2009年
軽防協ニュース速報 NO.3


2009年第3四半期(7月−9月)の伝染病発生状況



(International Collating Center からの情報)
2009年12月配信


 オーストラリアからの報告提出時期の変更に伴い、今後同国のレポートは一四半期遅れて配信されるので注意されたい。以下に、オーストラリアの2009年第1、2四半期のレポートを記載する。その後に、その他の国の第3四半期のレポートを通常の形式で記載する。

オーストラリアの2009年第1・2四半期の伝染病発生状況

オーストラリアの2009年第1四半期(1月―3月)の報告
 Animal Health Surveillance Quarterly (AHSQ) Compiled by Animal Health Australia (AHA) (http://www.animalhealthaustralia.com.au/status/ahsq.cfm)

州および準州の発生状況

ニューサウスウェールズ州(NSW)
(第一次産業省 ローリー・アーサーによる報告)
ヘンドラウイルス感染症の除外
 
オーストラリア動物衛生研究所の検査によって、マーウィランバ近郊で発症後短期間で死亡した13歳の馬の死亡原因からヘンドラウイルス感染症は除外された。この馬は、呼吸器ならびに神経症状を呈し、発症の直前にはオオコウモリが生息する古い果樹園に放牧されていた。組織病理学的には、キク科のクロフトン雑草(Ageratina adenophora)による中毒が死因と推定された。ニューサウスウェールズ州における馬のヘンドラウイルス感染症の唯一の確定例は2006年にマーウィランバ地区で発生した事例である。

クイーンズランド州(QLD)
(クイーンズランド州第一次産業漁業省 グレッグ・ウイリアムソンによる報告)
馬の新興動物病
 クイーンズランド州では2007年12月25日以降、馬インフルエンザの発生例は確認されていない。現在も継続中のサーベイランスによって、馬インフルエンザがクイーンズランド州の馬に存在しないことが裏付けられている。
 ヘンドラウイルス感染症の発生例は、2008年6月から8月にかけて確認された一連の発生を最後に記録されていない。通常は、発熱症候群、呼吸器および、あるいは神経症状を呈する馬については、ヘンドラウイルスは検査によって病気の原因から除外されると考えられる。この四半期に、27例のヘンドラウイルス感染症が疑われる馬の調査を実施したが、ヘンドラウイルスのPCR検査はすべて陰性であった。主に軸索変性症、腺疫、偶発性の呼吸器感染症などの診断がなされた。軸索変性症(神経細胞の軸索の損傷)は、ヘンドラウイルス感染症が検査によって病気の原因から除外された馬に対して一般的になされる診断である。
 クイーンズランド州南東部において尿(種類は不明)のサンプリングを行うプロジェクトが開始され、現在も継続中である。このサンプリングはヘンドラウイルスのPCR検査を実施するためのものである。
腺疫(Streptococcus equi
 クイーンズランド州では、腺疫は散発的に発生しており、馬は滅菌したS.equiの無細胞抽出液による予防接種を受けている。この四半期には4例の発生が報告され、うち1例は死亡例であった。
 Pine Rivers Shireのある農場で2ヶ月にわたって100頭の馬が感染の危険にさらされ、うち6頭が死亡、8頭が発症した。これらの馬は腺疫の予防接種を受けていなかった。感染した馬は発熱、粘液膿性の鼻漏、リンパ節腫、沈うつおよび食欲低下などの症状を示した。鼻咽頭腔スワブのPCR検査および血清のELISA検査によって馬インフルエンザは病気の原因から除外された。鼻咽頭腔スワブからS.equiが培養された。この農場は検疫下に置かれ、残りの8頭の発症馬は抗生物質による治療で治癒した。

タスマニア州(TAS)
(第一次産業水産省 マリー・ルー・コンウェイによる報告)
高齢牝馬における重篤な呼吸器疾患
 
タスマニア北西部のウィンヤード地区において、24歳の牝馬が重篤な呼吸困難を発症後4日目に死亡した。この牝馬は、死ぬ前の週末には健康であり、海で泳いでいた。臨床症状としては、発熱(39℃)、腹式呼吸、時折する軽い発咳および肺腹側の呼吸音の減衰などがみられた。
 剖検の結果、心膜、胸膜および肺と肝臓の実質内に褪色した脆弱な腫瘤が認められた。肺は虚脱しており、多量の胸水が認められた。組織学的には、腫瘤は肺腺癌であり、肝臓と胸膜に転移が認められた。この腫瘍は極めて活性化しており、侵襲性の腫瘍の特徴を示していた。
 臨床症状および死亡原因は、直近の行動(水泳)の結果により胸水が増加し、胸腔内圧の上昇とそれによる呼吸障害が引き起こされたためと考えられた。しかし、最終的には、この腫瘍が、馬を死に至らしめるのに十分なほど、肺機能に障害を生じさせたものと推測された。
 肺腺癌は犬、猫および牛ではもっとも一般的な原発性肺腫瘍であるが、馬では通常みられないものであり、この症例は珍しいものである。馬では顆粒細胞腫が一般的である。本症例は、馬インフルエンザおよびヘンドラウイルス感染症の診断基準のすべての要素を満たすものではなかったが、調査の過程においてこれらの疾患は病気の原因から除外された。

