2008年
軽防協ニュース速報 NO.4


2008年第4四半期(10月−12月)の伝染病発生状況



(International Collating Center からの情報)
2009年2月13日配信


アルゼンチン
 
報告未着。

オーストラリア
馬インフルエンザ−発生なし
 2007年8月24日から流行した馬インフルエンザの最終発生は、2007年12月27日である。注目すべきことは、国際獣疫事務局(World Organisation for Animal Health ; OIE)がオーストラリアの馬インフルエンザに対して公式に清浄化を認めたことである。公式の承認を得たのは、2007年のクリスマスの日にクイーンズランド州で確認された最終発生から1年間にわたり、本病のサーベイランスを継続し、法令を遵守した努力の結果である。国際的な清浄化宣言により、馬の国際間移動に対する制限がなくなるであろうし、オーストラリアで実施される馬の競技の登録義務もなくなるであろう。2007年10月のピーク時には、全国で8万頭もの馬が感染した。主席獣医官の報告として、オーストラリアでは馬インフルエンザの清浄化に成功したと述べている。詳細は以下を参照のこと。
http://www.outbreak.gov.au

カナダ
 報告事項なし。

チリ
 報告事項なし。

デンマーク
馬ウイルス性動脈炎(EVA)
 2008年9月から11月にかけて、馬ウイルス性動脈炎の発生が確認された。開業獣医師が採取した陽性サンプルによって、ストックホルムにあるSVAにおいて確定診断がなされた。3施設の非サラブレッド種3頭で感染が確認されたが、発生は限局的であり、臨床症状も軽度であった。ワクチン接種歴は不明である。感染馬には、発熱、眼瞼や四肢の浮腫および鼻漏などの臨床症状が認められたが、10日程度で回復した。

フランス(フランスの馬疾病の疫学監視ネットワークであるRESPEからの報告)
腺疫(Streptococcus equi)
 エッソンヌ県、ロワール・アトランティック県およびヴィエンヌ県の異なる3施設で腺疫が発生し、合計3頭の非競走馬の感染が確認された。感染馬には、発熱、発咳、鼻漏、リンパ節の腫大などの臨床症状が認められ、診断はPCR検査によってなされた。
馬伝染性子宮炎(CEM)
 オルヌ地方において、2頭の非競走馬でCEM感染が確認され、診断は細菌分離によってなされた。
馬ピロプラズマ病
 
ピロプラズマ病は、フランスでは風土病として存在している。
EHV-1の呼吸器型
 メーヌ・エ・ロワール県において、1頭のサラブレッド種の馬でEHV-1の呼吸器型の発生があり、ペア血清間の抗体価の上昇により診断された。同施設の他の馬の感染は確認されなかった。
EHV-1の神経型
 セーヌ・エ・マルヌ県において、1頭の非競走馬でEHV-1の神経型の発生があり、鼻腔スワブのPCR検査により診断された。
馬インフルエンザ
 セーヌ・エ・マルヌ県において、ワクチン接種済みの1頭の非競走馬で馬インフルエンザの発生があった。感染馬には、発咳、発熱および鼻漏などの臨床症状が認められ、鼻腔スワブの迅速ELISA検査により診断された。
追加:
ウエストナイルウイルス感染症(WNV)
 2008年第3四半期にICCに報告された2件の発生は、アメリカの近くに位置するフランスの海外領土(グアデロープ)の馬であることが判明した。

ドイツ
馬伝染性貧血(EIA)
 Neckar-Odenwald-Kreis行政地区(Baden-W殲ttemberg連邦州、ドイツ南部)にある施設の1頭がEIAと診断された。この感染馬は8歳で、公式にEIAと診断されたのち、2008年10月30日に安楽死処分された。汚染された施設は隔離措置が講じられ、保護地区が設定された。接触した馬に対する調査が始められ、サーベイランスが実施された。その結果、感染馬は数年前に西ヨーロッパからドイツ南部に移動してきたと推定された。
 さらに、今回の発生に加え、以前に報告があった2件の発生例(2つの異なった行政地区の合計4施設で発生)に関しても、感染拡大の可能性について調査されている。

