1999年・第2四半期(4月-6月)の伝染病発生状況についての報告
(International Collating Centerからの情報) 1999年7月14日
オーストラリア
腺疫: クィーンズランド州において、2例の限局的発生が州政府獣医研究所によって確認された。ヴィクトリア州の南西ヴィクトリアでは、多数の個別症例が政府認定研究所によって確認された。また、北メルボルンでも1例が確認された。
S.zooepidemicus感染症: メルボルン北部において、細菌培養によって1例が確認された。
流産: クィーンズランド州で2例の発生がみられたが、病原微生物は分離されていない。
馬伝染性貧血(EIA): ニュージーランドへ輸入された2頭中の1頭が、輸入検疫中に陽性と診断された。仕出牧場の追跡調査により、同牧場のすべてのウマを検査したところ、1頭が陽性と確認され殺処分された。当該牧場は現在隔離中であり、今後3ヶ月以内に2回の浄化テストを実施する予定である。最初のウマの感染原因は現在調査中であり、他の地域における発生は報告されていない。
ヘンドラウイルス感染症: 前四半期末にケアンズで1例が確認されて以来、クィーンズランド州におけるウイルス分離の報告はみられない。
カナダ
馬伝染性貧血(EIA): 非サラブレッドが感染した。1999年3月31日までに検査した10,983頭中、118頭が陽性と診断された。
馬ヘルペスウイルス感染症: 1999年1月より6週間にわたり、サラブレッド種4頭、スタンダードブレッド種1頭の死産がみられ、動物疾病研究所で診断された。
レプトスピラ症流産: 1998年末、東オンタリオにおいてレプトスピラ症が原因の流産が、別々の施設で2例報告された。血清型別にレプトスピラ属ポモナ( serovars Leptospira pomona)、グリッポチフォーサ(grippotyphosa)、ブラティスラヴァ( bratislava)の抗体価が上昇していたことから、最近の感染が示唆された。レプトスピラ症によるウマの流産は、以前にケンタッキー州、ルイジアナ州およびオンタリオ州から報告されている。
デンマーク
サラブレッド種競走馬において、原因不明の急性咽頭炎が数例報告されている。
フランス
馬インフルエンザ:血清学的に診断された。サラブッレド種は、MancheおよびOise(5厩舎)で発生した。トロッター種は、Maine-et-Loire、Manche、 Marne および Val-de-Marneで発生した。乗用馬は、Charente-Maritime、C冲es-dヤArmor、Ille-et-Vilaine、Loret、Maine-et-Loire、Manche、Moselle、Sa_ne-et-Loire、Seine、Seine-et-Marne、Yvelines および Essonneで発生した。その他のウマは、Eur-et-Loir、Oise およびSeineにおいて発生した。
馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): Calvadosでサラブッレド種1頭、乗用馬1頭の発生がみられた。トロッター種は、Mayeene(3頭)および Orneで発生した。
馬ヘルペスウイルス感染症(呼吸器型): サラブレッド種は、Bouches-du-Rh冢e (2厩舎)、Gers、Indre、Loire-Atlantique、Maine-et-Loire、Oise(6頭)、Rhin(Bas)およびYvelinesで発生した。トロッター種は、Calvados、Oise、Sarthe および Seine-et-Marne で発生した。乗用馬は、 C冲es-dヤArmor 、 Dure-et-Loir、 Indre、 Loire-Atlantique、Maine-et-Loire、Manche、Moselle(3厩舎)、Sa_ne-et-Loire、Sarthe、Seine、Seine-et-Marne(5頭)、Yvelines(3頭)および Essonne(2頭)で発生した。その他のウマは、Eur-et-Loir、Gers、Manche、Moselle および Yvelinesで発生した。
馬ピロプラズマ病: フランス南部の風土病である。
ドイツ