ビクトリア州(VIC)
報告事項なし

北部準州(NT)
報告事項なし

南オーストラリア州(SA)
報告事項なし

西オーストラリア州(WA)
報告事項なし

外来性あるいは新興感染症が疑われた症例の調査
(2009年1月1日〜3月31日)
 
動物種 対応 検査結果
馬ヘルペスウイルス沍^ (流産および神経型)
 馬 NSW 1月 2  陰性
 馬 NSW 3月 2  陰性
馬インフルエンザ
 馬 NSW 1月 2  陰性
 馬 NSW 2月 2  陰性
 馬 QLD 1月 2  陰性
 馬 QLD 2月 2  陰性
 馬 QLD 3月 2  陰性
 馬 VIC 1月 3  陰性
 馬 VIC 3月 2  陰性
 馬 VIC 3月 3  陰性
 馬 WA 3月 2  陰性
馬ウイルス性動脈炎
 馬 NSW 2月 2  陰性
ヘンドラウイルス感染症
 馬 NSW 1月 2  陰性
 馬 NSW 2月 2  陰性
 馬 NSW 3月 2  陰性
 馬 NT 3月 2  陰性
 馬 NT 3月 3  陰性
 馬 QLD 1月 2  陰性
 馬 QLD 1月 3  陰性
 馬 QLD 2月 2  陰性
 馬 QLD 2月 3  陰性
 馬 QLD 3月 2  陰性
ウエストナイルウイルス感染症
 馬 NSW 2月 2  陰性

対応規則の手順
1: 政府の調査官による現地調査
2: 州または準州政府の獣医学研究機関による調査
3: 検体をオーストラリア動物衛生研究所(または連邦科学産業研究機構昆虫学部門)に送付
4: 検体を海外のリファレンスラボラトリーに送付
5: 規制措置をとる(隔離または制限)
6: 警告または待機
7: 廃用

オーストラリアの2009年第2四半期(4月―6月)の報告
 
Animal Health Surveillance Quarterly (AHSQ) Compiled by Animal Health Australia (AHA) (http://www.animalhealthaustralia.com.au/status/ahsq.cfm)

州および準州の発生状況

クイーンズランド州(QLD)
(クイーンズランド州雇用・経済開発・技術改革省 グレッグ・ウイリアムソンによる報告)

馬の新興動物病
 クイーンズランド州では2007年12月以降、馬インフルエンザ感染症の発生例は確認されていない。現在継続中のサーベイランス活動によって、馬インフルエンザがクイーンズランド州に存在しないことが裏付けられている。
 同様に、2009年6月末時点で、ヘンドラウイルス感染症の発生例は記録されていない。最後に確認された一連の発生は2008年6月から8月にかけて起きたものである。通常は、発熱症候群、呼吸器および、あるいは神経症状を呈する馬についてヘンドラウイルスは病気の原因から除外される。第1四半期には、27例のヘンドラウイルス感染症が疑われる馬の調査を実施したが、PCR検査はすべて陰性であった。
 
腺疫(Streptococcus equi)
 連鎖球菌感染症は、ヘンドラウイルス感染症が検査により病気の原因から除外された結果として、呼吸器症状を呈した馬でしばしば診断がなされる。この感染症は、主にS.equi(腺疫)またはS. zooepidemicusによって引き起こされる。クイーンズランド州では、腺疫は散発的に発生しており、馬は滅菌したS.equiの無細胞抽出液による予防接種を受けている。 
 S. zooepidemicusは、馬では腺疫に併発する感染症を引き起こす比較的よくみられる連鎖球菌であり、人では人獣共通感染症を引き起こす。この四半期には馬において3件の連鎖球菌感染症が診断された。典型的な発症例は、4月中旬にキルキバン地方で発生した。感染の恐れがある12頭のうち5頭の成馬が膿性の鼻漏や膿瘍形成を伴うリンパ節腫脹といった腺疫の症状を呈した。
 S. zooepidemicusは2頭の鼻汁サンプルから培養された。S. equiは1頭の咽頭部膿瘍から培養された。

北部準州(NT)
(地域振興・第一次産業・漁業・資源省 フランソワ・ヒューマンによる報告)


馬の好酸球性胃腸炎
 
キャサリン地区の大農場の4歳の牝の使役馬が、体重減少と腹部の浮腫を呈した。馬伝染性貧血、馬ウイルス性動脈炎およびヘンドラウイルス感染症の可能性を除外するため、血液検体がオーストラリア動物衛生研究所に送付され、これらの疾患は検査により病気の原因から除外された。この牝馬は急速に衰弱し、安楽死の処置が施された。剖検の結果、腸間膜リンパ節の腫大とともに胃および小腸壁の腫脹と炎症が明らかとなった。また、腹腔内および心臓周囲に淡黄色の液体が認められた。組織病理学的には馬好酸球性胃腸炎と診断された。
 馬好酸球性胃腸炎は馬特有の疾患で、原因は不明だが、慢性の過敏症を呈する傾向がある。病変は食道から直腸までどこでも起こりうる。この症例では、胃の病変がもっとも顕著であった。

