2009年
軽防協ニュース速報 NO.1


2009年第1四半期(1月−3月)の伝染病発生状況



(International Collating Center からの情報)
2009年5月18日配信


アルゼンチン
 
報告事項なし。

オーストラリア
 報告未着。

カナダ
 報告事項なし。

チリ
腺疫(Streptococcus equi)
 2009年2月27日に最初の発生が報告され、3月18日に最終の発生が報告された。Veterquimica研究所において、細菌分離によって確定診断がなされた。3施設のサラブレッド種繁殖馬35頭で感染が確認されたが、発生は限局的で、臨床症状も軽度であった。感染馬には、発熱、食欲不振、水様性鼻汁、そして顎下腺、下顎リンパ節および咽頭リンパ節の膿瘍形成などの臨床徴候が認められた。

デンマーク
 報告事項なし。

フランス(フランスの馬疾病の疫学監視ネットワークであるRESPEからの報告)
腺疫(Streptococcus equi)
 オアーズ(Oise)県の1施設で腺疫が発生し、2頭の非競走馬の感染が確認された。感染馬には、発熱、リンパ節の腫大などの臨床症状が認められ、診断はPCR検査によってなされた。
馬伝染性子宮炎(CEM)
 マンシュ県、オルヌ県およびオアーズ県の4つの施設の競走馬でCEM感染が確認された(うち3施設では1頭ずつ、1施設で3頭の発生が確認された)。診断は細菌分離によってなされた。
馬ピロプラズマ病
 
ピロプラズマ病は、フランスでは風土病として存在している。
EHV-1の呼吸器型
 セーヌマリティム県において、1頭のサラブレッド種の馬でEHV-1の呼吸器型の発生があり、ペア血清間の抗体価の上昇により診断された。この馬はワクチン接種を受けており、同施設の他の馬の感染は確認されなかった。
EHV-1の神経型
 オルヌ県において、1頭の非競走馬でEHV-1の神経型の発生が確認された。確定診断は、死後の脳脊髄組織の培養およびPCR検査によりなされた。
EHVの流産型
 EHVによる3件の流産の発生が、オルヌ県、ウール県およびセーヌ・エ・マルヌ県の3ヵ所の非サラブレッド種の繁殖牧場で確認された。繁殖牝馬はワクチン接種を受けており、これらの牧場において、その他の発生は確認されなかった。
馬インフルエンザ
 疫学的に関連のある8つの施設のスタンダードブレッド種の馬において馬インフルエンザの発生が確認された。感染馬は、発咳、発熱、結膜炎および鼻漏などの臨床症状を呈した。最初の発生は、バルドマルヌ県の調教場で確認された。カルバドス県、オルヌ県、メーヌ・エ・ロワール県、アルプマリティム県およびタルンエガロンヌ県でも発生が確認された。全ての馬はワクチン接種を受けていた。診断は迅速ELISA検査およびPCR検査によってなされた。分離ウイルスは、遺伝子学的にフロリダ亜系統のクレード1に属するオハイオ2003/H3N8と密接に関係していた。
馬伝染性貧血
 
3月下旬に、1頭の非競走馬で馬伝染性貧血の発生が確認された。フランス政府は、全国規模の疫学的および血清学的な追跡調査を実施しており、詳細な情報が入り次第報告される予定である。

ドイツ
EHV-1の流産型

 ニーダーザクセン(Lower Saxony)連邦州において、1施設のサラブレッド種繁殖用馬でEHV-1による流産の発生が報告された。2009年1月8日に最初の発生が報告され、3月16日に最後の発生が報告された。6頭のワクチン接種を受けた繁殖牝馬で感染が確認された。診断はハノーバー大学において、胎児組織のPCR検査によってなされた。血清学的診断は現在実施中である。
馬伝染性貧血(EIA)
 前回報告された2つの異なる行政区におけるEIAの発生について、調査が完了したとの通知があった。担当省庁によると、これらの行政区においてEIAは根絶され、その結果、汚染された施設および従来からの保護地域内で実施されていた全ての隔離施策は撤廃された。

香港
 
報告事項なし。

アイルランド共和国
腺疫(Streptococcus equi)
 