馬ヘルペスウイルス感染症: 1999年3月30日に発生がはじまり、最終報告は1999年4月2日であった。TUハノーバー研究所において、ウィルス分離によりEHV-1型感染症と診断された。発生は1厩舎に限局しており、サラブレッド種繁殖牝馬2頭が感染した。いずれも、ワクチン接種が実施されていた。
狂犬病: ブランデンブルクにおいて、非サラブレッド種2頭が感染した。
香港
1999年6月、1調教厩舎の競走馬数頭に軽度の発熱症状が認められた。血清検査を実施する予定であり、重要な所見が認められた場合には、次の四半期で報告する。
アイルランド共和国
腺疫: 11施設で19頭が感染した。アイリッシュ・エクワイン・センターにおいて、菌分離によって診断された。
サルモネラ感染症: アイリッシュ・エクワイン・センターやCVLアボッツタウンにおいて診断された。6施設で8頭が感染し、1頭はS.typhimurium の感染であった。
イタリア
ウマに関する伝染性病発生の正式な報告はみられない。1998年10月以降、西ナイル脳脊髄炎の発生報告はみられないが、トスカナ州ではウマ、蚊および野鳥を対象とするウイルスの存在が調査されている。
日本
馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): 1999年4月8日に発生し、最終報告は1999年4月28日であった。2施設でサラブレッド種繁殖牝馬4頭が感染した。ワクチンの接種歴は不明である。
破傷風: 1999年4月8日に発生し、最終報告は1999年4月13日であった。2施設でサラブレッド種繁殖牝馬2頭が感染した。
オランダ
報告が未着であった。
ニュージーランド
馬伝染性貧血: ニュージーランド北島のワイカト地区にある1施設において、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州から輸入された繁殖牝馬1頭が、1999年6月6日に馬伝染性貧血(EIA)陽性と診断された。同馬は6月8日、殺処分後に焼却された。診断はウォリスヴィルにある国立疾病診断センターにおいて、コギンズ試験によって実施された。
<疫学調査> 1999年5月24日、ニュー・サウス・ウェールズ州から6頭の繁殖牝馬が輸入された。当該馬(インデックス・ケース)は、この中の同一ロット2頭中の1頭であった。オーストラリア動物検疫所(AQIS)での輸出検査では、当該馬の陰性が証明されていた。また、同一ロットのもう1頭の検査結果は未決定であった。ニュージーランド農水省(MAF)は輸入を許可し、ニュージーランド到着後直ちに隔離検疫を実施した。1999年5月27日、AQISはMAFに対し、このウマが陽性と陰性の両検査結果が得られたと報告した。MAFが再検査したところ、陰性と判定されたことから、当該馬は6月3日に検疫から解放された。
6月3日の夕刻、AQISからMAFに対し、オーストラリアの診断所で検体の混合が起きたこと、同一ロットで移送した1頭(インデックス・ケース)にEIA陽性が疑われるとの報告が入った。この情報を入手したMAFは追跡調査を実施し、検疫から解放された2頭とこれらと接触があった他の牝馬1頭、計3頭を隔離措置とした。また、該当馬を放牧していた施設に対して移動規制を通達した。6月4日にこれら3頭の血液が採取され、6月6日にインデックスケース1頭の陽性、他の2頭の陰性が確認された。6月8日、陽性馬は殺処分されて焼却された。その後、牝馬グループを維持するために第3の牝馬が追加され、これらの3頭は隔離されている。
一方、オーストラリアから船積みされた他の4頭に対しても、追跡調査が実施された。当該施設への移動制限措置が講じられたが、6月6日に4頭の血液が採取され、陰性が確認された。
現在、4施設において7頭が隔離中である。最低45日間は隔離され、EIAに関する検査が2回実施される予定である。検査結果が陰性と判明した後に、隔離状態から解放される。
1999年5月24日以来、移動制限地区の指定施設内のウマおよび精液は、隔離措置の完了まで、ニュージーランドから輸出できない。これら以外の地域からのウマおよび精液の輸出は、動物衛生規制下においてコギンズ試験を実施し、陰性との判定後に開始される。ニュージーランドのMAFは、衛生証明書を要求する国々と連絡をとり、EIA清浄国であることを宣言するであろう。
ノルウェイ
報告事項はなかった。
シンガポール