ニューサウスウェールズ州(NSW)
 報告事項なし

タスマニア州(TAS)
 
報告事項なし

南オーストラリア州(SA)
 
報告事項なし
 
ビクトリア州(VIC)
 
報告事項なし

西オーストラリア州(WA)
 
報告事項なし

外来性あるいは新興感染症が疑われた症例の調査
(2009年4月1日〜6月30日) 

動物種 対応 検査結果
馬伝染性子宮炎
 馬 SA 4月 1  陰性
 馬 SA 5月 1  陰性
 馬 SA 6月 1  陰性
馬ヘルペスウイルス沍^ (流産および神経型)
 馬 SA 6月 1  陰性
 馬 SA 5月 2  陰性
馬インフルエンザ
 馬 NSW 4月 2  陰性
 馬 NSW 5月 2  陰性
 馬 NSW 6月 2  陰性
 馬 QLD 4月 2  陰性
 馬 QLD 5月 2  陰性
馬ウイルス性動脈炎
 馬 NSW 2月 2  陰性
ヘンドラウイルス感染症
 馬 NSW 4月 2  陰性
 馬 NSW 4月 3  陰性
 馬 NSW 5月 3  陰性
 馬 NSW 6月 3  陰性
 馬 NT 5月 3  陰性
 馬 QLD 4月 2  陰性
 馬 QLD 5月 2  陰性
 馬 QLD 6月 2  陰性

対応規則の手順
1: 政府の調査官による現地調査
2: 州または準州政府の獣医学研究機関による調査
3: 検体をオーストラリア動物衛生研究所(または連邦科学産業研究機構昆虫学部門)に送付
4: 検体を海外のリファレンスラボラトリーに送付
5: 規制措置をとる(隔離または制限)
6: 警告または待機
7: 廃用

2009年第3四半期の報告


アルゼンチン

 
報告事項なし。

オーストラリア

 最初に述べたとおり、オーストラリアの第3四半期の報告は、第4四半期のICCレポートの初めに遅れて配信される。

カナダ

 報告事項なし。

チリ

馬ヘルペスウイルス1型(EHV-1)による流産
 8月15日の最初の発生から、9月15日の最後の発生までが一緒に報告された。農業畜産局において血清学的検査およびウイルス分離によって確定診断がなされた。発生は限局的であり、1施設7頭のサラブレッド種で感染が確認された。牝馬は妊娠5ヶ月、7ヶ月および9ヶ月目に「Pneumoabort-K」による予防接種を受けていたが、すべての牝馬が妊娠9ヶ月から10ヶ月の間に流産した。

デンマーク

 報告事項なし。

フランス

(フランスの馬疾病の疫学監視ネットワークであるRESPEからの報告)
馬伝染性子宮炎(CEM)
 2施設(それぞれ3頭と1頭)で細菌分離によって発生が確認された。1例は獣医学研究所で、他の2例は医学研究所によって確定診断がなされた。これらの症例は、マンシュ県およびオルヌ県の非競走馬であった。
馬ピロプラズマ病
 
ピロプラズマ病は、フランスでは風土病として存在している。
馬ヘルペスウイルスによる呼吸器疾患
 臨床症状を示したオアーズ県のサラブレッド種1頭において、血清抗体の陽転によって確定診断がなされた。この馬は予防接種を受けていなかった。また、この施設において、その他の発生例は確認されなかった。
馬ヘルペスウイルス1型(EHV-1)による神経および呼吸器疾患
 ノール県の乗馬学校において、7頭の競技馬でEHVによる神経および呼吸器疾患の発生が確認された。この施設では一部の馬しか予防接種を受けていなかった。血液検体および鼻咽頭腔スワブのPCR検査およびウイルス培養はいずれも陽性であった。運動失調、横臥、発熱および軽度の鼻漏などの症状が報告された。臨床症状を呈した7頭のうち5頭が安楽死の処置が施された。分離されたウイルス株は、神経型のEHV-1感染症の発生に関連する神経病原性変異を示していた。
馬インフルエンザ
 非サラブレッド種において3件の発生が確認された。感染馬は、発咳、発熱などの臨床症状を呈した。1件目の発生ではソーヌエロアール県の種馬場で3頭が感染した。2件目はイブリーヌ県の乗馬学校で、十分な予防接種を受けた1頭の馬での発生であった。最後の発生はヴィエンヌ県で、6頭の予防接種を受けていない馬での発生であった。EHV-1の確定診断は鼻咽頭腔スワブのPCR検査によってなされた。ウイルス株の型別判定結果については待機中である。

ドイツ

 
報告事項なし。

香港

 
報告事項なし。

アイルランド共和国

腺疫(Streptococcus equi)
 