10施設で10頭の発生が確認された。
サルモネラ感染症
 2件の発生が報告された。
馬伝染性貧血
 
5381頭の馬に対して馬伝染性貧血の抗体検査が実施され、全て陰性であった。
馬ウイルス性動脈炎
 
5972頭の馬に対して調査が行われたが、馬動脈炎ウイルスの存在を示す証拠はなかった。
馬インフルエンザ
 
確定診断は血清学的証拠に基づいてなされた。ウイルス分離試験は実行中である。
EHV-1の流産型
 2施設の2頭の牝馬で流産が確認された。別の1施設では、混合ワクチンの接種歴のある1頭の子馬が死亡し、別の1頭の子馬は病気になった。
EHV-3
 1頭の種牡馬がPCR検査とウイルス分離で陽性と診断された。

イタリア
ウエストナイルウイルス感染症(WNV)
 2008年11月に最初の発生が報告されたWNV感染症の発生は、2009年1月に最終の発生が報告された。診断は、国立レファレンスセンター(CESME)において、血清学的検査およびPCR検査によってなされた。このうち1月に発生した2例は、臨床症状は示さなかったが、血清学的検査で陽性が確認された。血清陽性の鳥も数羽発見されたが、臨床例はなかった。このことは、この時期には媒介動物がいないことと関連していると考えられる。

日本
馬パラチフス(S.abortus equi )
 
馬パラチフスの発生は、2008年12月26日に最初の報告があり、2009年1月に最終の報告があった。北海道根室家畜保健衛生所において病原体が分離され、確定診断された。発生したのは、非サラブレッド種1頭だけであった。(この報告は前期の報告からの継続である。)
 さらに2009年2月26日に別の発生が異なった場所で報告された。北海道網走家畜保健衛生所において病原体が分離され、確定診断された。発生したのは、非サラブレッド種1頭だけであった。
EHV-1流産型
 発生したのは、ワクチン接種歴のない1頭の非サラブレッド種だけであった。
 2009年1月13日に最初の発生が報告され、3月28日に最後の発生が報告された。確定診断は、北海道日高家畜保健衛生所において血清学的診断によってなされた。発生は限定的であり、11施設の23頭の繁殖用馬で流産を起こした。このうち19頭がワクチン接種を受けていた。

ニュージーランド
 
報告事項なし。

シンガポール
 
報告事項なし。

南アフリカ
 報告未着。

スペイン
 
報告事項なし。

スウェーデン
腺疫
 スウェーデンでは風土病であり、全国的に発生がみられる。

スイス
腺疫(Streptococcus equi)
2009年2月に腺疫の発生があり、非サラブレッド種1頭で感染が確認された。ワクチン接種歴は不明である。

トルコ
馬ヘルペスウイルス感染症(EHV-1, EHV-4)
 2009年1月26日に最初の発生が報告され、3月4日に最後の症例が報告された。アンカラ大学獣医学部においてPCR検査によって確定診断された。発生は限定的であり、1施設の8頭のサラブレッド種で感染が確認された。臨床症状は軽度であった。
レプトスピラ感染症
 
2009年1月17日に最初の発生が報告され、3月16日に最後の症例が報告された。エトリーク国立リファレンスラボラトリーにおいてMATによって確定診断された。発生は限定的であり、1施設の3頭(サラブレッド種および非サラブレッド種)で感染が確認された。臨床症状は軽度であった。
馬ピロプラズマ病
 2009年3月10日に1頭の繁殖用馬で発生が確認された。臨床症状は軽度であり、診断はエトリーク国立リファレンスラボラトリーにおいて血清学的検査およびc‐ELISAによってなされた。
狂犬病
 2009年2月12日に1頭の非サラブレッド種で発生が報告された。診断は、エラズー国立リファレンスラボラトリーにおいて血清学的検査、sellers testおよびFATによってなされた。
腺疫
 
発生は2009年2月9日に報告され、3月2日に最後の症例が報告された。ペンディック国立リファレンスラボラトリーにおいて確定診断された。発生は限定的であり、2施設の4頭のサラブレッド種が感染した。臨床症状は軽度であった。

アラブ首長国連邦
馬ピロプラズマ病
 アラブ首長国連邦では、バベシア・カバリおよびタイレリア・エクイ感染症は風土病であり、定期的に症例が報告されている。非サラブレッド種で発生が認められた。診断は、ドバイにあるCentral Ventral Research Laboratoryにおいて、血清学的検査および原虫の分離によってなされた。