1999年3月および4月に、シンガポールに在厩するすべてのウマを対象とし、ヘンドラおよびニパウイルス抗体検査をオーストラリア動物疾病診断所に依頼した。血清中和試験により、すべての検体の陰性が報告された。
南アフリカ共和国
アフリカ馬疫(AHS): 1999年第1四半期報告を参照。1999年3月21日に西部の州において発生し、最終報告は1999年5月19日であった。最終的にAHSウイルスは31例で分離され、すべて血清7型と同定された。すべての症例は、ステレンボシュ地区の監視区域内の半径15-20km以内で発生した。これ以上疾病が拡大しない場合、ステレンボシュ地区、これに隣接したサマーセット・ウエスト地区およびパール地区に適用されている現在の防疫措置は、6月末に解除される予定である。
馬ピロプラズマ病: 南アフリカの風土病である
馬ウイルス性動脈炎: 新たな血清陽性例は報告されていない。また、現在検査中の輸入凍結精液と接触した種牡馬は、これ以上存在しないと思われる。
腺疫: 牧場、競馬場の調教厩舎、ポロ用ポニー厩舎および乗馬施設において、散発的な発生が継続しており、特にKwaZulu NatalやEastern Cape Provinceからの報告が多い。
スウェーデン
腺疫: 16施設で感染がみられた。
馬インフルエンザ(A2型): 4施設でトロッターやウォームブラッド種が感染したが、症状はいずれも軽症であった。すべての施設は隔離された。
馬ヘルペスウイルス1型感染症(神経型): 1頭の発生がみられ、隔離された。
スイス
馬ヘルペスウイルス感染症: EHV-1は4例の発生が報告された(詳細は不明)。EHV-4は1例が報告された(臨床的診断のみ)。
腺疫: 中部地方とヴァレ州で7例の発生が報告された。
馬伝染性子宮炎: 3頭の発生が報告された。この内2頭はドイツとフランスから輸入後、ナショナル・スタッドに繋養されていたウォームブラッド種の種牡馬であった。 他の1頭は、ドイツ北部ホルシュタイン地方から輸入された精液の人工受精を受けた繁殖牝馬であった。
ピロプラズマ病: 臨床例が4例(B.caballiが1例、B.equiが2例、B.caballiとequiの混合感染が1例)報告された。B.caballi感染馬はジュネーブで繋養されており、詳細は不明である。B. equi感染馬は、昨年10月に輸入された6歳の去勢馬と11歳のフリージァン種牝馬であった。当初、この牝馬は腺疫が疑われていたが、治療効果が認められなかったことから再検査したところ、B. equiの感染が判明し、その後死亡した。B.caballiとB.equiの混合感染馬は、国際障害飛越競技用の15歳の牝馬であった。血清学的検査陽性例は9例(B.equiが3例、B.caballiとB.equiの混合感染が5例、未分類が1例)であった。
エールリヒア症: 5月に2例が報告された。1例はヴァレ州の13歳のフリージァン種去勢馬であり、発熱(40.5°C)、感情鈍麻および食欲不振を呈した。
ボレリア症: 6月に1例が報告された。興味深いことに、これは5月にエールリヒア症に感染した去勢馬であった。当該馬は微熱、飛節の腫脹、歩行失調およびたてがみの脱毛が認められ、安楽死処置が実施された。
Clostridium perfringens感染症: 敗血症やエンテロトキセミア(腸性毒血症)により死亡した新生仔馬2頭から菌分離され、β2型毒素陽性が確認された。
パスツレラ症: Clostridium perfringens 感染症により死亡した仔馬の1頭は、 Pasteurella caballiにも感染していた。また、別の10週齢の仔馬1頭は、肺炎を発生して咳と鼻水の症状を呈した。
Staphylococcus hyicus感染症: 発熱と鼻水症状を呈した2頭のウマにおいて、咽頭スワブ検体および気管粘液から菌分離された。
トルコ
報告が未到着であった。
アラブ首長国連邦
ピロプラズマ病: Babesia equiおよびBabesia caballiともに風土病である。
英国
腺疫: 1998年11月に発生し、最終報告は1999年5月18日であるが、現在も続発していると思われる。アニマル・ヘルス・トラスト(AHT)とボーフォート・コテージ研究所において、鼻咽頭スワブ検体からの菌培養やPCR法によるDNA検出により診断された。感染は拡大し、パフォーマンス・ホース、繁殖用牝馬、サラブレッド種および非サラブレッド種にまで及んだ。2施設9頭が感染した。1998年11月の最初の発生は、老齢の去勢されたポニー1頭と同牧場の他の4頭であった。このポニーは臨床的には回復したが、1999年2月に調教のためこの牧場を訪れていた別の2頭が感染した。隣接施設のショー・ポニー1頭を含め、9頭が陽性と診断された。その後、多施設のウマが感染し、菌分離によって診断されている。現在、保菌馬の特定と治療方針が講じられている。
