世界の馬伝染病情報


1999年・第1四半期(1月−3月)の伝染病発生状況についての報告

(International Collating Center からの情報)  1999年4月14

オーストラリア

腺疫: 3施設で4頭(2歳齢と3歳齢が各1頭、5歳齢が2頭)が感染し、いずれも菌が分離された。発生は限局的であった。

S.zooepidemicus 感染症: 10頭のグループに発生し、2頭から菌が分離された。

ロタウイルス感染症: 20頭のグループにおいて、生後2ヶ月齢の仔馬1頭に発生した。他の数頭が症状を示したが、重症ではなかった。クイーンズランド政府獣医学研究所のSEM検査により、ウィルスが分離された。

馬ウイルス性動脈炎: ビクトリア州において、輸入された非サラブレッド種の種雄馬1頭が、抗体陽性(抗体価 1:6)を示した。英国からのシャトルスタリオン数頭が、ワクチン接種によると思われる抗体陽性を示した。抗体価の測定は、ビクトリアのアットウッド研究所で実施された。

馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): メルボルン獣医学校のウイルス学センターにおいて、1例が分離された(病歴なし)。

カナダ

報告事項なし

デンマーク

馬ウイルス性動脈炎(EVA): 2月にコペンハーゲンの南に位置するアマガーのダニシュアイランドにおいて、75頭を繋養している乗馬クラブでEVAの発生が確認された。1頭の牝馬の流産胎児から馬動脈炎ウイルスが分離され、同施設の15%前後のウマが、発熱(40℃以上)や、腹部、四肢および眼瞼の浮腫、さらに結膜の斑状出血等の典型的な臨床症状を呈した。このうち8頭のペア血清による血清学的検査の結果、5頭が陽性であった。そのうち1頭は、前後の血清とも陽性であった。感染は、近隣の2施設にも伝播したが、英国賭事賦課公社の「EVA実践コード」の勧告に基づき、汚染施設の検疫が実施された。その後の発生報告はない。

フランス

馬インフルエンザ:血清学的に診断された。サラブッレド種は、Alpes-Maritimes、Bouches-du-Rhone、Calvados、Maine-et-Loire、Oise(2厩舎)およびYvelinesで発生した。乗用馬は、Cotes d'Armor、Seine、Seine-et-Marne、YvelinesおよびEssonneで発生した。その他のウマは、Charente-Maritime、Seine、Yvelines、Seine-Saint-DenisおよびVal d'Oiseで発生した。

馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): IF法またはPCR法により、EHVー1と診断された。サラブッレド種は、Calvados(4厩舎)、Orneで発生した。トロッターは、Calvados(2厩舎)、Eure、Val d'Oiseで発生した。その他のウマは、Moselleで発生した。

馬ヘルペスウイルス感染症(呼吸器型): 2月、Cagnes-sur-Mer(Alpes-Maritimes)において、サラブレッド種にEHVー1型感染症がみられた。1頭はペア血清において有意な抗体価上昇が認められ、また、鼻咽頭部スワブ検体の8件中3件が、陽性(培養細胞からウイルス分離、PCR法で同定)を示した。国内の7カ所、すなわちBouches-du-Rhone(1厩舎)、Calvados(2厩舎)、Gironde(1厩舎)、Maine et Loire (1厩舎)、Oise (7厩舎)、Pyrenees Atlantiques(1厩舎)およびYvelines(2厩舎)において発生が拡大し、310検体が血清学的検査(CF)により確認された。最終的な感染頭数は、43頭(1/128以上が10頭、1/64が12頭、1/32が21頭)であった。Isereにおいては、トロッター1頭が陽性と判定された。

 <追加報告> サラブレッド種は、Eur-et-LoirおよびMancheにおいて発生した。トロッターは、Aisne、Cotes-d'Armor および Sartheにおいて発生した。乗用馬は、Alpes Maritimes、Calvados、Cotes-d'Armor、Loire Atlantique、Nord、Orne、Seine、Seine et Marne、Yvelines、VendeeおよびEssonneにおいて発生した。その他のウマは、Moselle、Yvelines、Seine-Saint-DenisおよびVal d'Oiseにおいて発生した。これらは、いずれも血清学的に診断された。

