1999年・第3四半期(7月-9月)の伝染病発生状況についての報告
(International Collating Centerからの情報)
1999年10月20日
オーストラリア
以下の報告は、地方政府研究所からのクイーンズランドリポートによるものである。
腺疫: 1施設の60頭の集団において、10頭が確認された。これとは別に、散発的に3頭の発生が報告されている。いずれの症例も臨床症状は軽度であった。
流産: ウイルス性流産例は報告されていない。死産または流産胎児の12例中3例において、多種類のバクテリアが分離されたが、原因は確認されなかった。
馬伝染性貧血(EIA): ニュー・サウス・ウエールズ州のサラブレッド種繁殖牝馬5,600頭(ほとんどがシャトル種牡馬用牧場に繋養されている)に対してEIA検査を実施したところ、すべて陰性であった。陽性例の出現を想定し、拡大の危険を軽減させる管理体制に重点が置かれている。また、シドニーではオリンピック用の常設施設が完成間近であり、ここには競走馬225頭と予備馬45頭が収容可能である。アリーナの基礎工事も完成間近である。ヴィクトリア州での広範囲におよぶ血液検査において、EIAはすべて陰性であった。
カナダ
報告が未着であった。
デンマーク
報告事項はない。
フランス
馬インフルエンザ: ウイルス分離により診断;サラブッレド種はPyrenees Atlantiqueで、トロッター種はCalvadosで発生した。
ELISAにより診断;サラブレッド種は、Oiseで発生した。また、トロッター種はCalvadosで、乗用馬はEssonneで発生した。
血清学的診断;サラブレッド種は、Bouches-du-Rh_ne、Calvados、C冲es-dヤArmor、Maine-et-Loire、Oise、Pyrenees Atlantiques、Rh_neおよびYvelinesで発生した。
トロッター種は、Calvados、Maine-et-Loire、Mayenne、Nord、VendeeおよびVal de Marneで発生した。乗用馬は、Bouches-du-Rh冢e、Cher、C冲es-dヤArmor、Eure-et-Loir、Ille et Vilaine、Loire Atlantique、Moselle、Nord、Sa_ne-et-Loire、Seine-et-Marne、Yvelines、EssonneoyおよびHauts de Seineで発生した。その他のウマは、OiseおよびPyrenees Atlantiquesで発生した。
馬ヘルペスウイルス感染症(呼吸器型): ウイルス分離により診断;乗用馬は、Sartheで発生した。
血清学的診断;サラブレッド種は、Calvados、C冲es-dヤArmor、Maine et Loire、Oise(4厩舎)、Rhone(3)およびYvelinesで発生した。トロッター種は、Sarthe、Sevres(2)で発生した。乗用馬は、Eure-et-Loir、Ille et Vilaine、Moselle、Nord(2厩舎)、Saone-et-Loire、Sarthe、Seine et Marne、Yvelines、EssonneおよびHauts de Seineで発生した。その他のウマは、Eure-et-Loirで発生した。
馬ピロプラズマ病: フランス南部の風土病である。
ドイツ
馬伝染性貧血: 1999年7月に発生した。BavariaのAupsburgにおいて、1施設の非サラブレッド種1頭が感染した。
香港
今期に報告すべきことは特にないが、以下の声明を提出する。
香港ジョッキークラブは、中華人民共和国および香港特別行政区のすべてのウマの健康状態を監視している。1999年10月6日現在、競馬場にはサラブレッド種1,044頭、乗馬学校にはサラブレッド種、非サラブレッド種およびポニーが合計522頭存在している。1997年6月から1999年7月までに、333頭に種々の原因不明の発熱がみられた。すべてのウマの鼻咽頭スワブ検体を用い、インフルエンザAウイルス抗体を直接かつ迅速に検出するDirectigen Flu A試験および酵素免疫測定法が実施されたが、いずれも陰性であった。また、Streptococcus equiに対する培養検査も実施されたが、いずれも陰性であった。ニューマーケットのアニマル・ヘルス・トラストにおいてすべての症例のペア血清を検査したところ、以下の所見が得られた。
アデノウイルス;22頭において、抗体価の有意な上昇がみられた。
ウマヘルペスウイルス(EHV-1);1997年6月から10月までに、9頭が抗体価320以上の有意な上昇がみられ、その他は160以下であった。
ウマヘルペスウイルス(EHV-4);抗体価はすべて60以下であった。EHV-1およびEHV-4に関して抗体価160以下のものは、ワクチン接種によるものと考えられた。
ウマインフルエンザウイルス(EIV);ワクチン接種によると考えられた。
ウマライノウイルス(ERV-1およびERV-2);3頭に軽度の血清変換(ワクチンによる抗体上昇)が認められた。
馬ウイルス性動脈炎;すべて陰性であった。
一方、香港ではすべてのウマに対し、馬インフルエンザワクチン(年2回のブースター注射)、馬ヘルペスウイルス1型および4型ワクチン(1997年6月以降、年2回のブースター注射)、B型日本脳炎ワクチン(年1回のブースター注射)および破傷風トキソイド(インフルエンザワクチンと同時に、年2回のブースター注射)を接種している。
アイルランド共和国
報告が未着であった。
イタリア
ウマの伝染性病発生に関する正式報告はみられない。トスカナ地方では、1998年に起こった西ナイルウイルス感染症の再発生に対して慎重な監視を続けているが、発生の証拠は何も得られていない。
