1998年・第4四半期(10月−12月)の伝染病発生状況についての報告
(International Collating Center からの情報) 1999年1月15日
オーストラリア:
報告事項なし。
カナダ:
報告事項なし。
デンマーク:
馬インフルエンザ(A/2) − 1998年12月1日に発生。コペンハーゲン、国立獣医学研究所で血清学的に診断された。広範囲で数百頭のウマが感染し、デンマークのすべての繋駕競馬場で発生した。臨床症状は軽く1-3日間の発熱を伴う程度であり、二次感染もみられたが、ほとんどの厩舎で約1週間後に症状の回復がみられた。一部の地域は隔離されたが、競走は健康馬により続行された。デンマークのトロッターはすべてワクチン接種を受けていたため、臨床症状は軽度であり、回復も早かったものと思われる。しかし、一部の子馬(1歳)はワクチンを接種していたにもかかわらず、十分な効果が得られなかった。現在、流行は終結している。
腺疫 − 蔓延や重症例はみられず、1例のみが限局的に発生した。コペンハーゲン国立獣医学研究所において、菌分離によって診断された。
フランス:
馬インフルエンザ − 血清学的に診断された。
サラブレッド:Oise
非サラブレッド:
馬ヘルペスウイルス感染症(流産型) − 蛍光抗体法により診断された。
サラブレッド:Calvados
馬ヘルペスウイルス感染症(呼吸器型) − 蛍光抗体法により診断された。
サラブレッド:Bouches-du-Rh_ne、Calvados、Oise、Bas-Rhin、Rh_ne、Seine et Marne、Yvelines
非サラブレッド:
馬伝染性貧血 − フランス領ギアナにて1例。
ピロプラズマ病 − フランス南部の風土病。
ドイツ:
残念ながら、報告届かず。
香港:
報告事項なし。
アイルランド共和国:
馬ヘルペスウイルス1型感染症(流産型) − アイルランド馬事センターにおいて、ウイルス分離によって診断された。1施設のサラブレッド1頭が発症した。
馬ヘルペスウイルス4型感染症(呼吸器型) − ウイルス分離によって診断された。2施設のサラブレッド2頭が発症し、これらはセリから戻ったところであった。
腺疫 − アイルランド馬事センターにおいて、菌分離によって診断された。6施設のサラブレッド6頭が発症した。
イタリア:
西ナイルウイルス脳症 − トスカナ州で8月と9月に発生し、PCR法によって診断された。イタリアではこれが初の症例であった。多数のウマが別々の厩舎で感染し、6頭あるいはそれ以上の死亡が確認された。その後、発生は自然消滅した。
馬ウイルス性動脈炎 − 最新情報としてサルデニア島の種牡馬所(Istituto Incremento Ippico)所属の種牡馬32頭が、血清学的検査により陽性と診断された。1998年度の生産活動は停止されている。今のところ、流産などの臨床症状は報告されていない。種牡馬32頭の処置は不明である。
腺疫 − 散発的な発生がみられた。
日本:
破傷風 − 1998年11月に発生した。1施設のサラブレッド1頭に限局的な感染がみられた。
馬パラチフス(Salmonella abortus equi) − 1998年11月に流行が始まり、最終報告は1998年12月である。2施設の非サラブレッド3頭に限局して発生した。菌分離および臨床症状により、診断された。
腺疫 − 1998年11月25日に、1施設の非サラブレッド1頭に限局して発生した。菌分離および臨床症状により、診断された。
オランダ:
馬ヘルペスウイルス4型感染症 − 3頭のウマに発生した。
馬伝染性子宮炎 − 140検体を検査したが、すべて陰性であった。
ニュージーランド:
報告事項なし。
ノルウエー:
腺疫 − 東ノルウエーの1施設において、数頭の乗用馬に感染がみられた。
シンガポール:
報告事項なし。
南アフリカ共和国:
馬ウイルス性動脈炎(EVA) − Faculty of Veterinary Science, OnderstepoortおよびOnderstepoort獣医学研究所において血清学的に診断された。1998年10と11月の2ヶ月間に、Kwazulu-Natal GautengおよびEastern Cape Provinceにおいて、ウォームブラッド種が血清学検査により陽性と診断された。南アフリカにおいてEVA陽性と診断されたのは、これが初回である。まず、Kwazulu-Natalのウォームブラッド牧場96頭中9頭が摘発された。当該牧場への出入調査の結果、陽性馬はすべてGautengの3施設に所属していたことが判明した。これらの施設に出入りしたウマをすべて追跡調査したところ、現在までに、総数2,000頭中110頭が陽性であった。これまでに、発症例は全くなく、ウイルスも分離されていない。GautengおよびEastern Cape Provinceの5施設に、水平感染している可能性がある。陽性が認められた施設のウマから採取した保存血液を検査したところ、感染は1994年末から発生していたことが判明した。移動規制が講じられた。陽性馬はいずれも正規に輸入された冷凍保存精液を直接使用していることから、これが感染源であると思われる。疑わしい精液は押収され、EVAウイルスの分離試験が行われる予定である。家畜衛生部長によって、施設間の精液の移動禁止、冷凍および冷蔵精液の全面使用禁止が通達された。現在、南アフリカでウイルスが伝播している証拠は全くない。また、EVAの血清学的調査を実施中であり、さらに改良増殖の規則や、冷凍精液の輸入規則の見直しも行なわれている。発生の範囲が限局的であったことから、この疾病の撲滅を目的とした防疫措置がなされている。EVAワクチンの輸入および使用は、南アフリカでは違法である。本疾病は法定伝染病であるため、EVAの疑いがある症例は最寄りの州獣医官に報告しなければならない。
腺疫 − 1998年10月に発生が始まった。Onderstepoort獣医学研究所において、菌分離により診断された。Western Provinceの2施設のサラブレッド生産牧場で5頭発生した。Gauengからは、調教中の牝馬1頭とこれと接触したウマ4頭が疑われた。これとは別に、大規模の生産牧場や預託牧場で、10月中旬に広範囲に発生した。約300頭のうち150頭に発症がみられた。ほとんどが2歳馬と繁殖牝馬であり、臨床症状は軽く、当歳馬はほとんど影響を受けなかった。依然として、少数の症例が観察されている。臨床的に正常な固体(繁殖牝馬と当歳馬)は所属牧場へ戻されているが、馬主はこれらを以後1ヶ月間は隔離するよう要請されている。
馬媾疹(Coital exanthema) − 1998年10月中旬に流行が始まった。臨床症状により診断された。発生は限局的だが、臨床症状は重篤である。1施設のサラブレッド10頭と繁殖牝馬が感染した。さらに、種牡馬とこれに接触した繁殖牝馬が感染した。繁殖活動は臨床診断1ヶ月後に再開された。
ピロプラズマ病 − 風土病である。
スウェーデン:
馬インフルエンザ(A/2) − Uppsalaの国立研究所で診断された。発生はスウェーデン南部に始まり、現在、国の中央部にある競馬場へと拡大している。31ヶ所の競馬場のうち、9ヶ所で発生が確認された。2ヶ所の競馬場では競馬の中止を余儀なくされた。インフルエンザの臨床症状が認められた厩舎は隔離されている。症状は中程度から軽度であり、サラブレッドは含まれておらず、ほとんどがトロッターであった。ある厩舎では重症例もみられたが、これはおそらくワクチンの未接種か、若馬(3歳)であったことによると思われる。当面の間、スウェーデンは、インフルエンザが猛威を振るっているデンマークやフィンランドから、ウマを受け入れない方針である。
スイス:
馬ヘルペスウイルス1型感染症 − 1998年11月初めに1例の届出があった。詳細は不明。
馬ヘルペスウイルス4型感染症 − 1998年10月に中部地方で4例の届出があった。詳細は不明。
馬ウイルス性動脈炎 − 中部地方において、血清学的所見が10例のみ見られた。
腺疫 − 1998年10月初めから1998年11月末までに、全国で8例の届出があった。