香港
 
報告事項なし。

アイルランド共和国
 報告未着。

イタリア
ウエストナイルウイルス感染症(WNV)
 2008年8月8日に最初の発生が報告され、12月8日においても発生が確認されている。診断は、国立レファレンスセンター(CESME)において、血清学的検査およびPCR検査によってなされた。発生は大規模であり、235施設の474頭(うち5頭は死亡)の競技馬、種牡馬、および非サラブレッド種の馬で感染が確認された。イタリア政府は、これまでワクチン接種を認めていなかったが、ワクチン接種を認め始めた。イタリア政府はこの感染症が定着したことを宣言し、汚染地域にいる馬に対する血清学的およびウイルス学的な監視および野生の鳥と飛翔する昆虫に対する監視を含む症候群サーベイランスを開始した。また、汚染地域のウシ属および家禽類に対する監視も実施された。現在のところ、汚染地域はイタリアの中東部に限定されている。
馬伝染性貧血(EIA)
 馬伝染性貧血の発生は現在も報告されているが、詳細については不明である。
馬ウイルス性動脈炎
 馬ウイルス性動脈炎の発生は現在も報告されているが、詳細については不明である。
腺疫(Streptococcus equi)
 腺疫の散発的な発生が報告されている。
馬伝染性子宮炎(CEM)
 Taylorella asinigenitalisの存在は報告されているが、詳細については不明である。

日本
馬パラチフス(S. abortus equi )
 
2008年10月9日に最初の発生が確認され、10月19日に最終の発生が確認された。岩手県家畜保健衛生所において典型的な臨床症状を示した感染馬から病原体が分離され、確定診断された。発生は限定的であり、1施設の3頭の非サラブレッド種で感染が確認された。ワクチン接種歴は不明である。
 さらに2008年12月26日に別の発生が確認された。北海道根室家畜保健衛生所において病原体が分離され、確定診断された。ワクチン接種歴は不明である。
EHV-1流産型
 2008年12月18日に、ワクチン接種を受けていたサラブレッド種の繁殖牝馬1頭で感染が確認された。北海道日高家畜保健衛生所において病原体が分離され、確定診断された。
馬インフルエンザ
 引き続き適切な防疫措置とサーベイランスを継続し、馬インフルエンザの清浄化に向けた最大限の努力が続けられている。

ニュージーランド
 
報告事項なし。

シンガポール
 
報告事項なし。

南アフリカ
 報告未着。

スペイン
馬ピロプラズマ病
 
ピロプラズマ病は、スペインでは風土病として存在している。

スウェーデン
馬インフルエンザ
 
2008年11月27日に最初の発生が確認され、2009年1月7日に最終の発生が確認された。診断は、PCR検査によってなされた。およそ50施設における競技馬ならびにサラブレッド種と非サラブレッド種の繁殖馬が感染した(感染数はまだ不明である)。トロッター競走が催される6競馬場は一時的に隔離措置が講じられ、2競走が中止となった。2009年1月8日現在、1競馬場が隔離状態のままである。

スイス
馬伝染性貧血(EIA)‐血清学的調査
 2007年12月から2008年8月にかけて、血清学的調査が実施された。スイス国内では、1991年以降の発生は確認されていない。しかし、国内にウイルスが導入される危険因子が存在している。例えば、不顕性感染馬、輸入馬、スイスへ馬を輸入する前にEIAの検査が輸出国に要求されていないこと、ヨーロッパにおけるEIAの存在、違法に入国した馬ならびに一時的滞在馬などがその危険因子である。
 スイス国内にいる輸入馬および在来馬がEIAに対して清浄であることを証明するための疫学調査が実施された。2003年以降に輸入された馬434頭ならびに15歳以上の馬(感染している危険性の高い高齢馬)232頭から採取された血清を用いてELISA検査が実施された。全馬陰性であった(95%信頼区間、検出限界0.5%に相当)。
馬ボレリア病(Borrelia burgdorferi)
 10月に馬ボレリア病の限定的な発生があり、1頭の非サラブレッド種の感染が確認された。診断は、血清学的検査および臨床診断によってなされた。
追加:
馬伝染性子宮炎(CEM)
 2008年第3四半期に、CEMの発生が1件報告された。注目すべきことは、感染馬はFranche-Montagnesの種牡馬(ドイツのFreibergerに所在している馬)であり、Franche-Montagnes地域からきた馬ではない点である。
馬ピロプラズマ病
 
2008年9月に馬ピロプラズマ病の発生があり、2施設の非サラブレッド種2頭の感染が確認された。診断は、原虫の確認および臨床症状によってなされた。
腺疫(Streptococcus equi)
 
2008年9月から12月にかけて腺疫の限定的な発生があり、非サラブレッド種4頭で感染が確認された。診断は細菌分離および臨床症状によってなされた。

トルコ
 
報告事項なし。

アラブ首長国連邦
馬ピロプラズマ病
 アラブ首長国連邦では、バベシアカバリおよびタイレリアエクイ感染症は風土病であり、定期的に症例が報告されている。非サラブレッド種で発生が認められた。診断は、ドバイにあるCentral Ventral Research Laboratoryにおいて、血清学的検査および原虫の分離によってなされた。