レンスター、マンスターおよびコナハトで、13件18症例の発生が報告された。
馬ピロプラズマ病
 以前報告した農務省による調査が現在も継続中である。最初の調査で血清反応が陽性と確認された馬およびこれらの馬と接触した馬について、2回目の血清学的検査が近々実施される予定である。

イタリア

ウエストナイルウイルス感染症(WNV)
 WNVの発生は8月に始まり、国立レファレンスセンター(テラモ動物予防研究所)においてPCR検査によって診断がなされた。発生は限定的であり、45頭の競技用馬および繁殖用馬が感染した。これらの45頭はすべて血清反応陽性であり、そのうち28頭で臨床症状が認められ、7頭が死亡したと報告された。また、トスカーナの地理的に異なる場所において2頭の陽性馬が摘発された。また、ヒトでも3例の発生が報告された。(詳細はこちらwww.eurosurveillance.org)

日本

EHV-4
による呼吸器疾患
 
1件の発生が2009年9月1日に報告された。確定診断は、北海道日高家畜保健衛生所においてRT−PCRによってなされた。発生は限局的で、1施設19頭のワクチン未接種のサラブレッド種当歳馬が感染し、粘液膿性の鼻漏および発熱などの軽度な臨床症状を呈した。
破傷風
 2009年8月18日に1件の限局的な発生が報告された。この発生では1頭が感染し、その後死亡した。

ニュージーランド

 
報告事項なし。

シンガポール

 報告事項なし。

南アフリカ

馬ヘルペスウイルス1型(EHV-1)による流産
 
 5月に限定的な発生が報告され、現在も継続中である。確定診断はプレトリア大学において、酵素免疫染色法、病理組織学的診断およびPCR検査によってなされた。5ヶ所のサラブレッド種およびその他の品種の種馬場において30頭の繁殖用馬が感染した。
腺疫(Streptococcus equi)
 腺疫の発生は現在も継続中であり、細菌分離により診断がなされている。発生は限局的で、少なくとも5施設で40頭のサラブレッド種および非サラブレッド種の馬が感染し、軽度な臨床症状を示した。感染馬にワクチン接種歴はなかった。南アフリカの様々な農場でもまた、腺疫の臨床症状について報告されている。

韓国

 
報告未着

スペイン

馬ピロプラズマ病
 
風土病としてスペイン全土に存在している。

スウェーデン

腺疫
 腺疫はスウェーデン全土に存在する風土病ですべての種類の馬が感染する。24例の発生が報告された。
サルモネラ症
 スウェーデン南部および中部の異なる3つの牧場の繁殖用馬が感染した限局的な発生が報告された。

スイス

アナプラズマ症(Anaplasma phagocytophila)
 2009年6月に発生が報告され、細菌分離および臨床症状によって診断がなされた。発生は限定的であり、感染馬は非サラブレッド種1頭であった。
ボレリア症(Borrelia burgdorferi)
 2009年7月に発生が報告され、血清学的検査および臨床症状によって診断がなされた。発生は限定的であり、感染馬は非サラブレッド種1頭であった。
馬ピロプラズマ病(Babesia caballi and Theileria equi)
 2009年8月に発生が始まり、血清学的検査および臨床症状によって確定診断がなされた。発生は限定的であり、スイス北部および中部の異なる3施設で3頭の非サラブレッド種が感染した。内訳はB.caballi感染が1頭、T.equi感染が1頭、そして両者の混合感染が1頭であった。
馬伝染性子宮炎(Taylorella asinigenitalis)
 2009年7月に1例の発生が報告され、細菌分離によって確定診断がなされた。1頭のロバが感染し、ポアトゥーロバの精液採取前の定期検査において診断がなされた。
サルモネラ症
 2009年8月に発生が報告され、血清学的検査および臨床症状によって診断がなされた。1頭の非サラブレッド種が感染した。

下記の科学論文要旨はスイスの報告者の好意によるものであり、興味深い内容である。

中央ヨーロッパにおける外来性の蚊ヤマトヤブカAedes japonicusの侵入
F. Schaffner, C. Kaufmann, D. Hegglin and A. Mathis (2009): The invasive mos-quito Aedes japonicus in Central Europe; accepted for ヤMedical and Veterinary Entomologyユ
Institute of Parasitology, University of Zurich, Zurich, Switzerland
Swiss Reference Laboratory for Vector Entomology
alexander.mathis@access.uzh.ch

要約
 吸血性衛生害虫に関する苦情が、中央ヨーロッパでの外来性ヤマトヤブカAedes (Finlaya) japonicus japonicus (Theobald)(双翅目、蚊科)を認知させることにつながった。墓地の花器からの幼虫の採集により、スイス北部からドイツとの国境に及ぶ約1,400平方キロメートルの生息地域が明らかとなり、また、この蚊がこの地域に数年前から定着していることが示唆された。この地域内において、ヤマトヤブカの幼虫は、最も一般的に生息している種類の蚊であるアカイエカ(Culex pipiens)よりも多くの容器から採集された。可能性のある侵入場所(中古タイヤ置き場、国際空港)からはほとんどあるいはまったく幼虫が発見されず、侵入様式については不明のままである。この種の蚊はアルボウイルスの媒介動物となる可能性があるため、サーベイランスおよび抑制対策を検討すべきである。