イギリス
馬ヘルペスウイルス
EHV-1の流産型
 
EHV-1による流産は、2施設における大きな発生と5施設における単独発生が報告された。1牧場において、5頭のワクチン接種を受けたサラブレッド種繁殖牝馬で流産の発生が確認されたケースも含まれている。別の牧場では産まれた直後に死亡した子馬が、PCR検査によってEHV-1に感染していたと診断された。引き続いて、2週間以内に接触していない2頭の繁殖牝馬が流産した。全ての牝馬はワクチン接種を受けていたが、若い馬と接触歴していた。
EHV-4の流産型
 1頭のサラブレッド種牝馬における流産が、PCR検査によってEHV-4の感染によるものと確認された。
EHV-4の呼吸器型
 2つの離れた放牧地の2頭の馬で、鼻咽頭スワブからEHV-4が分離された。これらの馬は、発咳、鼻漏、発熱、沈うつなどの臨床症状を呈した。
馬インフルエンザ
 馬インフルエンザの1件の流行がこの四半期に報告された。チェシャー州の2頭のワクチン未接種馬が呼吸器症状を呈し、鼻咽頭腔スワブのNP ELISAで陽性であった。その後、ウイルスが分離され塩基配列が決定された。分離されたウイルスはともに、H3N8馬インフルエンザウイルスのフロリダ亜系統のクレード1に属していた。2頭のインフルエンザ陽性馬は、血清学的にも、HIテストにおいてH3N8に対して高い抗体価を示した。
腺疫(Streptococcus equi)
 
ニューマーケットの調教場において4頭の馬が腺疫に罹ったことが報告された。約45頭の馬との接触が報告されたが、発生直後から適切な施策が実施され、感染の拡大は阻止された。イギリスでは、特に非サラブレッド種馬群において、腺疫は風土病として存在している。診断は、呼吸器サンプルを用いた腺疫菌の分離とPCR検査/あるいは、ELISA検査による血清抗体の陽転によってなされた。

アメリカ合衆国
馬伝染性子宮炎(CEM)【2008年12月の中間報告】
 2008年には、4頭の種牡馬(クォーターホース3頭、アメリカンペイントホース1頭)において、馬伝染性子宮炎の原因となるTaylorella equigenitalisが分離された。これらの種牡馬は、2008年シーズンはケンタッキー州にある人工授精のための精液収集を専門とする種牡馬施設に他の18頭の種牡馬とともに_養されていた。この施設の種牡馬は、2004年以降、いくつかの州をまたいで移動を繰り返していた。2009年3月下旬、7つの州で、15頭の種牡馬と4頭の牝馬が、細菌培養によってCEM陽性と診断された。陽性と診断された種牡馬は、ジョージア州で1頭、インディアナ州で3頭、ケンタッキー州で4頭、テキサス州で1頭およびウィスコンシン州で6頭であった。同様に陽性と診断された牝馬は、カリフォルニア州で2頭、イリノイ州で1頭およびウィスコンシン州で1頭であった。陽性の種牡馬は抗生物質を用いて治療され、その後2頭の牝馬を用いた交配試験を行い、続いてT.equigenitalisの存在の有無を調べる試験が実施された。陽性と診断された牝馬も治療と再検査を受けた。3月12日には、最初にCEMが診断されたケンタッキーの施設において、感染および汚染したすべての種牡馬がCEMの検査で陰性となり、隔離措置から解放された。州及び政府の獣医当局による全国的な種牡馬および繁殖牝馬の追跡調査により、46州の711頭(種牡馬112頭、繁殖牝馬599頭)について、人工授精、自然交配あるいは同じ施設における繋養によって、CEMに感染していた可能性が疑われた。
 繁殖シーズンには、種牡馬は広範囲かつ頻繁に州をまたいで移動するため、CEMの流行前に感染源を特定することは不可能となっている。加えて、人工授精および自然交配による伝染や、汚染された共用の器材を使用することによる種牡馬間の伝染がCEMの拡散に大きな役割を果たしている。今回の流行では、サラブレッド種の発生はなかった。これまでのアメリカ合衆国におけるCEMの最終発生は、2006年に東ヨーロッパからウィスコンシン州に輸入された3頭のリピッツァナー種種牡馬で起きていた。
EHV-1の流産型
 3月下旬、ケンタッキー州中部で10頭のサラブレッド種牝馬がEHV-1による流産と診断された。診断はケンタッキー大学家畜疾病診断センターでなされた。
馬ピロプラズマ
 2008年にフロリダで馬ピロプラズマ感染症の流行があった。この時、感染馬が繋養されていた最後の施設について、3月12日に州による隔離措置が解除された。馬ピロプラズマ陽性馬は全て摘発され、摘発から60日後に血清学的検査を受けたその他の馬は全て陰性であった。この施設はダニのサーベイランスを実施したが、馬ピロプラズマ陽性のダニは発見されなかった。




世界の馬伝染病発生情報