イギリス
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
この四半期に、EHV-1による1例の流産症例が、胎児の組織を用いて明瞭さを欠いた免疫染色により診断された。抗原は肝臓においてのみ顕著に認められた。珍しいことであるが、EHV-1ゲノムのopen reading frame (ORF) 30領域をプライマーとしたPCR検査によって、流産胎児の混合組織からEHV-1が検出された。流産胎児および胎盤のどちらからもウイルスは分離されなかった。これらのことから、この流産は低い感染性の症例であったと考えられた。
EHV-1の神経型
 10月初めに、南イングランドにある大きな牧場で飼養されていたポロ競技用ポニー3頭で神経症状が認められた。そのうちの1頭の鼻咽頭からEHV-1ウイルスが分離され、別の1頭の血清を用いた補体結合(CF)反応において、EHV-1およびEHV-4に対する抗体価がやや高いことが判明した。症状は、前肢の麻痺や脳神経障害をともなう典型的なEHV-1の神経型ではなく、通常では見られないケース、即ち臨床症状の発現後に抗体の陽転が認められた。
馬インフルエンザ
 輸出検疫期間中の1頭の馬で、鼻腔スワブを用いたELISA検査によって陽性が確認された。その後、同検体を用いたPCR検査は陰性であり、同馬および他の馬から再度採取した鼻腔スワブを用いたPCR検査およびELISA検査においても陰性であった。馬インフルエンザウイルスは分離されなかった。
腺疫(Streptococcus equi)
 
イギリスでは、特に非サラブレッド種の馬群において腺疫は風土病である。診断は、S. equiの細菌分離、呼吸器から採材したサンプルを用いたPCR検査および/あるいは血清をもちいたELASA検査によってなされた。

アメリカ合衆国
馬伝染性子宮炎(CEM)【2008年12月の中間報告】
 2008年12月22日現在、ケンタッキー州農政局からの報告によると、4頭の種牡馬(クォーターホース3頭、アメリカンペイントホース1頭)において、馬伝染性子宮炎の発生が確認された。今回の検査は種付け前の予備検査としてケンタッキー大学の家畜疾病診断センターで実施され、CEMの原因菌であるTaylorella equigenitalisが分離された。 今回確認された感染馬は、それぞれ2008年の種付けシーズンを通してケンタッキー州中央部にある牧場で繋養されており、そこで人工授精用の精液を採取されていた。4頭の感染馬のうち3頭は同牧場に今でも繋養されており、残りの1頭も近隣の牧場に繋養されている。感染馬が繋養されていた牧場にいた他の5頭の種牡馬は、最初の検査で陰性であった。州および政府の管理下で、同牧場には隔離措置が講じられている。また、同牧場に繋養されていた他の13頭の種牡馬は、2008年の種付けシーズン終了後に他の州へと移動していた。米国農務省(USDA)は、これら感染の可能性がある種牡馬に対して、検査と治療を実施している。感染種牡馬の精液の人工授精を2008年に受けた繁殖牝馬は感染に暴露していると考えられており、CEMの確認検査が実施されるであろう。最新の情報については、ケンタッキー州農政局のウェブ上(www.kyagr.com)で入手可能である。
東部馬脳炎(EEE)
 2008年12月18日現在、USDA(米農務省)からの報告によると、馬における東部馬脳炎(EEE)の発生例は合計168症例であり、それらはフロリダ州の86症例、ジョージア州の22症例およびアラバマ州の21症例であった。
EHV-1の神経型
 この四半期に、EHV-1の散発例がいくつかの州で報告された。11月にケンタッキー州で確認された7歳のポニーの1症例では、非神経病原性株が原因と報告された。12月にデラウェア州の異なる牧場で確認された2症例では、ともに非神経病原性株が原因であり、それらは安楽死処置がとられた。12月にメリーランド州のローレルパーク競馬場で確認された2歳の仔馬の症例もまた、安楽死処置がとられた。12月末にルイジアナ州のフェアグラウンズ競馬場において、サラブレッド種の馬1頭が神経麻痺を呈し、EHV-1が原因であると診断された。
ウエストナイルウイルス感染症(WNV)
 2008年12月18日現在、USDA(米農務省)からの報告によると、馬におけるウエストナイルウイルス感染症(WNV)の発生例は合計162症例であり、それらはカリフォルニア州の32症例とワシントン州の41症例であった。CDC(米国疾病予防管理センター)からの報告によると、同時期のヒトにおけるWNV感染症の発生は1370症例であり、死者は37人であった。これらヒトの発生例のうち411症例はカリフォルニア州で、99症例はミシシッピ州における発生であった。




世界の馬伝染病発生情報