‘Asian bush または‘Asian rock pool’ mosquitoと呼ばれるヤマトヤブカはリストに記載された(ISSG:Invasive Species Specialist Group, 2009)外来種の蚊であり、1998年に北アメリカにおいて固有の生息地以外で定着していることが初めて確認され(Peytonら、1999年)、その後、アメリカ合衆国の22の州(ハワイ州を含む)およびカナダの一部でも採集されている(Willigesら、2008年)。ヨーロッパにおいては、2000年にフランスの輸入中古タイヤ置き場で、この種の蚊の幼虫が少数確認された(Schaffnerら、2003年)が、この侵入経路は後に否定された(Schaffner、未発表)。2002年以降、ベルギーの隣接する2つの中古タイヤ置き場の限定された場所において、この種の蚊がたびたび観察された(Versteirtら、2009年)。ヤマトヤブカはウエストナイルウイルスを含む数種類のアルボウイルスの適当な実験用媒介動物である(Willigesら編、2008年)。アメリカ合衆国では、これらのウイルスが、通常、野外で採集されたヤマトヤブカの検体から検出される(CDC、2008年)が、このことは、ヒトやその他の哺乳類宿主に対して顕著な吸血性を示す(Appersonら、2004年;Molaeiら、2009年)この種の蚊が、鳥類に対しても吸血性を示すことを示唆している。この仮説については、ヤマトヤブカの飼育実験において、すぐにウズラを吸血したことで確認された(Willigesら、2008年)。これらのことから、この種の蚊が、ウエストナイルウイルスの伝播において媒介動物としての役割を果たしているものと考えられた。
 2008年7月、ヒトスジシマカAe. albo-pictus (Skuse)に似た1匹の雌の蚊が、地方の獣医事務所によってアールガウ州(スイス、アルプス北部)から我々の研究所へ送られてきた。送付理由は、衛生昆虫による虫害の苦情があったためであった。形態学的検査によって、この損傷した昆虫がヒトスジシマカでもその他のヨーロッパ固有種の蚊でもないことが明らかとなった。そのため、現地調査が実施されることとなった。その目的は、(1)この種の蚊をさらに採集すること、および(2)ヒトスジシマカが、2007年に1個体の写真による同定に基づいて報告された(Wymannら、2008年)ものと同じ地域に定着していたかを調査することであった。
 最初の幼虫の採集によって、ヤマトヤブカの存在が複数の場所で確認された。防護された昆虫飼育施設で飼育されてから入手した幼虫および成虫の同定には、ヨーロッパの蚊に関する電子解説書(手引き書)(Schaffnerら、2001年)と日本の蚊に関する印刷された解説書(Tanakaら、1979年)が用いられた。7月に入手した損傷した個体は、ヤマトヤブカと同種であることが確認された。さらに、写真の再検査によって、ヒトスジシマカとされていた個体が、主に中胸板の装飾、口肢の先端部、脚第5付小節などの相違によって、ヤマトヤブカであったことが明らかとなった。さらなる幼虫の調査は、墓地の花器、庭園の雨水貯留池、排水ます、噴水、中古タイヤなどの人工コンテナならびに木のウロ、池、溝などの蚊の幼虫の生息場所に焦点を絞って行われた(ヤマトヤブカの代表的な生息場所であるrock holeは、今回の調査地域には存在しなかった)。この特別調査は2008年8月14日から11月6日にかけて実施されたが、7月に入手した個体の結果も含まれている。調査対象となる市町村については、墓地があることと墓地へのアクセスの良さを基準とした。調査地域は、陽性であった場所を中心として全方向に徐々に拡大していき、分布領域(陽性地域)の周囲に陰性地域との区切りの輪ができるまで実施した。他種の蚊の幼虫の生息場所が少なくとも1ヶ所あるか、幼虫のいない場所が5ヶ所ある場合、その地域は陰性とした。ある特定の場所(中古タイヤ置き場、国際空港)は、侵入経路となった可能性があるため調査を実施した。
 スイス国内の市町村(n=111)、ドイツ国境付近(n=9)およびフランス国境付近(n=3)において、計3,548ケ所の水辺の生息環境を調査した結果、623ケ所(17.6%)で幼虫期の蚊が確認された。ヤマトヤブカは160ヶ所のコンテナから検出された。主な内訳は、花器(73.8%)、噴水(7.5%)、タイヤ(6.3%)、排水ます(4.4%)および雨水貯留樽(3.1%)であり、これらはスイス国内(38市町村)およびドイツのライン川沿いの2市町村において検出された(図1)。生息地域は約1,400平方キロメートルに及んだ。加えて、以前からこの地域で知られていた9種の蚊の幼虫が、今回の調査でも確認された。