ピロプラズマ病 − 臨床例4件:
Babesia caballi − 2例
Babesia caballiおよびBabesia equi − 2例
血清学的所見12件:
Babesia equi − 6例
Babesia caballi − 4例
Babesia caballiおよびBabeisa equi − 2例
ボレリア症 − 臨床症例1例、および血清学的所見1例。
エールリヒア症 − 臨床症例2例(チューリッヒ州)
トルコ:
残念ながら、報告書が到着せず。
アラブ首長国連邦:
ピロプラズマ病 Babesia equi − 風土病である。
Babesia caballi _ 風土病である。
英国:
馬ヘルペスウイルス4型感染症(呼吸器型) − 1998年12月15日から流行が始まった。アニマル・ヘルス・トラストにおいて血清学的に診断された。CF試験、ELSIAで血清学的に陽性であり、EHV-4が確認された。発生は限局的であり、1施設におけるサラブレッド当歳馬の3頭に感染が認められた。ワクチンの接種歴は不明である。発熱を伴う典型的呼吸器症状を呈した。
追加報告 − 1998年11月末に、ナショナル・ハント・ヤードで調教中のサラブレッドが感染した。3ヶ月前にワクチンを接種していたにもかかわらず、血清学的に診断された。感染範囲は不明であるが、感染馬は呼吸器症状を呈していた。
馬ヘルペスウイルス1型感染症(流産型) − 1998年10月28日から流行が始まった。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、PCR法陽性、VI陰性、免疫ペルオキシダーゼ陽性によって診断された。発生は限局的であり、サラブレッド生産牧場の1施設で1頭が発生した。臨床症状は不明である。獣医学研究センターでウイルス分離を実施している。
1998年第4四半期では、アニマル・ヘルス・トラストにより、麻痺型EHVと診断された症例はない。
追加報告 − 1998年12月25日に発生し、最終報告例は1998年12月28日である。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、PCR法、組織学的病変によって診断された。サラブレッド生産牧場が影響を受け、1施設で10頭の繁殖牝馬中2頭が感染した。ワクチンは未接種であった。ケント州の1施設において、10頭の集団のうち、サラブレッド繁殖牝馬2頭(ワクチン未接種)がEHV-1によって流産した。その牝馬はそれぞれ妊娠8ヶ月、妊娠8ヶ月半であった。体調不良馬との接触が原因とする状況証拠があるものの、その体調不良馬の感染は確認されていない。
馬インフルエンザ(A/2) − 最終報告例は1998年12月である。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、HI試験で血清学的に診断された。発生は限局的であり、2施設の2頭のサラブレッドが感染したが、臨床症状は軽度であった。1頭は、約12ヶ月前にワクチン接種を受けており、もう1頭は未接種であった。サンプルから抗体は発見されなかった。
腺疫 − アニマル・ヘルス・トラストにおいて、菌分離によって診断された。発生は限局的であり、臨床症状は軽度であった。多数の施設ではサラブレッドおよび非サラブレッドが感染したが、ほとんどが非サラブレッドであった。サラブレッド当歳馬3頭が、菌分離により陽性と診断された。3頭とも同一施設の出身であり、タタソール・ディセンバー・セールに上場されていた。もう1件はサラブレッド牝馬であり、体調不良であった。
アメリカ合衆国:
馬ヘルペスウイルス感染症 − キーンランド・ノーベンバー・セールの後、セールに上場された、多数の離乳当歳馬が急性の上部気道疾患を呈した。発症例からEHV-4が分離された。
狂犬病 − フロリダ州において、クォーターホース牝馬の1例が報告された。この症例は、疝痛および攻撃性の症状、四肢の癲癇発作の徴候を示していた。国立獣医学試験所において、剖検された脳組織によって診断された。