馬伝染性貧血: French Guyana において(ICC・1998年・第4・四半期の報告書を参照)、汚染厩舎のすべての馬(3頭)を安楽死させた。

馬ピロプラズマ病: フランス南部の風土病である。

ドイツ

馬ヘルペスウイルス感染症: 1999年2月12日に発生が始まり、最終報告は2月18日であった。Giessen大学において、ウィルス分離によりEHV-1型感染症と診断された。発生は1厩舎に限局しており、繁殖ストックとサラブレッド種のあわせて4頭が感染した。いずれも、ワクチン接種が実施されていた。

香港

馬ヘルペスウイルス感染症(EHV-1、EHV-4): 1999年2月19日に発生がはじまり、最終報告は2月25日であった。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、血清学的に診断された。発生は1施設に限局しており、調教用厩舎10棟でサラブッレド種16頭が感染した。いずれのウマも、臨床症状は軽度であった。香港では1997年6月から、調教施設および乗馬学校に繋養されているすべてのウマ(合計約1600頭)に対し、EHV-1型およびEHV-4型ワクチンの初回接種と6ヶ月後の追加接種が義務づけられている。今回の2月19日から25日までの発生では、調教用厩舎25棟(合計1,050頭)中10棟の競走馬が発熱(体温101.5゚Fから103.5゚F)した。発熱馬は、1厩舎で最高3頭であった。ペア血清の検査から、1頭はEHV-1型感染症であることが確認された。この他にオーストラリアから輸入されたウマの中で、輸入検疫中の1頭がにEHV-1型と4型の抗体陽性が確認された。しかし、過去のような大流行や重症例はみられなかったことから、EHV-1型およびEHV-4型ワクチン接種の有効性が示唆された。

アイルランド共和国

馬ヘルペスウイルス4型感染症: 1999年3月4日に1施設のサラブレッド種1頭が感染した。アイリッシュ・エクワイン・センターにおいて、EHV-4が分離された。

馬ヘルペスウイルス1型感染症: 発生は限局的であり、3施設における3頭の馬が感染した。1999年2月25日に、アイリッシュ・エクワイン・センターにおいて、胎児および鼻咽頭部スワブ検体からEHV-1が分離された。1施設はワクチン接種を実施しており、他の2施設は未接種であった。1施設においては、最近、イタリアからの輸入があった。

腺疫: 発生は限局的であり、4施設における5頭のサラブレッド種が感染した。アイリッシュ・エクワイン・センターにおいて、細菌(Streptococcus equi)が分離された。

イタリア

馬ヘルペスウイルス感染症(麻痺型): イタリア北部にある複数の厩舎において、障害飛越用馬に麻痺型が発生したが、厩舎間の接触はなかった。ワクチン接種および未接種にかかわらず、臨床症状が出現した。また、EHVによる流産は、複数の厩舎における様々な品種のウマにみられたが、公式発表によると流産発生頭数は前年と比較して多くはなかった。

日本

馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): 1999年1月29日に発生し、最終報告は1999年3月26日であった。8施設における8頭が感染し、そのうち5頭はワクチン接種馬であった。

サルモネラ症(Salmonellosis abortus equi): 1998年11月に発生し、最終報告は1999年1月であった。4施設において5頭の非サラブレッド種が感染し、菌分離および特異的臨床症状により診断された。

オランダ

馬ヘルペスウイルス1型感染症(流産型): 例年に比較して流産頭数は増加し、数頭がウイルス分離により診断された。その他については、ウイルス分離および病理検査は実施されなかった。発生は北部や東部に集中したが、南部においても少数の発生がみられた。

ニュージーランド

報告事項はなかった。

ノルウェイ

報告事項はなかった。

シンガポール

報告事項はなかった。

南アフリカ共和国

馬ウイルス性動脈炎: 1998年・第4・四半期の報告後、血清学的検査が実施された。ヨハネスブルグで開催された「ホース・オブ・ザ・イヤー・ショー」に参加した350頭については、すでに陽性であった2頭を除き、いずれも陰性であった。また、「99年全国2歳馬セリ」に上場されたサラブレッド種519頭については、すべて陰性であった。一方、ヨハネスブルグで開催された「ランド・イースター・ショー」に参加した1,100頭についての結果は、まだ入手していない。2頭のウォームブラッド種牡馬の輸入凍結精液から、ウイルスが分離された。検査は現在も継続中である。