その内訳は、Culex pipiens pipiens L. およびCx. hortensis hortensis Ficalbi (503ヶ所、1種または両者)、Anopheles plumbeus Stephens (38ヶ所)、Ae. Geni-culatus (Olivier) (9ヶ所)、An. maculipennis Meigen s.l. (6ヶ所)、Cx. torrentium Martini (3ヶ所)、Culiseta annulata (Schrank) (3ヶ所)、Cs. longiareolata (Macquart) (3ヶ所)およびCx. territans (Walker) (2ヶ所)であった。人工の容器からはこれらのすべての種が、木のウロからは3種(Ae. geniculatus, An. plumbeus, Cx. pipiens)が、水路(An. maculipennis s.l.)および三日月湖(Cx. territans).からはそれぞれ1種が発見された。
 墓地の花器は、ヤマトヤブカの存在を確認する上で、特に有用であると思われた。調査した墓地のほとんど(116/134ヶ所、87%)が、3つかそれ以上の花器を備えていた。34ヶ所の墓地のうち31ヶ所で、ヤマトヤブカがこれらの花器から発見されたが、3ヶ所については花器以外のコンテナで他の種類の蚊が発見された。我々は花器を系統的に調査し、花器から発見された4種の蚊および調査した墓地について、それぞれ花器指数(陽性であった花器の割合)を算出した(表1)。花器指数の全体の平均値では、標準的な花器での繁殖種であるCx. Pipiensが最も高かった(10.0%)。しかし、ヤマトヤブカが生息していた場所では、この種の蚊が他の3種より高頻度で存在していた。他の3種の指数は、フリードマン検定(p<0.01)およびコノバー(1980年)の多重比較(p<0.05)において、有意に低かった。それでもなお、Cx. Pipiensの指数はヤマトヤブカが同じ場所にいてもいなくても差がないため、 Cx. Pipiensとヤマトヤブカの個体数の比較についての統計学的な証拠(マン-ホイットニー検定、p<0.05)はない。
 我々の研究により、墓地の人工コンテナは蚊の幼虫や成虫に多くの生息環境を提供し、かつ調査者がアクセスしやすい(Vezzani、2007年)ため、これらの蚊を観測することが適切な調査方法であることが裏付けられた。この研究はまた、効率的な調査が可能な花器がヤマトヤブカの存在に関する信頼できる指標となることを実証した。そしてそれ故に、花器指数はこの種の蚊の早期発見および観測に適していると考えられる。
 2008年の夏に、調査対象地域に住む4名の人が蚊の害に悩まされ、検体を我々の研究所に送付してきた。そのうち3検体はヤマトヤブカであった。成虫の活動限界を評価するため、我々は3ヶ所の幼虫用コンテナにoviposition surfaces(ポリスチレン片、5×5cm)を設置し、毎週調査を実施した。ふ化した幼虫の同定に基づいて測定したところ、ヤマトヤブカの卵は、2008年10月の第42-43週まで産卵されていた。
 ヤマトヤブカの明確な侵入経路については判明しなかった。ある中古タイヤ置き場でこの種の蚊が発見されたが、その場所は生息地域の境界にあり、幼虫は2,3匹しかおらず、また輸入されたタイヤはなかった。同じように分布領域の境界付近にあるチューリッヒ国際空港周辺の墓地(n=5)はすべて陰性であった。
 分布領域周辺の4ヶ所で採集したある種の蚊について、ミトコンドリアNADH脱水素酵素サブユニット4遺伝子の塩基配列(約400塩基対)が決定された(Fonsecaら、2001年)。このうち2つの配列はハプロタイプ1(GenBank、アクセスナンバーAF305879)と一致したが、残りの2つは多形性部位が1ヶ所異なっていた。ベルギーで採集された個々のヤマトヤブカの4ヶ所の対応する配列は、スイスの配列とは1~3ヌクレオシド異なっていた。結論として、以下のことが言えるだろう。(1)ヤマトヤブカはスイス国内に侵入し、ドイツとの国境(バーデン・ヴェルデンベルグ州)を含む約1,400平方キロメートルを超える範囲に伝播している、(2)早期になされたスイスのアルプス北部におけるヤマトヤブカの同定については誤りであり、この地域にこの種の蚊が存在する証拠はない、(3)ヤマトヤブカは、ヨーロッパで最も標準的な種であるCx. Pipiensよりも多くの花器の中にいる、(4)ヤマトヤブカは都市化された環境や人工的な場所に存在する。これは中央ヨーロッパにおける外来性の蚊の増殖と伝播に関する最初の研究成果である。生息地域の大きさを考えると、この種の蚊は少なくとも数年前から存在していると推測される。この種の蚊の伝播、生態および在来性または外来性の病原体の媒介者となる可能性について更なる調査研究が必要である。