<追加報告>1999年4月6日に発生報告があり、AHTにおいて菌分離により診断された。発生は限局的であり、パフォーマンス・ホースのサラブレッド種1頭が感染した。菌分離される6週間前に、3頭のウマがアイルランドから当該農場に輸入されており、これらが感染源と考えられる。
馬ヘルペスウイルス1型感染症(流産型): 1999年4月3日に報告され、AHTにおけるPCR法によって診断された。発生は限局的であり、1施設のサラブレッド種繁殖牝馬 1頭が感染した。ワクチン接種歴は不明である。
1999年4月11日に発生が報告された。AHTにおいて胎児組織学的検査およびPCR法によって診断された。発生は限局的であり、1施設のワクチン未接種馬1頭に流産がみられた。その後、すべてのウマにワクチンが接種された。この施設は小規模な調教用牧場であり、妊娠牝馬はこの1頭のみであった。当該馬は流産する前に、発咳が認められていた約40頭のウマと接触しており、また、血清学的にはEHV-1感染が疑われる去勢馬も存在していた。
1999年4月12日に発生が報告された。
1999年4月17日にから4月22日にかけて、発生が報告された。AHTにおけるPCR法によって診断された。発生は限局的であった。まず、1施設において、ワクチン未接種のサラブレッド種繁殖牝馬3頭が感染した。また、約1/2km以内にウマがいない隔離状態であった牝馬4頭のグループにおいて、流産が発生した。このグループの1頭は11月にドイツから輸入されており、他馬との接触は交配した種牡馬のみである。当該施設の他のウマは、感染の徴候を呈していない。
1999年4月24日から4月26日に発生が報告された。AHTにおいて組織学検査およびPCR法により診断された。発生は限局的であり、1施設のサラブレッド種繁殖牝馬 3頭が感染したが、ワクチン接種歴は不明である。当該施設の2歳馬と3歳馬の数頭に、軽い呼吸器症状が認められた。
1999年4月27日に発生が報告された。発生は限局的であり、1施設のサラブレッド種パフォーマンス・ホース1頭が感染した。この牧場の牝馬を含む他のすべてのウマに対し、ワクチンが接種された。流産胎児は、EHV-1流産に見られる通常の組織学的変化を示しておらず、胎児組織はPCR法により陰性であった。しかし、胎児の副腎と絨毛膜に対する免疫ペルオキシダーゼ染色により、ウイルス抗体が証明された。当該牧場における他のウマへの感染はみられなかった。
馬インフルエンザ: 1999年6月12日に発生し、最終報告は1999年6月末であった。AHTにおいて、3頭の A2型ウイルス抗体陽性が確認された。 発生は限局的で少なくとも2施設であり、調教過程にあるサラブレッド種が感染した。同馬は約6ヶ月前にワクチン接種が実施されていた。臨床症状は極めて軽度であり、わずかな鼻水の排出と咳の散発がみられる程度であった。他施設においても、同様の症状を示すものが認められたが、インフルエンザとは断定できなかった。
馬ウイルス性動脈炎(EVA): 1999年6月3日に発生の報告があり、AHTにおける血清学的検査により診断された。発生は限局的であり、イギリス南西部の牧場の非サラブレッド種去勢馬1頭が感染した。ワクチン接種歴はなかった。当該馬は、肢の腫脹を伴なう上部気道疾患を呈していた。競馬賭事賦課公社のEVA衛生規約に基づき、接触馬には移動規制と隔離措置が施され、血清学的スクリーニングが実施されている。現在も調査は継続中であり、暫定結果ではさらなる呼吸器系疾患の伝播を疑う所見はみられなかった。感染源は調査中である。
アメリカ合衆国
馬インフルエンザ(A2型): 1999年5月、ケンタッキー州中部において2歳齢のサラブレッド種1頭から分離された。
腺疫: 1999年4月、ケンタッキー州中部の農場において若馬と老齡馬に発生した。
馬ヘルペスウイルス感染症(流産型): ケンタッキー州中部において、1999年の繁殖シーズン中に発生した流産件数は、サラブレッド種の22件であった。
東部馬脳炎: 5月と6月に、ルイジアナ州での発生が報告された。