アフリカ馬疫: 1999年3月21日、西部の州において発生し、最終報告は年3月31日であった。オンデスプート獣医学研究所(OVI)において、ウイルス分離により診断された。発生は限局的であり、8施設合計17頭の非サラブレッド種が感染した。3月3日に、移動のための健康診断を受けるため、2頭のウマがフリーステート州の最北端であるフランクホーク地区から、西ケープ州へと移動(距離約1200km)したが、ステレンボシュ地区への到着は確認できなかった。最初の死亡例は3月21日であり、OVIにより3月26日に確認された。OIEへの報告は3月29日、追加報告は4月6日であった。ヨーロピアン・コミッションへの報告は、3月26日であった。南アフリカからの馬の輸出は、最近では3月11日に9頭、3月12日に2頭であった。3月29日以降、輸出前の動物検疫が実施されており、すべての輸出は停止されている。今回の発生は、各々半径5km以内であった。

腺疫: 1998年8月に発生(1998年の第3および第4・四半期報告書を参照)して以来、競走馬や乗馬において散発的な発生が継続している。

馬ピロプラズマ病: ほぼ南アフリカ全域で発生している。

狂犬病: 北ケープ州において、サラブレッド種の仔馬1頭に発生した。OVIにより診断された。

スウェーデン

腺疫: 10例について菌分離された。

馬インフルエンザ: 既に報告したように、インフルエンザA2型の流行が昨年11月に始まり、今年第1四半期に、さらに7カ所の繋駕競馬場に伝播して約200頭のトロッターが感染した。11月の流行初期に比較して臨床症状は軽度であり、最終報告は1月の中旬であった。

馬ヘルペスウイルス1型感染症(神経型): スウェーデン南部のスカンジナにおいて7頭の発生がみられ、これらは隔離された。最終報告は、3月の初旬であった。

スイス

馬ヘルペスウイルス感染症: 1999年1月初旬に、ベルン州でEHV-1型感染症が発生した(詳細は不明)。

1999年3月初旬に、EHV-4型感染症が発生(臨床診断のみ)した。

馬ウイルス性動脈炎: ベルン州のキャントンにおいて臨床例が1例認められ、4頭が血清学的に陽性であった。

腺疫: 1999年1月初旬から3月中旬までに、11例の届出があった。

ピロプラズマ病: 3例が血清学的に陽性であった。

ボレリア病: 1例が血清学的に陽性であった。

トルコ

報告が未着であった。

アラブ首長国連邦

ピロプラズマ病: Babesia equi およびBabesia caballi ともに風土病である。

英国

馬ヘルペスウイルス1型感染症(麻痺および流産型): 2月に2施設で発生し、血清学的に診断された。初発の施設はランカシャーの牧場であり、ワクチン未接種の障害飛越用乗馬において、麻痺型による死亡が2例、流産が3例みられた。もう一方の施設はケンブリッジシャーの飼育牧場であり、1頭が運動失調を示した。また同じく2月に、スコットランドのナショナルハントホース用調教施設に隣接した場所において、サラブレッド種繁殖牝馬の小集団で流産が発生した。これらの流産胎仔組織のPCR法により、いずれも陽性と診断された。ワクチン未接種牝馬5頭中3頭が流産し、これらに対し血清学的検査を実施したところ、最近の感染であることが確認された。

馬インフルエンザ: 2月中に輸入されたウマで、最近インフルエンザの発生が確認された。サマーセットでは、最近オランダから輸入されたウマ1頭が、発熱、鼻水、咳などの典型的な症状を示し、血清学的検査で陽性を示した。ケンブリッジシャーでは、アイルランドから輸入された非サラブレッド種の牝馬1頭が、24時間以内に輸送熱の症状を示した。鼻咽頭部スワブ検体を用いて核タンパク質ELISA検査を実施したところ、陽性であったことからインフルエンザと診断された。いずれの地域においても、ワクチン接種馬への伝播を示す徴候は全くなかった。