腺疫:散発的に発生している。
馬ピロプラズマ病:中央南部における風土病である。
日本
破傷風: 1999年8月に、1施設の1頭が感染した。
オランダ
馬ヘルペスウイルス感染症(EHV-1): 1施設のサラブレッド種10頭が感染した。
馬伝染性子宮炎: 数頭のウマが感染したが、正確な数は不明である。
腺疫: 数例の発生がみられた。
ニュージーランド
報告事項はなかった。
ノルウェイ
馬ウイルス性動脈炎: 少数例がみられた。
馬伝染性子宮炎: 1施設の3頭が感染した。
シンガポール
報告事項はなかった。
南アフリカ共和国
馬ピロプラズマ病: 南アフリカの風土病であり、散発的に発生している。通常の臨床症状の他に、流産および致死的な甚急性の新生期症候群などがみられた。
腺疫: 牧場、競馬場厩舎および乗馬施設において、散発的な発生が継続しており、特にKwaZulu Natal、Free State、Gautengからの報告が多い。出血性紫斑病が5頭報告され、このうち3頭が死亡した。
スウェーデン
腺疫: 40施設で感染がみられた。
スイス
馬ヘルペスウイルス感染症(EHV-4): 1件の届出のみであった(詳細は不明)。
腺疫: 10件の届出があり、いずれも通常の症状を呈していた。
馬ピロプラズマ病: 臨床的に3例(B.equiが2例、B.caballiとB.equiの混合感染が1例)が、国内のフランス語地域から報告された(詳細は不明)。血清学的に12例(B.equiが1例、B.caballiが3例、B.caballiとB.equiの混合感染が8例)が診断された。
エールリヒア症: 6月に4頭、8月に2頭の届出があった。また、8月末から9月初めに、北部および西部地区での発生がみられた。
ボレリア症: 6月に北部および南部で2頭の届出があった(詳細は不明)。
ロドコッカス症: 肺炎を併発した2ヶ月齢雌馬の気管気管支分泌物から、Actinobacillus equi 様微生物とともに、Rhodococcosis.equi が確認された。
その他の届出: Elmeria leuckarti;2頭の届出があった。下痢症状を呈した仔馬と8歳の雌馬から、定期的な寄生生物学検査により発見された。
ロタウイルス;1頭の届出があった(詳細は不明)。
咳と鼻汁の摘出がみられた2頭の仔馬と1頭の雌馬から採取された、気管気管支分泌物や鼻水から、Actinobacillus equi、Pasteurella、Streptococcus zoopidemicusおよびBordetella bronchiseptica が分離された。
トルコ
報告が未到着であった。
アラブ首長国連邦
ピロプラズマ病: Babesia equiおよびBabesia caballiともに風土病である。
馬白癬症: 散発的に発生した。
英国
馬ヘルペスウイルス4型感染症(呼吸器型): 1999年7月29日に発生した。アニマル・ヘルス・トラスト(AHT)において、血清学的および鼻スワブ検体からのEHV-4分離により診断された。発生は限局的であり、1施設の非サラブレッド種1頭が感染した。臨床症状は、高熱、多量の漿液性鼻汁および発咳であった。
<追加報告> 1999年8月5日に発生した。AHTにおいて、血清学的および鼻スワブ検体や血液からのウイルス分離により診断された。発生は限局的であり、1施設の非サラブレッド種1頭が感染した。臨床症状は、プアパフォーマンス、蕁麻疹、結膜炎、発熱、顎下リンパ節の腫脹および多量の漿液性鼻水であった。
馬媾疹(EHV-3): 1999年7月から8月に発生した。AHTにおいて、血清学的およびウイルス分離により診断された。2施設の非サラブレッド種2頭が感染した。両症例ともcobの雌馬であり、臨床症状は2週間半から3週間継続した。1頭は臨床的に軽度であったが、他の1 頭は2次感染により重篤な症状を呈した。
腺疫: 1999年4月に発生し、最終報告は1999年8月20日であった。AHTにおいて菌(S.equi )分離により診断された。1施設のサラブレッド種および非サラブレッド種14頭以上が感染した。大規模な委託牧場での感染が継続している。臨床症状は、リンパ節の腫脹のみを呈した軽症例から、高熱およびリンパ節の破裂などをともなう重症例まで様々であった。
<追加報告> 7施設の多数のウマが感染し、AHTや他の検査機関での菌分離により診断された。この疾病に関しては、イギリス各地の牧場が長期にわたって問題を抱えている。ある牧場の報告では、3年間継続してその年の産駒に問題が発生したとしている。
アメリカ合衆国
馬ヘルペスウイルス4型感染症(呼吸器型):9月にケンタッキー中心部において、離乳した仔馬からEHV-4が分離された。
東部馬脳炎:夏の間、アラバマ、フロリダ、ルイジアナ、ミシガン、ミシシッピおよびテキサス各州の広範囲な地域で、ウマでの死亡が報告された。
<1999年10月22日の追加報告>
西ナイルウイルス感染症: 1999年10月19日、米国ニューヨーク州農務官により、サフォーク郡における西ナイルウイルス感染症によるウマの死亡が報告された。USDAおよびCDCは、死亡した1頭からウイルスを分離し、臨床症状を呈している他の10頭の抗体陽性を確認した。8月末から現在までに、サフォーク郡において22頭のウマが脳炎症状を呈し、このうち13頭が死亡あるいは安楽死された。一方、8月から9月にかけて、ニューヨーク市とその近郊で、ヒトでは50人が感染して5人が死亡している。これらの感染は、西ナイルウイルスを媒介した蚊が原因と考えられている。9月までに、ニューヨーク、コネチカット、ニュージャージー各州において、カラスの死骸や野鳥からウイルスが分離されている。