表1.墓地の花器における蚊の数
【A:ヤマトヤブカが存在した墓地(n=33)の花器、B:ヤマトヤブカが存在しなかった墓地(n=93)の花器、C:調査地域内のすべての墓地(n=126)の花器】

 

花器

合計

Ae. japonicus

Cx. pipiens

An. plumbeus

Ae. geniculatus
 

調査数

陽性数
(蚊の数)

平均
指数

陽性数
(蚊の数)

平均
指数

陽性数
(蚊の数)

平均
指数

陽性数
(蚊の数)

平均
指数

陽性数
(蚊の数)

平均
指数

A
  833  193  29.1  118  21.4   96  11.8*   7  0.6*   2  0.1*

B
 2186  244  10.0   0   0.0  231   9.4   13  0.5   5  0.1

C
 3019  437  15.0  118   5.6  327  10.0   20  0.5   7  0.1

*:ヤマトヤブカの指数に比較して有意に低い(フリードマン検定、p<0.01;コノバー(1980年)の多重比較、p<0.05)
 :陽性であった花器の割合


図1:ヨーロッパにおけるヤマトヤブカの分布図(2008年)
【●:ヤマトヤブカ陽性地域、○:陰性地域、太線:国境線(CH:スイス、DE:ドイツ、FR:フランス)、細線:高速道路、点線:主要鉄路、灰色領域:主な湖、灰色四角:スイスの主要都市、飛行機マーク:国際空港、東経および北緯は地図辺縁に記載】

参考文献:希望があれば提供します

トルコ

 
報告事項なし

アラブ首長国連邦

馬ピロプラズマ病(Babesia caballi と
Theileria equi
 
アラブ首長国連邦において、馬ピロプラズマ病は風土病であり、定期的に症例が報告されている。診断は、ドバイにあるCentral Ventral Research Laboratoryにおいて、血清学的検査および原虫の分離によってなされている。通常、非サラブレッド種で限定的な発生がみられる。

イギリス

馬ヘルペスウイルス4型(EHV-4)による呼吸器感染症
 当歳馬の1群が呼吸器症状を呈し、3頭の鼻咽頭スワブからEHV-4が分離された。
馬ヘルペスウイルス2型(EHV-2)
 1頭の鼻咽頭スワブからEHV-2が分離された。
馬インフルエンザ
 ヘレフォードシャー州の12歳のワクチン未接種のポニーの種牡馬が呼吸器症状を呈し、鼻咽頭腔スワブを用いた核蛋白ELISAで馬インフルエンザ陽性となった。その後、ウイルスが分離され塩基配列が決定された。分離されたウイルスは、H3N8馬インフルエンザウイルスであり、アメリカ系統の中のフロリダ亜系統クレード1に属していた。クレード1のウイルスは、ヨーロッパでは現在も比較的まれに分離される(今まではスウェーデンのみであったが、イギリスのリンカーンシャー州およびチェシャー州でも分離株の中で占めるクレード1の比率が増加している。)これらはアメリカ合衆国や日本ではより一般的に分離されるウイルスであり、2007年のオーストラリアにおける発生にも関連していた。
 ペア血清での血球凝集抑制試験の結果からは、最初の検査より前に馬インフルエンザウイルスに感染していたことが示唆された。今回の発生は、この牧場の3頭のポニーが地方で行われたショーから戻った後、臨床症状を発現し始まったと考えられている。地方のショーの多くでは、参加する馬に対して馬インフルエンザのワクチン接種が義務付けられていない。感染はこの牧場の約35頭すべてに拡がったが、症状は軽度で、治療を必要としたのは5頭のポニーのみであった。
 ケント州のワクチン接種を受けていない7歳のポニーのセン馬が鼻漏、発咳、食欲不振、発熱を示し、鼻咽頭腔スワブを用いた核蛋白ELISAで陽性となった。この結果は、同じ鼻咽頭腔スワブを用いたrt-PCR検査によって確定されたが、残念ながらウイルスは分離されなかった。
馬伝染性子宮炎(CEM)
 
2009年10月22日にイギリス環境・食料・農村地域省(Defra)は、バッキンガムシャー州ミルトン・キーズ近郊の牧場に繋養されている7歳の非サラブレッド種の牝馬が、CEMの非発症例であることを確認したと発表した。診断は、Horserace Betting Levy Board(HBLB)から認可された民間研究所に提出された検体の細菌分離によって最初になされ、その後CEMに関するリファレンスラボラトリーであるサフォーク州バリーセントエドマンズの獣医学研究所(VLA)で細菌培養およびqPCRによって確認された。規制措置が課され、獣医学的調査が開始され、この牝馬に対してHBLBの行動規範に従った治療が行われた。最初の調査によって、今回の発生は2009年7月に報告された非サラブレッド種の非繁殖用競技牡馬における発生とは別の発生であることが示唆された。Defraは、最初の発生については感染馬に対する治療が効を奏して、2009年9月10日に終結し、伝染の拡大は確認されていないと発表した。

アメリカ合衆国

馬伝染性子宮炎(CEM)
 
