドラインが確立されている。
明るいニュースとしては、遡り調査による情報を基に感染施設のほとんどすべてが確認されたことである。最近では、都市周辺の牧場間における水平伝播の証拠が認められた。高水準のバイオセキュリティを奨励、徹底させる努力が続いている。
2.現状
AAHLの検査結果により、最初の2つのIPおよびNSWのその他の複の施設とQldのウォーウィックで分離されたウイルスは、H3型馬インフルエンザであることが判明している。
ニューサウスウェールズ州
IPが以下の場所で確認されている。センテニアルパーク、モリー、パークスショウグラウンド、ベリー、ウィルバーフォース、イースタンクリーク、タムワース、カタイ、オリンバ、マウントハンター、クルヌラ、アバディーン、ムーンビ、マスウェルブルック、メートランド、レッドファーン、レイクマクォーリー、およびニューカッスル近郊。
イースタンクリーク検疫所
全馬が経過観察されている。8月29日に1頭で体温上昇が認められ、同馬から採取した検体がAAHLに送付されている。
NSWは、ECQSの施設周囲1.8 kmおよび上空700フィート(243.6 m)を飛行禁止区域とすることを発表した。
クイーンズランド州
ウォーウィックにあるIPでは半数以上の馬が臨床症状を示している。IPは、ブリスベン(ケンモア)、ミンデン(ガトン近郊)およびローズウッド(ブリスベン近郊)でも確認されている。
上記の4つのIP周囲は立入禁止区域に指定されている。IPと関連があり、発症していると報告された馬の調査が優先されている。
Qldは、メートランドから搬送され、週末にヘリドンに到着したNSWの馬の検疫を行ったが、検査結果は陰性であった。検疫期間中に症状は認められなかったが、移動禁止令が発令されているため馬は収容されたままである。
他の管轄区域
NSWとQldにおける遡り調査は今なお続けられている。これまでのところ、EIの直接的な証拠は認められていない。呼吸器疾患を発症した馬について検査したが、現在までのところすべて陰性と判明している。
3.対応
地域疾患管理センター(Local Disease Control Centre、LDCC)が、NSW DPIのエリザベスマッカーサー農業研究所(Elizabeth
Macarthur Agricultural Institute、EMAI、シドニーの南方、カムデンの向かいに位置するメナングル)に設立された。クイーンズランド州は、トゥウンバに地域疾患管理センター(LDCC)を、およびブリスべンに州疾患センター本部(State
Disease Central Headquarters、SDCHQ)を設立した。
各IP周囲10 kmが立ち入り制限区域として指定されている。これらの区域内外への馬の移動は禁止されている。
IPへの馬の移動に関する詳細な追跡調査が緊急に進められている。該当馬はいずれも、公式プロトコルに従って調査および検査を受けている。
発熱や呼吸器症状が認められる馬はすべてLDCCに報告するよう、広く周知されている。
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馬インフルエンザ 状況報告概要 2007年9月3日午後3時発行 |
1.要点
オーストラリアにおける馬インフルエンザ(EI)の発生は、2007年8月17日ニューサウスウェールズ州(NSW)、シドニーのイースタンクリーク検疫所(Eastern
Creek Quarantine Station、ECQS)で最初に確認され、8月20日に確定診断された。8月22日には、シドニー中心部のセンテニアルパークに隣接するセンテニアルパークランド馬センター(Centennial
Parklands Equestrian Centre、CPEC)でも感染が確認された。
現在、オーストラリアには感染施設(IP)が134あり、これらのうち19施設はクイーンズランド州(Qld)にあり、残りはNSWにある。Qldでは240以上の施設が、NSWでは200以上の施設が危険な接触のあった施設(DCP)として評価を受けている。新規IP数はいまだに増加中である。
シドニーにあるランドウィック競馬場の競走馬集団内で、疾患が継続的に伝播していると予測されている。
州全域で馬移動禁止令が施行されているのは、Qld、NSWおよびオーストラリア首都特別地域である。その他の地域ではその移動禁止令が部分的に解除されている。ただし、不必要に馬を集めることは引き続き控えるよう勧められている。
遡り調査による情報を基に多くのIPが次々と確認されている。
2.現状
オーストラリア動物衛生研究所(Australian Animal Health Laboratory、AAHL)は、国内で分離されているウイルスをH3型馬インフルエンザと同定した。
ニューサウスウェールズ州
立入禁止区域(RA)が以下の10カ所に統合された。シドニー都市圏およびその周辺地域、センテニアルパークおよびレッドファーン、ブロートン(ジェリンゴン近郊)、ホーンズビー、ハンターバレーおよびタムワース、レイクマクォーリー、マウントハンター(キャムデン近郊)、モリー、パークス、Terry
Hie Hie(モリーの南東)。
新たに4ヶ所のRAが追加される可能性がある。
クイーンズランド州
Qldには、IPが19施設、DCPが42施設ある。IPは、ウォーウィック近郊、ミンデン、ローズウッド、ブリスベン西、タンボリンおよびグンディウィンディにある。水平伝播のリスクを低くする措置の一環として、全てのIPおよびDCPの近隣住民に連絡が取られている。
他の管轄区域
いずれの州も調査活動を変わりなく継続中。疑いがある馬は、各州当局への報告が必須であり、未報告は法律違反となる。
3.対応