<追加報告>

馬ヘルペスウイルス感染症(呼吸器型): 1999年2月7日、限局的に発生した。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、1頭の鼻咽頭部スワブ検体からウイルスが分離され、EHV-4型感染症と診断された。1施設のワクチン未接種馬4頭が感染したが、臨床症状は軽度であった。また、2歳のサラブッレド種4頭は、著しい鼻水を漏出し、休息時には重度の発咳を認めた。2月に別の施設で調教されている若いサラブッレド種競走馬1頭が、血清学的検査により陽性(臨床症状不明)を示した。

馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): 2回の発生があり、初回は1999年3月4日、2回目は3月14日であった。ある研究所でPCR陽性とされ、アニマル・ヘルス・トラストにおいてEHV-1型感染症と診断された。2回の発生ともに、1施設のサラブレッド種1頭であった。ワクチン接種歴および臨床症状の詳細は、不明であった。

馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): 2回の限局的な発生がみられ、初回は1999年2月24日、2回目は3月8日であった。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、PCRおよび組織検査によりEHV-1型感染症と診断された。初回の発生では、1頭のワクチン未接種のサラブッレド種繁殖用牝馬が感染したが、他の牝馬は無事に出産した。感染源としては、この施設外で調教を実施していた馬が疑われた。2回目の発生では育成場の牝馬1頭が感染したが、ワクチン接種歴は不明であった。この馬に接触した妊娠馬が1頭存在した。

馬ヘルペスウイルス感染症(麻痺および流産型): 1999年3月14日に発生がみられ、未だ継続中である。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、血清学的検査、流産胎仔の組織からのウイルス分離およびヘパリン処理血液からのVI検査により、EHV-1型感染症と診断された。イングランド北部にある小規模牧場1施設において、ワクチン未接種のサラブレッド種20頭が感染した。最初の1例は非妊娠馬であり、運動失調を呈した後に起立不能に陥ったため安楽死の処置がとられた。現在のところ、麻痺型が4例みられ、このうち3例は安楽死処分された。また、別の4頭の牝馬に流産がみられた他、2歳馬12頭が呼吸症状を呈した。施設内すべての馬群(1頭の種牡馬を含む)に対し、血清学的検査およびウイルス分離検査を実施したところ、いずれも血清学的に抗体陽性であった。

腺疫: 複数施設において、限局的な発生が継続している。アニマル・ヘルス・トラストにおいて、菌分離により診断された。臨床症状は、軽度から重度まで様々であった。

アメリカ合衆国

馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): ケンタッキー州中部において19頭が確認されたが、殆どは個別牧場での単一の発生であり、ワクチン接種は実施されていた。

水胞性口内炎: コロラド州において陽性のため隔離されていた3施設は、1999年1月22日に解除された。

 

「1998年・第4 四半期の報告」 に関連した追加情報

オーストラリア

腺疫: ポロ用のポニーにおいて、少数の感染が報告された。これらは、クイーンズランド州およびビクトリア州の政府獣医学研究所で確認された。

S.equisimilis: ビクトリア州において、肥厚した喉のリンパ節から分離された。

R.equi: クイーンズランド州、ニュー・サウス・ウエールズ州およびビクトリア州において、散発的に分離された。

馬ヘルペスウィルス1型感染症(流産型): ニュー・サウス・ウエールズ州のワリアリダにおいて、5例がトゥーウーンバ政府獣医学研究所により確認された。ニュー・サウス・ウエールズ州の南海岸では19頭の牝馬群において、初産牝馬の12頭中6頭が流産した。他の7頭の牝馬の最終結果は、まだ報告されていない。また、原因不明の流産(EHV-1は陰性)が、散発的に発生した。

ドイツ

馬伝染性貧血: 1998年8月20日に発生が始まり、最終報告は1998年11月30日であった。バイエルン州およびザクセン州において、3施設で3例の発生が認められた。いずれの発生も限局的であり、非サラブレッド種の感染であった。

馬ウイルス性動脈炎: バーデン-ヴュルテムベルク州およびザクセン-アンハルト州において、散発的に発生し、いずれも非サラブレッド種であった。

ボルナ病: バイエルン州およびテューリンゲン州において散発的に発生し、いずれも非サラブレッド種であった。


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