USDAの2009年9月3日付の最新情報によると、2008年12月中旬に開始された一連の調査において、計22頭の種牡馬(うち1頭はすでに去勢された)がTaylorella equigenitalis陽性と診断された。最も直近に陽性と診断されたのは、ウィスコンシン州の高齢の内国産リピッツァナー種の種牡馬で、同州で確認された9頭目の種牡馬であった。22頭中17頭は最初に採材されたスワブによって検出された。陽性と診断された種牡馬は、ジョージア州で1頭、イリノイ州で3頭、インディアナ州で3頭、アイオワ州で1頭(セン馬)、ケンタッキー州で4頭、テキサス州で1頭およびウィスコンシン州で9頭であった。また、培養で陽性と診断された牝馬は5頭で、その内訳はカリフォルニア州で2頭、イリノイ州で2頭およびウィスコンシン州で1頭であった。22頭の陽性種牡馬は、治療が奏効し、現在はT. equigenitalis陰性と認知されている。また、5頭の陽性牝馬も治療が効を奏し、現在はT. equigenitalis陰性と確認されている。陽性馬が確認された8州のうちジョージア、インディアナおよびケンタッキーの3州は、確認されたすべてのCEM陽性例および暴露された馬に対する検査ならびに治療プロトコルを完了し、清浄地域とみなされている。
 感染源と同定されたCEM陽性の種牡馬および牝馬はまだいない。しかし、疫学調査は継続中である。これらの感染が確認された種牡馬および牝馬に加えて、さらに961頭の馬がT. equigenitalisに暴露された可能性がある。計988頭の感染馬および暴露された馬は、ロードアイランド州およびハワイ州を除いた48州で確認された。これまでに分離されたすべてのT. equigenitalis株はストレプトマイシン耐性を有していた。また、パルスフィールドゲル電気泳動分析によると、互いに極めて近縁関係にあった。なお、アメリカ合衆国のサラブレッド種繁殖馬が関与したという証拠はない。
東部馬脳炎(EEE)
 
USDAは、最新の報告で計249頭の馬がEEEと診断されたと発表した。感染馬の大多数は南部の州で確認され、その内訳はフロリダ州67頭、ジョージア州41頭、ミシシッピ州36頭、ルイジアナ州21頭、アラバマ州19頭およびノースカロライナ州16頭であった。ウイルスの活動は、東海岸の他の州でも報告されており、北はカナダ国境にまで拡大していた。特に、メイン州では例年に比較して、かつてないほど多数の馬のEEE症例(14例)が報告された。最新のアメリカ合衆国内における馬のEEE症例の合計は15州249頭であり、2008年の15州185例に比較して有意に多い。
ウエストナイルウイルス感染症(WNV)
 最新の報告におけるWNVの発生数は164例であり、ワシントン州での発生がもっとも多い(64例)。他の多くの州でもEEEの発生が複数確認されており、カリフォルニア州、コロラド州およびモンタナ州では二桁に達した。2008年の馬のWNV症例数もワシントン州が最多であり、カリフォルニア州がこれに続いて多かった。2009年の馬のWNV症例は計164例であり、これはヒトで確認されたWNV症例202例に匹敵する。
水胞性口炎(VS)
 6月にニューメキシコ州(2施設)およびテキサス州(3施設)で限局的な発生が報告された。これらの発生では、テキサス州で3頭、ニューメキシコ州で4頭が感染した。2つの州で最後の発生が確認された施設のうち、テキサス州の施設では7月24日に、ニューメキシコ州の施設では8月18日にそれぞれ検疫が解除された。アメリカ合衆国におけるこれまでのVSの最後の発生は、2006年のワイオミング州での発生であった。

馬ピロプラズマ病(Theileria equi)
 前回のICCレポートで、6月にミズーリ州で1施設7頭の馬が馬ピロプラズマ病(T.equi)陽性と診断されたことを報告したが、USDAは最新の報告でこの発生が終結したことを発表した。発端となった施設およびこの厩舎と直結するカンザス州の施設から違法に移動された3頭を除いて、陽性馬はすべて安楽死の処置が施された。発生施設におけるダニのサーベイランスによって、ごく少数のダニが確認されたが、いずれもT.equiの媒介能の知られていないものであった。感染の拡大は医療行為によってもたらされたと考えられている。
馬インフルエンザ
 馬インフルエンザウイルスの活動が一般的に報告されている5つの州で、少数のH3N8馬インフルエンザウイルスが分離された。
馬ヘルペスウイルス1型(EHV-1)による神経疾患
 7月にペンシルバニア州の乗馬施設でEHV-1による神経疾患の発生が確認された。6頭の馬で重篤な神経疾患が発生し、すべての馬に安楽死の処置が施された。すべての感染馬において発症前に呼吸器症状の兆候は認められなかった。この施設には100頭以上の馬がいたが、感染症は5つの厩舎のうちこの1厩舎に限定して発生した。
腺疫
 
腺疫の発生は複数の州で報告されたが、病気の発生頻度は例年よりも高い訳ではない。

アメリカ合衆国の報告担当者の好意による、中央アメリカにおけるVEEに関する追加情報
ベネズエラ馬脳炎(VEE)
 
OIEの報告によると 8月下旬から9月上旬にかけて、中米のベリーズの3つの地域およびコスタリカの2施設において馬のVEEの散発的な発生があった。ウイルスのサブタイプや感染馬のVEEワクチン接種暦の有無についての情報は得られていない。

ベネズエラ

 報告未着





世界の馬伝染病発生情報