NSWおよびQldでは、州および地域の疾患管理センターとは別に重要な場所には前線本部を設立した。これらのセンターは各州において対応の調整および管理を行っている。
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馬インフルエンザ 状況報告概要 2007年9月11日発行 |
1.要点
現在オーストラリアには490の感染施設(IP)があり、ニューサウスウェールズ州(NSW)に410施設、クイーンズランド州(Qld)に80施設ある。
危険な接触のあった434施設(DCP)および、その疑いがある306施設(SP)について、現在調査中である。
感染馬が確認されているのは、NSWとQldのみである。
Qld、NSWおよびオーストラリア首都特別地域では、引き続き州全域での馬の移動禁止令が施行されている。
将来的にワクチン接種が必要となった場合に備え、その選択肢の検討に多大な努力が払われている。オーストラリア獣医緊急計画(Australian
Veterinary Emergency Plan、AUSVETPLAN)には、馬インフルエンザ(EI)ワクチン接種に関するオーストラリアの基本政策方針が含まれている。ワクチン接種は、発生確認後に被害が拡大した場合や一般的な馬集団において地方病となる可能性が高い場合など、特定の条件下で承認される可能性がある。
IPから周辺地域への被害拡大は継続的な問題となるであろう。
2.現状
ニューサウスウェールズ州
新たに43のIPが報告された。現在、NSWでは、IPが410か所、DCPが359か所、SPが195か所となっている。
現在の立入禁止区域(RA)は以下の通り。オーバーン パラマッタ ストラスフィールドおよびバンクスタウンの北部、バラディン、ブラッケンデール、ブロックスハースト、ブロートン(ジェリンゴン近郊)、ブンデラ、キャムデンとリバプール、カルーナ(クワリンダイの北西)、センテニアルパークおよびレッドファーン、クーナンブル、Cooyal(マジーの北東)、Gulargambone、ガンネダー、グワイダー、ホーンズビ、ハンターバレーおよびタムワース、レイクマクォーリー、レキシントン(クーナンブル)、モリープレーンズ、ナラブリ、パークス、シドニー都市圏およびその近郊、ウォーカップ(オックスリーハイウェイ)およびウロンディリー。
マウントハンター、カタイおよびイースタンクリークにあるIP群の調査により、風の条件が揃うと最大1.8 kmまで風を介した感染拡大が生じることが示唆された。「緩衝地帯」に対する対策は検討中のままである。緩衝地帯とは、パークス、マウントハンターおよびシドニー南西部であり、場合によってはスクーン、セントラルコーストおよびアッパーハンターも含まれる。
NSW内の馬を対象としたセール、ショーまたはイベントの禁止令は、9月17日月曜日まで延長され、その時点で再検討されることになる。
検疫措置解除を視野に入れ、センテニアルパークでのEI状態をモニターするための監視馬の設置を計画中である。
バイオセキュリティガイドラインが示され、NSWの装蹄師が管理区域および立入禁止区域の両方で業務することが可能になった。
クイーンズランド州
新たに7つのIPが報告されている。QldではIPが現在80施設ある。IPはウォーウィック内および近郊、ミンデン/ローズウッド、ブリスベン西郊外、タンボリンおよびグンディウィンディにある。
DCPは75施設、SPは111施設ある。
NSWの提唱する4地域帯システムに合わせ、地域帯設定を計画中。これは、QldとNSWにおいて、移動条件を共有することを目的としている。
他の管轄地域
いずれの州においても調査活動は継続中である。EIは届け出義務がある疾患であり、疑いのある症例は、各州の当局への報告が義務付けられている。
ウェスタンオーストラリア州(WA)、サウスオーストラリア州(SA)、ビクトリアおよびタスマニア州からの馬は、北部特別地域内に受け入れられる予定。NSWおよびQldからビクトリア州への馬および馬装具の移動はいまだ禁止されている。タスマニア州への馬の輸入禁止令は9月15日まで延長されている。この禁止令は毎週見直される予定。SAおよびWAへの馬の移動も今後通知があるまで禁止される。
以下の主要事項を2007年10月30日付で受け取った。
馬インフルエンザ(EI)は、ニューサウスウェールズ州(NSW)とクイーンズランド州(Qld)に限定して発生が続いている。根絶に向けた施策は、いまだ疾病対策活動の中心であるが、根絶には数カ月以上を要するであろうと認識されている。
現在、感染施設(IP)の数はNSWで5251施設、Qldで1898施設にのぼる。IPの数は増加を続けているが、その勢いは無くなりつつある。NSWでは、ピーク時の新規IP数は1日あたり約200施設であったが、現在では約50施設となっている。Qldも同様の状況にある。
緩衝地帯の馬集団および対策上重要な馬集団に対して、区域指定、移動禁止、バイオセキュリティおよびワクチン接種が実施されている。社会経済上、価値のある馬(一般にサラブレッド競走馬)への追加のワクチン接種がNSW、Qldおよびビクトリア州で実施されている。Merial
Laboratoryで生産された組換え型EI生ワクチンの緊急時における使用が承認された。引き続き、馬産業の経済的救済に向けた特別対策が講じられている。
詳細情報は以下のウェブサイトで入手可能。
http://www.dpi.nsw.gov.au/agriculture/livestock/horse/influenza
http://www.dpi.qld.gov.au/cps/rde/xchg/dpi/hs.xsl/27_7416_ENA_HTML.htm
http://www.outbreak.gov.au/